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コレスポンデンス

塩を超えて-高血圧の疫学について次はどこか?

Beyond Salt Where Next for Hypertension Epidemiology?

By Grant Schofield, George Henderson, Catharine Crofts

Lancet 2016;388:2110  Correspondence

 

 ランセットの論説は、現在の集団レベルによる減塩の安全性と有効性に関して弱くて矛盾したエビデンスに直面してエビデンスに基づいた減塩政策を呼び掛けている。現在のエビデンスを根拠としている一つの限界は、塩が食事に関して関係のない独立した要因として通常考えられていることである。摂取されたナトリウムはナトリウム制御の代謝に及ぼす効果を持っている。

 インシュリン抵抗と高血圧は代謝症候の要素として原因的に関係しており、本態性高血圧はインシュリン抵抗や高インシュリン血症と関係している。高インシュリン血症はナトリウムの再吸収を刺激し、再吸収は通常のグルコース受容体と共同している。インシュリンの継続的な抗ナトリウム排泄作用は増加したグルコースによって誘発される。低いインシュリンやグルコース量は空腹と関係しており、極端に炭水化物を制限した食事は体液量とナトリウム・ホメオスタシスの両方を低下させ、ナトリウム・ホメオスタシスは十分に低下するので電解質のインバランスを防ぐために塩を補給しなければならないかもしれず、降圧剤治療は減らす必要があるかもしれない。

 さらなる塩摂取量調査には空腹時のトリグリセライド/HDL比を含めることを我々は示唆する。この比は、インシュリン抵抗で高い炭水化物を含む食事をしている人々を見分けるために安価な代替となるという根拠に基づいているからである。

 高インシュリン血症と食後の上昇した血糖値を示すこれらの条件が、増加したナトリウム貯留を通して心臓血管疾患の危険率増加と関係しているとすれば、研究者達は塩だけが歴史的に責任の過剰な分担をさせられた病理学の根本原因の特定に一歩近づいている。