戻る

塩を欲しがるのは甲状腺に何か問題があるからか?

Do Your Salt Cravings Signal Anything about Your Thuyroid?

https://www.thyforlife.com/     2025.02.28

 

 塩辛いチップスやプレッツェルが食べたくなったり、食事に塩を足したくなったりした経験は、誰にでもあるでしょう。しかし、頻繁に塩を食べたくなるのは甲状腺に問題があるからではないかと考えたことはないか。結局のところ、甲状腺の健康は、特に代謝、エネルギー調節、ホルモン・バランスにとって非常に重要である。塩を食べたくなるのは甲状腺機能不全の隠れた兆候だと考える人もいる。しかし、本当にそうであろうか?

 塩(塩化ナトリウム)に含まれるナトリウムは、体液バランス、神経機能と筋肉の収縮、血圧の調整、免疫細胞の機能のサポートに重要な役割を果たす必須ミネラルである。対は一定量の塩分を必要とするが、過剰または不十分な摂取は健康上の問題につながる可能性がある。

 この記事では、塩への欲求が甲状腺機能と関連しているかどうか、この関係の背後にある科学、そしていつ心配すべきかについて見ていく。甲状腺機能正常者と甲状腺機能障害を持つ人の両方にとって、塩への欲求の背後にあるニュアンスを理解することは、それが単なる食事の好みなのか、それとももっと深刻な兆候なのかを判断するのに役立つ。

 

甲状腺とその機能の概要

 甲状腺は、首の付け根にある蝶のような形の腺である。代謝、体温、エネルギー量を調節するホルモンを生成する。2つの主要な甲状腺ホルモン、チロキシンとトリヨードチロニンは、体内のほぼすべての臓器に影響を及ぼす。

 甲状腺はホルモン生成を調節するために甲状腺刺激ホルモンを放出する視床下部と下垂体によって制御される。甲状腺の適切な機能は、ヨウ素、セレン、亜鉛などの必須栄養素に依存する。甲状腺が不活発(甲状腺機能低下症)または過剰(甲状腺機能亢進症)になると、疲労、体重の変化、ホルモンの不均衡など、さまざまな症状を引き起こす可能性がある。

 一般的な甲状腺疾患には次のようなものがある:

  甲状腺機能低下症は、多くの場合、橋本病(甲状腺組織を徐々に破壊する自己免疫疾患)、ヨード欠乏症、または特定の薬剤によって引き起こされる。

  甲状腺機能亢進症は、通常、バセドウ病または甲状腺結節に関連している。

  甲状腺腫は、ヨード欠乏症またはホルモンの不均衡が原因で甲状腺が肥大する病気である。

甲状腺は体液貯留と電解質バランスに影響を与えるため、その機能の変化が塩欲求につながる可能性がある。しかし、これを裏付ける確固たる証拠はあるか?塩欲求の考えられる原因を調べてみよう。

 

塩欲求の原因は何か?

 塩欲求は、脱水、ストレス、ホルモンの不均衡など、いくつかの要因から生じる。以下に最も一般的な原因をいくつか挙げる。

1.脱水と電解質の不均衡

 前述のように、塩に含まれるナトリウムは体内の水分バランスを保つために不可欠である。汗をかきすぎたり、嘔吐や下痢を起こしたり、十分な水を飲まなかったりすると、体は塩をもっと摂取したいという信号を送ることがある。これが短期的な塩欲求の一般的な原因である。

2.副腎機能不全(コルチゾール値の低下)

 腎臓の上にある副腎は、ストレスとナトリウム貯留を調節するホルモンを生成する。副腎不全(アジソン病など)はアルドステロン値の低下につながる。尿を通して過剰なナトリウム喪失を引き起こす。その結果、低血圧、めまい、強い塩欲求が生じる。副腎機能と甲状腺の健康は密接に関連しているため、甲状腺機能低下症の人は軽度の副腎機能不全により塩欲求を経験することもある。

3.慢性的なストレスと高コルチゾール値

 逆に、長期にわたるストレスはコルチゾール値を上昇させ、ナトリウム・バランスを崩す可能性がある。コルチゾール値が高いと、体液の貯留や塩辛い加工食品への欲求の増加につながる可能性がある。

4.栄養不足

 ヨウ素、マグネシウム、亜鉛の不足は、甲状腺の正常な機能に影響を及ぼす可能性がある。専門家の中には、これらのミネラルの不均衡が渇望に影響する可能性があると示唆する人もいるが、両者の直接的な関係は不明であるため、さらなる研究が必要である。現在、栄養不足は一般的な食欲の背後にあるいくつかの理論の1つである。

5.ホルモンの変化(妊娠、更年期、月経前症候群)

 ホルモンの変動を経験する女性は、特に妊娠中や更年期の女性は、塩辛い食べ物への強い欲求に気付くかもしれない。これらの変化は甲状腺機能にも影響を及ぼす可能性があるが、塩欲求だけが必ずしも甲状腺関連の症状であるとは限らない。

 

塩欲求は本当に甲状腺の健康に関係しているか?

