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専門家 塩摂取量についての新しい研究を批判

Experts Criticize New Study about Salt Consumption

By American Heart Association News

2016.05.20

 

過剰な塩摂取量を減らすことはある高血圧の人々には利益をもたらすが、低塩食は心疾患、脳卒中、または死亡について低い危険率の人々には役立たないと新しい研究は示唆している-その研究結果は不完全な科学的方法のために信頼できないとして医学専門家達によって直ちに批判された。

前の研究は過剰な塩摂取量を高血圧の危険率増加に関係付け、したがって、世界で死亡の2大原因である心疾患と脳卒中についての危険率増加を関係付けた。

しかし、科学雑誌ランセットで金曜日に発表された研究、それは49ヶ国からの130,000人以上を含んでいるが、高血圧者と正常血圧者の低塩食は平均塩摂取量の人々と比較して心疾患と死亡の危険率を実際に増加させるかもしれない、と結論を下した。

“我々のデータは高血圧者高い塩摂取量を減らすことの重要性を強調しているが、低い量までの減塩を支持していない、”と研究の筆頭者であるアンドリュー・メンテはニュース・レリースで言った。メンテはカナダのマックマスタ―大学の人口保健研究所とハミルトン健康科学の主任研究者である。

 アメリカ心臓協会会長とダートマス大学のダートマス‐ヒッチコック医療センターの心血管センター長であるマーク・クリーガーは研究の妥当性に疑問を呈した。“過剰な塩摂取量と高血圧との関係は証明され、私は次のことが気にかかる。著者の勧告値の採用は、塩摂取量を修正し、高血圧の危険率と心疾患や脳卒中に及ぼす高血圧の影響を減らすことで生ずる進歩を後退させるかもしれないことだ。今日の広く受け入れられている塩摂取量勧告値は根拠の十分な科学的研究に基づいている-そして人々が理解すべきはそのことだ、”とクリーガーは言った。

 ハーバード医学校の臨床/遺伝翻訳研究の副学部長でボストンのブライハムと婦人病院の心血管部の主任医師であるエリオット・アントマンは新しい研究結果を無視すべきと言った。“これは欠陥のある研究であり、どのように食生活するかについて参考にすべきでない。アメリカ心臓協会はエビデンスの全体性をレビューし、我々は3.8 g/d以下の塩摂取量が心臓の健康に理想的であることを支持し続けてきた、”とアメリカ心臓協会の前会長のアントマンは言った。

 アメリカ心臓協会は多くの保健機関の一つであり、保健理由から塩摂取量の制限を奨励している政府の団体である。アメリカ政府は5.8 g/d以下を勧めており、世界保健機関は5.1 g/dを勧めている。これらの制限値は幅広い人々に適用しようとしているが、極端な暑さの中で通常的に作業している人々、あるいは特別な未知の病気の人々を含めて塩摂取量を減らすべきでない特別な人々がいることをエビデンスは示している。

 メンテの人口保健研究所が広く受け入れられている塩摂取量と健康との関係に疑問を呈した前の研究を発表したメンテは、最近の研究はほとんどの人々が多分、適正な量の塩を摂取していることを示している、と言った。しかし、食品供給で塩含有量の制限に向けた最近の運動と同様に確立された勧告値に対して、その示唆は反対の立場である。それについてアントマンと他の人達が言っていることは重要である。人々が食べている塩摂取量のほぼ80%は加工食品やレストランの食事から来ているからで、実際にどれくらいの塩を摂取しているかを管理しようと思っている人々については、そのことが難しいからだ。

 今月の始めに、世界最大の食品・飲料会社のネッスルは製品中の塩含有量を減らす計画を最近発表し、マース・フード、ジェネラル・ミルズ、サブウエイ、アラマーク、ドミノズ、シュワンズ・アンド・リボリューション・フーズを含む会社が続いている。食品医薬品局も食品製造者が続いて自発的な目標値を発表することに期待している。いくつかの食品会社は既に食品医薬品局の計画を承認してきた。世界で50ヶ国以上がいくつかの食品の塩含有量を自発的にあるいは強制的に減らすことを既に採択している。より少ない塩環境に向けての勢いがついているので、アメリカ心臓協会CEOのナンシー・ブラウンは、人々がこの新しいニュースをどの様に解釈するかについて関心を持っている、と声明で述べた。“世界中で減塩は極めて重要であると言う認識が増えており、減塩は健康を維持し、致命的な疾患を予防することをどこの人々も知る必要がある、”と彼女は言った。

 技術的に言うと、この研究と他の研究も同じ様に問題は長期間にわたって人々の塩摂取量を追跡し、その後、人々の健康に関する情報を正確に集めることの難しさである。この事例では、研究者達は研究開始時に一回の尿試験を使った4件の研究から食事習慣と健康結果について長期間の情報まで外挿した結果を結び付けた。これがどれくらい間違ったことになるかの事例として、一人の人が二日間にわたって出した幅広く異なった結果をメンテは指摘した:サラダと果物を食べた後の日では、誰もの尿試料は心臓に良い塩摂取量を示していた。しかし、多くのピザとプレッツェルを食べた後の日では、答えははるかに違っている。“2年間貴方に従い、何であろうと最初の食事に仮定すれば、それが全ての過程で正確である訳ではない。この研究では多くの仮説が設定されており、その結果は信頼できない、”とアントマンは言った。