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食事からの塩摂取は脳卒中のリスクと関連しない:

メンデルダンダム化研究

Dietary Salt Intake Is Not Associated with Risk of Stroke:

A Mendelian Randomization Study

By Xiaomei Zhang, Ruirui Tan, Xinyan Jia, Xingquan Wu, Hongdong Sun,

Liyuan Xue, Chenxi Qi, Yonggang Yang, Zhaohui Wang

Medicine 2024;103:e40622    2024.12.20

 

要約

 これまでの研究では、食事からの塩摂取量と脳卒中の相関関係が実証されているが、両者の因果関係に関する決定的な証拠は不足している。我々はその潜在的な関連性を調べるために、2サンプルのメンデルダンダム化研究を実施した。食事からの塩摂取量に関するゲノムワイドなデータは、462,630サンプルを含むゲノムワイド関連研究から入手した。脳卒中の遺伝的インスツルメントも446,969サンプルを含むゲノムワイド関連研究から入手した。両方のサンプルはヨーロッパからのものであった。メンデルダンダム化分析では、主に分散逆数法を使用した。また、メンデルダンダム化(MR)Egger、位置加重中央値、単純モデル、加重モデルなど、いくつかの補完的なメンデルダンダム化法も実行した。結果は、食事からの塩摂取量と脳卒中の間に相関関係はなく、遺伝的に決まることを示した。Cochran Q検定とMR-Egger法のどちらでも明らかな異質性は見つからなかった。さらに、MR多面的残差和および外れ値全体検定およびMR-Egger回帰切片でも多面的効果は示されなかった。我々のMR研究の結果は、食事性塩摂取量と脳卒中リスクの間に直接的な因果関係がないことを示している。この関係の安定性をさらに確認し、結果を臨床に応用するには、さらなる研究が必要であった。

 

1.はじめに

 脳卒中は罹患率、死亡率、障害率が高く、個人、家族、社会に多大な負担をもたらす医学的疾患である。世界中で毎年約1,230万人が初めで脳卒中を患っており、人口の高齢化、病気の若年化、不健康な生活習慣、環境の悪化などの悪影響により、脳卒中の発症率は今後数年間で継続的に増加すると予想されている。2019年に発表された世界疾病負担研究のデータによると、脳卒中は世界で2番目に死亡原因となる疾患である。さらに、血圧(収縮期血圧)、血中脂質、血糖値(空腹時血糖値)を効果的にコントロールし、適切な運動を行うことで、脳卒中のリスクを軽減できる。さらに、食事因子は脳卒中の発症に重要な役割を果たした。脳卒中のリスク要因をより良く理解することは、脳卒中の予防と治療に不可欠である。

 塩は我々の日常生活に欠かせない調味料であった。塩の主な化学成分はナトリウムである。食事からの塩摂取と脳血管疾患の間には必然的な関係があった。研究では、食事中の塩が少なすぎても多すぎても、心血管疾患や死亡のリスクが増加することが示されている。2012年、世界保健機関は成人のナトリウム摂取量を1日1.22 g(塩摂取量は1日35 g)にするよう強く推奨した。この量は血圧に良い可能性がある。2012年、食事中の塩摂取量が多いことが脳卒中に関するメタアナリシス研究では、食事中の塩摂取量が多いことが脳卒中、特に虚血性脳卒中の危険因子であることが示唆された。しかし、他の研究では、矛盾した結果が出ており、高塩摂取量は脳卒中の危険因子ではないと示唆している。食事中の高塩摂取量が脳卒中の危険因子であるかどうかという問題は議論の的であったため、我々は証拠を見つけるためにメンデルダンダム化研究を進めた。

 メンデルダンダム化は、遺伝子変異を操作変数として利用し、関連する曝露因子と結果との因果関係を評価する疫学的手法であった。遺伝子変異は妊娠中にランダムに割り当てられて確立され、メンデルダンダム化は潜在的な交絡や逆因果関係バイアスの影響を受けにくいため、メンデルダンダム化は因果関係の評価に広く使用されている。したがって、本研究の目的は、食事中の塩摂取量と脳卒リスクの因果関係を調べることであった。本研究では、ゲノムワイド関連研究の最新の要約データに基づいて、2サンプルのメンデルダンダム化研究を使用して、食事からの塩摂取量が多いことが脳卒中のリスクと関連しているかどうかを明らかにした。

 

2.材料と方法

2.1. 研究設計

2.2. 倫理的承認

2.3. データ・リソース

2.4. 遺伝子検査機器の選択

2.5. 統計解析

 

3.結果

 

4.考察

4.1. 長所と限界

  以上の章と節は省略。

 

5.結論

 遺伝的に決定された食事からの塩摂取量の多さと脳卒中リスクの増加との間には、直接的な因果関係は認められなかった。今後、この相関関係をさらに確認するための研究が必要になる。