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岩塩坑による解決

The Salt Mine Solution

ニューメキシコ州の砂漠の半マイル下のサラド岩塩鉱床で、WIPPは拡張してきた原子力発電計画の全ての放射性廃棄物を貯蔵する部屋を持っている。

By Matt Palmquist

Pacific Standard Jun 14, 2017

 

 “素晴しい”エレベーターはスムーズな乗り心地と75人用の部屋を備えた高級ホテルのような物である。それは6重の安定性を持っており、1本のケーブルが切れると、他のケーブルと1つまたは2つの緊急ブレーキで衝突による死亡を防ぐだろう。安全ベルトに付いている自己救助呼吸器を調整するのと同じように、我々はニュースを受け取る:“素晴しい”エレベーターには問題がある。我々はソルト・シャフトを持たなければならない。

 他のエレベーターは垂直な塩シャフトの中を1本のケーブルでつり上げられた実は美しく飾られた籠である;それはある程度のゆとりがあり、古いローラーコースターのようにシャフトの中をガタガタと上下している。“下の床が落ちるように感じるだろう、”と籠の扉がガタガタと閉じて、エレベーターがきしり始め2,150フィート降りていく。数秒以内で全てが真っ暗になる。今や坑夫のヘルメットのランプに焦点をおくよい時で、幾つかのスイッチが入り、籠の外側を高速で通過するシャフトの壁から小さな光の点が見える、とネルソンは述べている。“誰も全く静かになる、”と空気が冷えるにつれてネルソンは言う。“祈り?”

 20分のように感じる5分後、乗車は終わり、籠から赤い縞が染み込んでいる灰色の壁で囲まれた長い廊下に踏み出した。目に入った最初の標識は“ようこそ地下のWIPPへ”である。安全に取り組んでいる環境に入ったばかりである。次に見た標識は“止まれ!安全でなければ、するな。”である。警告理由がある。ここニューメキシコ州砂漠南の半マイル地下で、我々は世界で唯一操業されている深い地下核廃棄物処理場に入っている。エネルギー省の廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)1999年以来核廃棄物の処理場となった;その運搬車は全米で700万マイル以上を記録し、低と高レベルの両方の放射性廃棄物を施設に運び込んだ。10年間の操業で、WIPP95,000トン入った廃棄物コンテナを処理した。それは250,000ガロンのドラム缶に相当し、環境に毒性物の放出または汚染された人員はなかった。ネバダ州のユッカ山に廃棄物を貯蔵する計画をオバマ政権が放棄する決定をしたことに照らしてWIPPは驚くほどメディアの注目を集めていないけれども、施設とそれを取り巻く地域は今後10,000年に人が作り出す全ての核廃棄物を貯蔵する能力を持っている、と専門家達は言う。

 残念ながら、官僚的な問題がある:カーター大統領の下で、アメリカ合衆国は、より大きな発電所の燃料となるプルトニウムや他の核分裂性材料を作り出すために商用発電所からの使用済み核燃料を再処理しないことを1977年に決定した。しかし、使用済み燃料棒は、再処理のためにそれらを取得できるようにする方法で貯蔵すべきであることを政府は指導した。そこでアメリカ合衆国は核廃棄物を2つの一時的なグループに分けた:発電所からの商用廃棄物はネバダ州のユッカ山廃棄所に送り、必要であれば、そこから取り出される;そして軍事施設や全国の海軍造船所から集められた防衛廃棄物はWIPPに委ねられた。しかし、政治的・技術的論争の数十年後の今、ユッカ山は決して終わらないようである。そしてWIPP-サラド塩鉱床内にあり、ペルム紀からの23千万年前の古い海水が塩結晶内に閉じ込められまだ見られるほど堅い巨大な層状の塩堆積物-は計画通り廃棄物を貯蔵しているにもかかわらず、アメリカの商用原子力発電所が生産する使用済み燃料にはまだ使用できない。

