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高塩食はホルモン混乱を通して抗菌好中性応答を傷つける

A High-Salt Diet Compromises Antibacterial Neutrophil Responses through Hormonal Perturbation

By Katarzyna Jobin, Natascha E. Stumpf, Sebastian Schwab, Melanie Eichler, Patrick Neubert, Manfred Rauh,

Science Translational Medicine  2020.03.25

 

好中球の塩漬けゲーム

 塩化ナトリウム()は様々な状況で免疫応答を活性化させることを示してきた。対照的に、塩は好中球の抗菌応答を損ねる可能性をJobinらは示している。摂取された細菌を殺す好中球の能力を減ずるために、高塩食を食べたネズミは悪化されたE..coli腎臓または全身のListeria monocytogenes感染を患った。好中球能力低下は直接的に塩や尿素によるのではなく、塩で誘引された高グルココルチコイド症によるものである。さらに、健常なボランティアからの好中球は高塩食摂取後に生体外で細菌を制御する能力を低下させた。典型的な西欧食が多くの塩を含んでいるとすると、これらの結果は、人々が細菌感染に対してより攻撃され易くなることを示している。

 

要約

 西欧食は塩含有量が多く、そのことは様々な健康危険をもたらす。高塩食は、ナトリウムが特に蓄積される皮膚で活性化されたT細胞5(Nfat5)-信号経路の中心的な要因を通して免疫を刺激できる。腎髄質も水保持のために浸透圧勾配を構成するためにナトリウムを蓄積する。ここで我々は最も一般的な腎感染症である尿路病原性E. coli誘因性腎盂腎炎に対して免疫防御に及ぼす高塩食の影響を研究した。思いがけなく、腎盂腎炎は2つの機構によって高塩食ネズミで悪化された。第一に、高塩食でナトリウムは排泄されなければならない;したがって、浸透圧勾配を構築するために腎臓は代わりに尿素を使った。しかし、ナトリウムと比較して尿素は腎盂腎炎に対する主な免疫効果因子である好中球の抗菌機能を抑制した。第二に、身体はアルドステロン・シンターゼを抑制することを通してミネラロコルチコイド産生を低下させることによりナトリウムを排泄する。これはグルココルチコイド機能性を持ったアルドステロン前駆体の蓄積を引き起こした。前駆体はグルココルチコイド・リズム、損なわれた好中球産生、系統的に抗菌機能を働かせる日中の副腎皮質刺激性のホルモンを破壊した。一貫して高塩食下で全身のListeria monocytogenes感染はグルココルチコイド依存状態でも悪化させられた。グルココルチコイドはNfat5発現を直接的に誘引したが、腎臓Nfat5発現の薬理学的正常化は抗菌的防御を復活できなかった。最後に、1週間高塩食を食べた健常なヒトは高グルココルチコイド症を示し、抗菌的な好中球機能を損なった。要約すると、高塩食は局所微小環境を変え、総合的にグルココルチコイドを介した免疫抑制によってNfatsに関係ない腎臓内の好中球を抑制する。これらの結果は細菌感染中の高塩食を禁じている。