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レビュー論文

ナトリウム・イオン電池用電解質に関する最先端のレビュー:

潜在的な最近の進歩と技術的課題

State-of-the-Art Review on Electrolytes for Sodium-Ion batteries:

Potential Recent Progress and Technical Challenges-

By Navid Aslfattahi , L. Samylingam, Maryam Sadat Kiai, K. Kadirgama,

Vladimir Kulish, Michal Schmirler, Zafar Said

Journal of Energy Storage  2023;72: 1-13     2023.11.30

 

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ハイライト

  ナトリウム・イオン電池の電解質の開発と改良に関する最新の論文の包括的なレビュー

  さまざまなタイプの電解質を使用したナトリウム・イオン電池に関する包括的な議論

  これらの新しい技術の効率を向上させるための利点と欠点に特に焦点を当てる。

  これらのデバイスへの進歩的なナノマテリアルの応用に関する包括的な議論

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要約

 リチウム電池は、電気自動車を進化させるための重要な技術として重要な役割を果たしている。しかし、大容量貯蔵用のリチウム・ベース技術を確立するには、材料の入手可能性やコスト効率などの重大な課題に直面する。したがって、既存の課題に対処するための戦略的アプローチを開発する必要がある。リチウム・ベースの技術に代わる新しい持続可能な化学物質としてナトリウムを使用することは、最も魅力的な代替手段として有望な解決策となる傾向がある。ナトリウム・イオン電池の著名な研究者達から大きな関心を集めている新しい電極材料の探索にもかかわらず、電解質に関する研究活動はあまり注目されていない。本論文では、ナトリウム・イオン電池の電解質、特に液体電解質の開発と改良に関する最新の論文をレビューする。これはさまざまな種類の電解質を使用したナトリウム・イオン電池に関する最新の包括的な議論であり、これらの新しい技術の効率を向上させるための長所/

短所に特に焦点を当て、これらのデバイスへの先進的なナノ材料の応用に関する包括的な議論である。

 

はじめに

 リチウム電池は、携帯型電子器機に関連する優れた性能と定置型用途への有望な可能性により、電気自動車の進歩のための重要な技術として重要な役割を果たしている。しかし、大容量貯蔵のためのリチウム・ベースの技術を確立するには、材料の入手可能性やコスト効率などの重大な課題に直面する。リチウムの需要は、送電網関連の用途と自動車輸送の両方が大半を占めるエネルギー貯蔵需要で急激に増加すると見られ、リチウム資源の不足により克服できない可能性があり、科学界は真剣な注意を払う必要がある。この見解を踏まえて、既存の課題に対処するための戦略的アプローチを開発する必要がある。リチウム・ベースの技術に代わる新しい持続可能な化学物質としてナトリウムを使用することは、最も魅力的な代替手段として有望な解決策となる傾向がある。リチウムをナトリウムに変更する理由は、同様のインターカレーション化学、ナトリウムの豊富な資源、および高いリサイクル性によるものである。図1(省略)は充放電プロセス中の電解質中のナトリウム・イオンの移動を考慮したナトリウム・イオン電池の動作原理を示している。

 ナトリウム・ベースの技術はNa/NiCl2 ZEBRA型システムと高温Na/Sセルの使用を通じて、電気自動車に効果的に利用できることが実証されている。どちらのアプローチにも、300 ℃の温度まで固体の熱伝導率を有するベータアルミナセラミックの利用が含まれる。リチウム・イオン・ベースの技術の確立された知識によれば、室温でのナトリウム・イオン電池の開発は実現可能な目標であるはずである。室温セル技術は、より安全な手順や腐食性液体の防止などの重要な有益な要素につながり、長い起動時間の解消に役立つ。エネルギー密度ではなくコストが用途の主な考慮事項である場合、ナトリウム・ベースの電池を検討するのが良い選択肢である。これは、必要な比エネルギー密度と比較してコスト面が重要であるため、大規模用途に特に当てはまる。リチウムおよびナトリウム・ベースの技術におけるインターカレーション化学の傾向はほぼ同様である。携帯機器用のリチウム・イオン技術はかなりの成功を収めているため、ナトリウム・ベースの解決策は時代遅れになりつつある。しかし、研究者達は最近、ナトリウムをベースにしたネガティブ挿入化合物とポジティブ挿入化合物の両方を必要とするナトリウム・イオン技術の大きな関心を示している。Yinらはナトリウム・イオン電池用のフレキシブル陰極を開発した。著者らは950サイクル後の0.5 A/g99.2 mAh/gの優れたサイクル安定性と10 A/g108.6 mAh/gの高速性能を備えた3D炭素骨格ナノファイバーにSnNb2O6をカプセル化した自立型SnNb2O6@CSNフレキシブル・フィルムを作製した。Huangらは新しい一次元V3S4@NCnナノファイバーの製造を通じてナトリウム・イオン電池用の有望な陰極材料を報告した。これらは、0.1125 A/gでそれぞれ455343307249 mAh/gの高可逆容量に達し、その後300サイクル後に10 A/g96.5%の容量維持率を達成した。Renらは優れたサイクル安定性(10C10,000サイクル以上の容量維持率79.6)と優れたレート性能(20C64 mAh/g)を備えたナトリウム・イオン電池の正極として階層的炭素修飾Na4Fe3(PO4)2P2O7ナノファイバーを作製した。Wangらはナトリウム・イオン電池用の電極としてSnSe2/Nドープ多孔質炭素繊維(SnSe2/NPC)自立膜を開発した。著者らは優れたレート性能と卓越したサイクル安定性を報告した。