 サラド生成の価値は数多くある:塩はそれ自身からの放射線をほとんど出さず、半マイル地下にあり、鉱床は十分に隔離されているが、軟らかく容易に採鉱できる。また、塩は毎年2,3インチ動く“プラスチック流動体”であり、WIPPの核廃棄物の空洞に忍び寄って最終的にそれらを封鎖する。塩の壁が核廃棄物容器の周りを一度閉じて、割れ目や開口部が閉じ、水や廃棄物が出入りする経路がなくなる。15年間に、地下施設は完全に封鎖され、数千年間不浸透になるとエネルギー省は推定している。

 見えている物は全て塩で、ジム・コンカはエレベーターから降りると直ぐにつるはしを手に壁にひざまずいて、25千万年前の99%純粋な塩の塊を砕いた。これはマルガリータに最適な塩である。熱心で愛想が良く、小さなイアリングを身に着けたコンカはニューメキシコ州立大学のカールスバッド環境モニター研究センター長である。そこは世界中のどの施設よりも最低の放射化学的検出限界としており、過去13年間、WIPP周囲の半径100マイル内の大気、水、土壌、人々をチェックしてきた。WIPPの無傷な記録を飲用して、ここで働くことはトイザらスで働くよりも安全である、と彼は言う。

 WIPPの主任科学者ネルソンは積極的なコンカよりも慎重である、しかし、ジープが着くのを我々が待っているとき、彼はまだニヤッと笑って親指を突き出している。ハンドルを握ると、21年間連続でニューメキシコ州で最も安全で有名な鉱山は、労働者が地下で必要とするあらゆる物を揃えている、とネルソンは説明している:車両整備店、昼食室(あるいは坑夫が呼んでいる“ディナーホール”)、専用の救急車や消防署まである。メイン廊下の塩の壁に掘られた一連の小部屋には由緒ある救急車と消防車があり、まだ十分に活躍しており、それらの小型車は狭い坑道や塩坑道の一方通行を通り抜けるのに最適である。

 WIPP1マイル幅の地下領域にはしばしばくぼんだ交差点のある一連の通路がある;ネルソンが十字路に達するときは何時でも速度を緩め、他の車両への警告として素早く何回か警笛を鳴らす。ほこりっぽい床には捨てられた耳栓が捨てられている;危険標識と緊急電話が切り込まれた壁に点在している。古代の汚れた塩が閉じ込められている所に時々赤い帯がある。通路の多くはエアロックで区切られており、隣の部屋から空気が混ざり合うのを防ぐために開閉する自在ドアが付いている。機密の扉は天井からつり下がっている緑色と赤色のコードで制御され、車両から簡単にアクセスできる:赤色は通り過ぎた扉を閉め;緑色は前の扉を開ける。“我々連邦職員でさえそのことを理解できる、”とネルソンは話す。

 

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WIPPの放射線管理技術者が超ウラン元素廃棄物の取り扱いを監視している。

 

 管理された空気は地下設備の一端から他端へ流れ、坑内で再循環されず、排出孔から出るまでに様々なセンサーで連続的にモニターされる。我々が進むほどに温度は下がり、坑内の湿度1%で粉砕されるので、唇の周りを舌で舐めると塩辛く感じる。“角を曲がると、東西間で過去60年間にわたる冷戦の核遺産を見るだろう、”とネルソンの声が深く響き渡る。

 曲がり角の周囲には幅約10ヤード、高さ5ヤードで100ヤードの洞窟がある。その外縁と天井まで黒い樽で満たされており、全てに放射能の明確な黄色のハザード標識が付いている。高さ三層で幅6個の樽はお互いに5つのグループにテープで巻かれ、10,000のドラム缶が各収納庫に収まる。完全に掘削されると、WIPPはそのような収納庫をほぼ60個持つ。我々のグループが樽から約20フィート近づいたとき“多分、これ以上近づくべきではない、”とネルソンは言う。“彼等は放射能を遮蔽するためにRadRopeを持っていない。”襟にクリップされた線量計をチラリと見るだけで十分で、放射能を示していない。私の前の厳密に遮蔽されたドラム缶は全て超ウラン元素で満たされている(廃棄物は周期表でウラン以上の元素、主にプルトニウムを含んでいることを意味する);巨大なドラム缶と樽の中の材料は椅子の脚、ぼろ切れ、さびた道具のような廃棄物で汚染されている。“この設計には非常に堅牢性があり、信じられないくらいである、”とネルソンは言う。“これは皆の高水準廃棄物のように見える。”事実、フランスからの政策当局はWIPPを調べるために最近“ダウンホール”に行った。