 塩欲求と甲状腺の健康の関係は複雑である。塩欲求が甲状腺機能不全の主な症状であるという強い直接的な証拠はないが、この記事の前半で述べたように、甲状腺ホルモンが体内のナトリウム保持と水分バランスに影響を与えることが研究で示唆されている。

甲状腺機能低下症と塩欲求の関係は何か?

 甲状腺機能低下症の人は、疲労、エネルギー不足、低血圧を経験することが多く、これらはすべて塩辛い食べ物への渇望に一因となっている可能性がある。この記事の前のセクションで述べたように、考えられる理由の1つは、体がナトリウムを保持するのを助けるホルモンであるアルドステロンの生成が減少することである。アルドステロン値が低下すると、尿を通して過剰なナトリウムが失われ、代償的に塩欲求を引き起こす可能性がある。

 一部の研究では、甲状腺機能低下症の人は味覚が変化し、塩辛い食べ物など、より強い味を欲しがるようになる可能性もあると示唆されている。しかし、これらの要因は塩欲求に寄与しているかもしれないが、甲状腺疾患の決定的な兆候ではない。

甲状腺機能亢進症と塩欲求にはどのような関係があるか?

 対照的に、甲状腺機能亢進症は発汗の増加、代謝の促進、体温の上昇を引き起こし、これらはすべて軽度の脱水症状やナトリウムを含む電解質の必要量の増加につながる可能性がある。塩欲求は甲状腺機能亢進症の一般的な症状ではないが、過度の発汗と水分喪失により、一部の人は塩欲求を起こしやすくなる可能性がある。

 結局のところ、甲状腺機能は電解質バランスに役割を果たすが、塩欲求だけでは甲状腺機能障害の信頼できる指標にはならない。代わりに、疲労、体重の変化、肌の乾燥、温度不耐性などの他の症状と併せて考慮する必要がある。

 

塩欲求について心配すべきなのは何時か?

 塩欲求は、特に発汗、運動、または一般的に脱水症状を起こした後には、正常な場合がある。しかし、塩辛い食べ物に対する制御できない欲求が頻繁に発生し、以下のいずれかの症状がある場合は、医師に相談する時期かもしれない:

  慢性的な疲労と衰弱

  めまいまたはふらつき。低血圧をよく伴う。

  原因不明の体重変化。甲状腺機能低下症は体重増加に関連し、甲状腺機能亢進症は体重減少に関連している。

  乾燥肌、抜け毛、爪のもろさ

  脳のもやもや麻痺、記憶障害

  頻尿や喉の渇きは、電解質の不均衡、副腎機能障害、糖尿病の兆候である可能性がある。

甲状腺機能障害が疑われる場合、医師は副腎機能を評価するため、甲状腺刺激ホルモン、チロキシン、トリヨードチロニン・レベルやその他の検査を実施する。

 

甲状腺と副腎の健康を自然にサポートする方法

 塩欲求が甲状腺や副腎の健康に関係していると思われる場合は、食生活や生活様式を変えることで、全体的な健康状態を改善できる可能性がある。

1. 甲状腺をサポートする食事を摂る

甲状腺が正常に機能するには、特定の栄養素が必要である。食事に次のものを含めると効果的である:

  ヨウ素(海藻、ヨード添加塩、乳製品に含まれる) -甲状腺ホルモンの生成に不可欠である。

  セレン(ブラジルナッツ、マグロ、卵) -甲状腺ホルモンの変換をサポートする。

  亜鉛(牛乳、カボチャの種、レンズ豆) -甲状腺機能と免疫に重要である。

  マグネシウム(濃い緑の葉野菜、ナッツ、全粒穀物) -エネルギー生成とホルモン調節に役立つ。

2. 電解質のバランスをとる

甲状腺機能は体液バランスに影響を与えるため、適切な水分補給と電解質レベルを維持することが絶対に必要である。

  1日を通して十分な水を飲む。

  バナナ、アボガド、サツマイモなどのカリウムを豊富に含む食品を摂取して、ナトリウム摂取量のバランスを取る。

  低血圧の場合、適度な天然塩が役立つ場合がある。

3. ストレスを軽減し、副腎をサポートする

慢性的なストレスは甲状腺と副腎の不均衡を悪化させる可能性があるため、ストレス管理が重要である。ストレスを軽減するには、次のことを行なう:

  リラクゼーション・テクニック(瞑想、ヨガ、深呼吸エクササイズ)を実践する。

  適切なホルモン調節を可能にするために、質の高い睡眠を取る。

  副腎にストレスを与える可能性のあるカフェインや加工食品を制限する。