ナトリウム・イオン電池の高性能で長寿命の陰極を実現する実現可能な機会を探ることも、この研究の成果であった。Tongらはナトリウム・イオン電池用に83%というと高率容量(5 A/g208 mAh/g)を備えた多孔質炭素を開発した。著者らはナトリウム・イオン電池の陰極として有望な硬質炭素材料を合成する新しい方法を提供した。Wangらはナトリウム・イオン電池用の先進的な陰極としてMXene-MoS2ヘテロ構造を設計および開始した。著者らは、開発した材料が急速なナトリウム・イオン輸送速度に加えて、電極材料の構造安定性を高めることを証明した。さらに、0.2 A/g315 mAh/gという優れた可逆容量が達成された。

 ナトリウム・ベースの正極にはさまざまな選択肢があるが、現在、硬質炭素が負極として最も効果的な選択肢となっている。しかし、満足のいく初期クーロン効率が得られないことは、硬質炭素材料に関する重大な問題の1つである。遷移金属酸化物を考慮する場合、低電位での挿入反応と変換反応が競合するため、小さな選択肢がある。挿入反応は初期の

3D金属酸化物にのみ好まれる。同時に、NaxVO2とナトリウムの間の可逆反応に関連する中程度の電位が証明されており、NaTi3O7は影響力のある低電位挿入ナトリウム化合物として認識されている。これは、Na+/Na0に対して0.3 Vで式単位(200 mAh/g)あたり2つのナトリウム・イオンを反転できる二相酸化還元機構を備えている。電極/電解質界面はNa+/Na0サイクルに対して十分に安定していない。酸化還元プロセス中に起こる構造変化やSEIの複雑な発生メカニズムを理解するには、さらなる研究が必要である。

 マンチェスター大学Geimによる2004年のグラフェン調製は、二次元材料の新時代を切り開いた。最近、研究者達は二次元の金属有機骨格、遷移金属硫黄化合物、金属配位高分子に焦点を当てている。Gogotsiらは2011年に高い剛性、耐食性、導電性、熱伝導性を備えたフッ化水素酸を使用して、MXeneを開発した。その他の用途には、エネルギー貯蔵、触媒作用、メタノール酸化、水素発生、スーパー・キャパシタなどが含まれる。高い可逆容量、延長されたサイクル期間、および高いエネルギー密度はMXeneに関連する重要な要素である。強力なNaおよびKインターカレーションと大きな層間ギャップにより、MXene誘導体に高い電気化学的特性が与えられる。表1(省略)はナトリウム・イオン電池の電極としてのMXene材料の使用法を示している。

 ナトリウム・イオン電池用の新しい電極の開発のための新材料の探索は著名な研究者から大きな関心を集めているが、電解質を扱う研究活動はあまり注目されていない。同じ溶媒を使用した場合でも、いくつかの調査研究では、ナトリウム・ベースの電解質とリチウム・ベースの電解質では炭素質電極上でのSEIの形成が大きく異なることが示されている。また、リチウム・ベースの電解質にビニレン・カーボネイトを標準的に添加すると、ナトリウム電池の性能が損なわれる。NaPF6やその他の溶媒の使用に関する研究はわずかしか行なわれていないが、現在の調査研究の大部分はPC内のNaClO4を電解質として使用することに集中している。一方で、それらの物理的特性または化学的特性についての包括的な報告は存在しない。しかし、これはナトリウム・イオン技術を商業化し、それが電気化学的貯蔵の有力な候補であることを証明するために考慮すべき重要な点である。電池の性能が電解液の品質に依存することを考慮すると、理想的な電解質の重要な特性として次の特性が考えられる。広い電気化学ウインドウ、高電圧および低電圧での電解液破壊の開始電位がそれぞれ高いおよび低い、強いイオン伝導性、実質的な熱安定性係数、そして電池成分に対する反応性は無視できる。それは費用対効果が高く、毒性レベルが低く、そして最も重要なことに、意図された目的に対して基本的に安全でなければならない。これらの特性は、溶媒、塩、および考えられる添加物の組成と密接に結びついている。

 

 以下省略。