 我々はジープに戻ってよじ登り、呼気に向かってドライブし、顔には激しい風が当たり、廃棄物の最初の受け入れを待っているまだ何も置いていない空の洞窟を通しすぎる。そして空洞はしばらく待っている可能性がある。アメリカ合衆国は核資源からその出力の20%を発生させ、核廃棄物の2,000トンだけが毎年発生し、鉄道車両の約半分に相当する。 (コンカが指摘しているように、石炭火力発電所は毎年もっと多くの放射性廃棄物を実際に生じている)

 地上に戻り、ネルソンは我々にHot Cellを示す。それは地下の鉄道を使って塩鉱山に放射性廃棄物を運び込む前に、非常に高い放射性廃棄物を処理するように特別に設計された部屋である;数十年前の環境保護庁の規制がなければ、100倍も高い放射性物質を扱っている可能性があったという失望の雰囲気で彼は述べている。それは厚さ4フィートのオレンジ色の扉で守られており、開閉に1時間かかり、コンカに観察を促している:“この辺りは全てが非常に素晴しいブルートフォースである。”しかし、Hot Cellには別の目的がある:WIPPの運営者は、将来その場所に人の利益(または侵入さえ)があることを想定する必要があり、鉱山が閉鎖された後でもHot Cellはずっと存在したままで、施設の地上の建物の残りは取り壊された。エネルギー省は代弁者、人類学者、他の科学者のパネルと協議した。しかし、潜在的な侵入シナリオ、象形文字、幾何学的記号の研究、および7つの言語による記述で、Hot Cellと周辺の記念碑の外観が覆われ、地下数千フィートの塩鉱床を乱すべきではないことを数千年の将来に訪れる人々に説明している。

 数十年前にナサの不運なチャレンジャー計画と現在外されたユッカ山計画(“不必要で…そしてそれを置くのに悪い場所”と彼は呼んでいる)の両方で働いていたコンカは、世界のエネルギー危機の手綱を握るアメリカ合衆国の最高で-多分最後の-好機をWIPPが代理していると頑強に主張している。彼は原子力の保証に関してカリフォルニア州のバークレーとローレンス・リバモアー実場で政策立案者と一緒に2009年の前半を国務省でオバマ政権の役人であった。原子力は石炭よりもずっと安全であり、世界のエネルギー市場に実際の影響を与えることからまだ数十年離れている無数のグリーンテクノロジーよりもずっと効率的である、と彼は強調している。コンカの心の中では、WIPPは原子力発電に対する多くの反対意見に対抗している:アメリカ合衆国が他の国の廃棄物を貯蔵することに賛同し(“そして気付かない”とコンカは言う)、新しい原子炉が建設されるときコストがかなり低下すれば、拡散は問題にならない。25億人が一次エネルギー源として木材や堆肥をまだ燃やしている世界で、原子力発電への変更は必要であるだけでなく安全で追求する倫理的な道であることをコンカの計算は語っている。

 “これは我々が出来る最良のことである、”とWIPPがある風が吹きすさぶニューメキシコ州砂漠の得体の知れないベージュの建物群に向かって手を振りながらコンカは言っている。核廃棄物処理は、我々が必要とするレベルを得ることから原子力発電所を維持する障害物ではない。代替案は経済的および環境的に壊滅的なものになるだろう、と彼は嘆く。“原子力発電を望むがすべて政治的であれば、それを問題とすることが出来る。”