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大塩論争

The Great Salt Debate

By Sharon Palmer

Today’s Dietitian   2007.08.

 

減塩は一般的な健康推奨の線、特に高血圧者に沿っているように思える。しかし、大きな減塩は一般的に保証されていないかもしれない、と言う人もいる。

 塩は何時も戦う価値のある物であった。塩は何時の時代でも最も広く効果的に使われる保存剤の1つであり、その使用期日は、マストドンが地上を歩いていた時代と関係しているエビデンスのある有史前までさかのぼる。古代エジプトでは、塩はミイラを保存するために使われた。歴史を通して、塩は非常に貴重であったので、人々は透明な素材を巡って戦争をした。塩は多くの時代を通して世界中の場所で通過としても使われた。サラリーという言葉はサラリウム・アルジェンタムとして知られている初期のローマ兵士に与えられた塩の給与から始まった。塩は伝説、おとぎ話、チャールス・ディケンズの怪談“塩の粒で撮影する”からスェーデンの民話“カササギの尾の塩”まで数え切れないほどの引用にあふれた文化や伝統の確定された部分のようになった。

 

塩政策

 人類が塩を求めてきた情熱を考えると、現在では塩を巡る激しい戦いが起こることはほとんど避けられないように思える。健康専門家達は、高血圧や心血管疾患の危険性を減らすために社会に減塩するよう何十年間も警告してきた。健常人で塩の中の1つの成分であるナトリウムを減らす公衆衛生勧告は年々しつこく出されてきた。一般の人々に減塩するように言われるようになったとき、多くの主要な保健機関は全て同意している。2005年食事ガイドラインが血圧を下げるために塩摂取量を5.8 g/d以下に減らすように人々に要求している。アメリカ心臓協会は同じ値を勧めている。国立衛生研究所は6.1 g/d以下にすべきと示唆している。しかし、アメリカ医学協会は、アメリカ人に減塩を強調して塩摂取量や心血管疾患の危険率を減らすのに役立つかもしれない新しい政策を勧めたとき、2006613日に新しい塩の推奨値を発表したので、人々は将来の健康問題を予防できるかもしれない。

 

健康の柱低塩

 塩を悪者として述べているエビデンスは座礁したように思える。国立衛生研究所の声明によると、様々なコントロールのある介入試験や観察研究は塩摂取量を適度に減らすことは血圧低下に寄与するという強いエビデンスを提供してきた。塩摂取量を適度に減らすことは何の害もないことを入手できるエビデンスは示しているので、国立衛生研究所は、全てのアメリカ人に高血圧を予防し治療するのに役立てるために適度な塩摂取量を勧めている。

 2005年食事ガイドラインは、塩摂取量が高ければ高いほど、血圧はそれだけ益々高くなり、塩摂取量を減らすことは血圧上昇の危険性を減らすために望ましいと述べている。血圧を正常範囲に維持することは冠状心疾患、脳卒中、慢性心不全、腎疾患の危険率を下げる。アメリカ合衆国の約3人に1人が高血圧であると研究者達は推定している。高血圧は平均収縮期血圧が140mmHg以上、平均拡張期血圧が90mmHgまたは降圧剤を服用していないと定義されている。減塩に関するアメリカ医学協会の最近の政策は、過剰な塩摂取量は高血圧、心疾患、脳卒中を発症させる機会を大きく増加させ、アメリカ人は健常人よりも2,3倍の塩を摂取していると考えている。

 イギリス医学会誌に最近発表された研究で、高血圧予防試験の心血管疾患結果に及ぼす減塩の長期間効果が試験された。前に血圧を下げることを示した減塩は心血管疾患の長期間危険率も下げるかもしれない、と研究者達は結論を下した。

 

塩感受性の上昇

 情報は塩に対して個人がどのように応答するかと言う問題にも具体化される。塩感受性は、塩摂取量の低下に対して血圧がどのように応答するかと言う基準である。高血圧に加えて、塩感受性は左心室肥大のような状態を発症させる危険性を増加する。左心室肥大では、心臓の主たるポンプ室は肥大し、適正に機能せず、腎臓問題の可能性がある。国立心臓・肺・血液研究所により支援された研究によると、塩に対する関連性は高血圧と同じほど死亡の危険率を増加させる。

 “人々は加齢に伴って塩により感受性になり、55歳の高血圧でない人は加齢に伴って高血圧発症の機会は90%ある。生涯にわたる食事パターンとして塩摂取量の低下を奨励することは賢明であると思う、”と栄養食品コンサルタントでThe DASH Diet Action Planの著者であるマーラ・ヘラーは言っている。

 

低塩か破綻か?

 万能減塩の批判者達は踏み込んで、低い塩摂取量は一般の人々については必要でないか、または良いことではないかもしれない懸念を表明している。減塩と高血圧に関する多くの科学者の中で、何人かの科学者達は関係学会誌に議論のある論文を発表し、大多数の人々に対する減塩の有効性について疑問を呈している。特に減塩が生活問題の質を考えることに関して一般的な減塩を支持する十分な疾患予防のエビデンスが実際にあるか?

 ヘラーは次のように言っている。“全ての人々に減塩が必要であるかどうかについて興味深い論争がある。高血圧発症は非常に低い塩摂取量の文化社会ではほとんどないことを我々は知っている。しかし、これらの文化社会では、総カロリー摂取量と体格指数は低い傾向があり、運動量は先進社会よりもずっと多く、そのことは確かに低塩摂取量が血圧に及ぼす最重要な影響要因であるかどうかについての混乱因子である。”

 ニューヨークのアルバート・アインシュタイン医学校のミカエル・アルダーマンはアメリカ高血圧学会誌の主編集者に最近指名され、次のように言っている。“塩摂取量が血圧に関係していることに疑問はない。しかし、全員の減塩は全員の健康をより良くすることにはならない。塩摂取量の変化は他の結果をもたらす、例えば、インシュリン抵抗の増加であり、それは心臓発作や脳卒中の増加兆候をもたらすレニンーアンジオテンシンのホルモン系を活性化させる。”

 同誌に発表された別の論文で、バーミングハムにあるアラバマ大学の研究者達は、注意深く観察すると一般的な人々で塩摂取量/排泄量と血圧との間にわずかに弱い関係があった、と述べた。血圧に及ぼす減塩の効果は極小であったと著者らは述べた:塩摂取量/排泄量低下程度と血圧効果との間には関係がなく;そして死亡または心血管疾患に及ぼす減塩効果のエビデンスはなかった。ある人々は急速な減塩に応答して大きな血圧変化を示し、塩感受性と呼ばれた。

 19985月にアメリカ医学協会誌で発表されたメタアナリシスで、塩摂取量と高血圧の研究は、正常血圧者の血圧に及ぼす減塩の効果はこの集団で減塩食を一般的に勧めることは出来ないことを明らかにしたが、減塩は高血圧患者に対する補助治療として有益であるかもしれない。

 20063月にアメリカ医学会誌に発表された第二回国民健康栄養試験調査の追跡研究で、アルバート・アインシュタイン医学校の研究者達は、塩摂取量と死亡率に関係したエビデンスは少なく矛盾していることを述べ、塩摂取量と明らかにされた心血管疾患死亡率との逆相関は低塩食による長寿の可能性に関して疑問が生じたと結論を下した。“塩摂取量が5.8 g/d以下の人々は長く生きるか、または心臓発作が少ないことを示すデータはない。我々が全てのアメリカ人に減塩するように語る前に、低塩食が生活を改善し、または命を延すエビデンスを我々は必要とする、”とアルダーマンは言っている。

 

DASH

 一方、DASH食として良く知られている高血圧予防食は血圧管理と予防で勢いを得てきた。DASHと呼ばれる研究で、高血圧の予防または基本的な治療のために優れた血圧低下効果が示された。DASH食の中心は、人々が食べるべきでない以上にむしろ食べることを強調している組み合わせ食事計画である。果物、野菜、複合炭水化物、そして低脂肪乳製品が豊富で、DASH食は、脂肪、飽和脂肪、コレステロール、ナトリウムが低く、典型的なアメリカ人の食事よりもカリウム、カルシウム、マグネシウムが高い。DASH食計画で、2つの塩摂取量がある:5.8 g/d3.8 g/dである。それらの内、後者はさらに血圧を下げるかもしれない。

 “私は新鮮な果物、野菜、赤身の切り肉、魚あるいは鶏肉を強調しながら、人々に表示のない食品をもっと選ぶように奨励する傾向がある。そのことはより積極的に食べることにより医療を受けない方法である。それにより塩をあまり加えない食事で結果を達成し、同時にカリウムの豊富な食品の摂取量を増加させる。そのことはナトリウム摂取量と釣り合わせるのに役立つかもしれない。これはDASH食が血圧を下げるように作用する1つの方法であるように思う、”とヘラーは言っている。

 

何処にでもあるナトリウム

 人体には塩が必要であるとしても-ナトリウムは身体の細胞外液の主要成分であるので、細胞に栄養を運び、血圧や体液量のような身体の機能を制御するのに役立つ-人々はわずかに約0.5 g/dの塩を必要とする。しかし、アメリカ人は塩の摂り過ぎである。アメリカ心臓協会によると、平均的なアメリカ人は6 – 18 g/dの塩を摂取している。

 国民の食事は加工食品が多くなり、無添加食品に頼ることが少なくなったので、食品中のナトリウム量は増加した。食品中に自然に含まれるナトリウム量は全摂取量のわずかに約10%であり、食卓や調理で全摂取量の5 – 10%の塩が加えられた。我々の塩摂取量の大部分である75%は製造者によって加えられた塩から来る。人々がレストランの食事やファーストフードから得ている塩も多い。高度に加工された食品またはレストランの料理一人前中の塩が2.5 g以上であることは普通である。

 “多くの人々が手軽な物としてコンビニの食品や塩含有量の高い缶詰製品を食べている。若い人々は料理法を知らない。コンビニの食品、加工食品、レストランの食品を多く食べている、”とアメリカ栄養士協会の代表者であり、ワシントン州バンクーバーの南西ワシントン医療センターで栄養、糖尿病、体重管理、負傷治療の部長であるディ-・サンキストは言っている。

 

低塩習慣の促進

 “思いがけなく”栄養問題が食品製品に転化される-トランス脂肪酸ゼロから農産物中の農薬排除まで-と言う今日の風潮では、低ナトリウムと言う言葉遣いは食品表示からなくなるようである。結局、食品製造者達は最近の社会の抗議に合わし続けなければならない。食品表示を熟読するときに非常に多くの心配事があり、多分、健康志向の消費者は増加するリストの一番下にナトリウム含有量を記載し始めている。“食品を注文または購入するとき、多くの消費者は塩について考えることはないと私は思う。塩について考える人々は医者に行っている人々か、血圧が高い人々である、”とサンドキストは言っている。

 ACNielsen’s LabelTrends報告書によると、表示に抗酸化剤、繊維、保存剤無添加、自然産品と記載されている製品は10%または2005123日に終わる52週間以上増加した(前年対)。一番の健康表示である減脂肪製品は年間販売高350億ドルで、低脂肪製品年間販売高でさらに155億ドル追加された。低塩製品は年間販売高で110億ドルの市場というシェアーで小さかった。

 アメリカ医学協会の減塩勧告の範囲内で、塩が安全物質として一般的に認められていることを食品医薬品局が取り消し、加工食品やレストラン料理の塩を制限する規制措置を展開する強い衝動があり、次の10年間で加工食品やレストラン料理の塩含有量を50%低下させ、学校で減塩教育をし、食品中の塩含有量を理解するのに消費者をより良く支援する食品表示の改善を要求している。

 しかし、多くの食品加工者は消費者に美味しく食べられる-缶詰スープからスナック食品まで-減塩の小売り製品を既に上手く作り出してきた。そして調理界では低塩料理本が沢山ある。ファーストフードや他のレストランで適塩料理を見つけることはまだ課題である。それでも業務内で料理の変更に適合させることにより適塩料理は容易に出来るかもしれない。多くのレストラン・チェーンがメニュー提供のために塩の情報を公開し、食事による塩摂取量を制限する注文オプションを顧客に提供できるようになると、多分、夕食で適正な塩摂取量を選択できるようになることはもはや不可能なことではないように思う。

 “平均的な消費者のために、ナトリウムを理解することは難しい。栄養士が減塩を現実のものにするようにメッセージの翻訳を助けることは重要である。それは何を意味するか?消費者のために1,2のキーポイントを明らかにする、”とサンキストは示唆している。“職業として、食事の全体な品質に焦点を置くことは本当に難しい。消費者が最新版の新聞を買って栄養記事を読むことは容易である。我々は総合的な食事のために人々がそれを目につくように助ける必要がある。”

 “栄養士は好ましい患者の結果として適正な塩摂取量に焦点を起き続けると言う良い仕事をしていると私は思う。適正は様々な集団グループで異なった事を意味するかもしれない。例えば、加工食品とファーストフードから来る食事のパーセントや加工食品の少ない食事を用意する技術と時間を患者が持っていることに依存している。時々、非常に簡単な目標は昼食や夕食で新鮮なまたは冷凍の野菜を幾つか含めることである、”とヘラーは言っている。全集団に最適な健康を促進させるとき、そのアドバイスに異議を唱える人はほとんどいない。