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塩の科学:減塩介入実行の定期的に更新される系統的レビュー(20163-8)

The Science of Salt: A Regularly Updated Systematic Review of the Implementation of

Salt Reduction Interventions (March-August 2016)

By Joseph Alvin Santos, Kathy Trieu, Thout Sudhir Raj, JoAnne Arcand,

Clair Jonson Jacqui Webster, Rachael McLean

Journal of Clinical Hypertension 2017;19:   2017.03.01

 

要約

 本レビューは20163月から8月の間に発表された減塩介入実行に関する報告調査を確認し、要約し、評価することを目的としている。結局、40調査があった:4調査は減塩介入の影響を評価し、一方、36調査は減塩戦略の設計、調査、実行に関係していると確認された。詳細な評価と論評は、介入の影響を評価した4調査で行われた。それらの中で、異なった評価法が採用された:しかし、全て減塩に関連したポジティブな健康結果を示した。4調査のうち3調査がパンの中のナトリウムを測定し、パンの減塩は可能であり、異なった介入オプションが利用できると言う首尾一貫したエビデンスを提供した。どの調査も低または低めの中収入国では行われなかった。そのことはこれらの諸国で減塩介入実行のための調査支持やもっと情報源の必要性を強調している。

 

1 はじめに

高塩摂取量は世界的に心血管疾患による早死に対する主危険因子の1つである。これを考慮して、全てのWHO加盟国は非伝染性疾患を減らす多くの目標の一部として2025年までに塩摂取量を30%減らすこととした。人口の塩摂取量低下を達成させることを加盟国に導くことを想定して、世界中の様々な設定から得られた一連のエビデンスに基づく実践、政策、および介入に関して減塩用SHAKE総合政策WHOは最近、発表した。世界的に諸国は5つのキー行動分野を通して戦略を実施することが奨励されている:監視、装置産業、表示・知識・環境についての採択基準-それらを効果的な公共政策に変換する目的を持っている。国家人口レベルの減塩主導に関する最近のコクラン総合レビューは、多くの諸国(中国、フィンランド、フランス、イングランド、アイルランド)は人口の塩摂取量をかなり減らすことを既に達成していたことを示した。奨励しているが、他の2国は塩摂取量増加を示し、一方、他の諸国はその期間に塩摂取量の変化を示さなかった。他の諸国について、評価がないので(例えば、介入の影響を調べるための前後のデータがない)、介入の影響を調べられない。このことは国の減塩戦略の評価を進め、国際的に計画の影響モニターを改善する必要性を示している。

塩摂取量に関連した調査増加について臨床医と政策利害関係者に情報提供することを目的として、健康に及ぼす塩の影響と人口レベルの減塩介入の影響に関する代わりの物語的な要約はJournal of Clinical Hypertensionに発表されている。2015年以来の前のレビューに関する作成で、本シリーズは調査結果のより客観的な解釈を提供するために一連の確立された品質基準に基づいた調査を評価することを目的としている。現在のレビューは20163月から8月までに発表された減塩介入の実行に関連した調査を批判的に評価することを目的としている。

 

2 方法

 省略

 

3 結果

 省略

 

4 考察

 本定期的レビューは20163月から8月までの人口の減塩に関連した40調査を確認した。調査の全ては減塩戦略の実行に関連した情報を提供しているが、本論文は介入の影響を評価した4調査に集中した。これらの調査は影響を評価するために別々の方法を採用した:人口の塩摂取量の変化に関して2調査で、販売データの変化と低塩食品の容認に関する物と包装食品中の塩含有量の変化に関する物である。結局、4調査は減塩に関連したポジティブな結果を達成した成功した介入を示した。

 4調査はポジティブな結果を示したけれども、結果は潜在的な偏向危険のコンテキスト内で解釈すべきである。第1に、設計の面で、介入効果を比較するためにコントロール・グループを採用した唯一の調査であった。応答者は介入の2つの成分の1つを受け入れているので、“本当の”コントロール・グループではなかった。それにもかかわらず、本調査は多成分(構造変化プラス行動変化)対単一成分介入(行動変化だけ)の比較をしていた。行動変化介入は減塩に導いたが、多成分介入はかなり大きな減塩を達成したことを結果は示した。調査が多成分で、構造レベルで一体化した介入活動であれば、減塩主導はもっと効果的であることを示した前の調査からの結果を支持している。

 第2に、前述したように、結果評価法の面で、調査は別々の方法を使った。人口の塩摂取量変化を測定した2調査の中で、1つは黄金基準の24時間尿収集を用い、一方、他はスポット尿を使った。塩摂取量を推定するためにスポット尿の使用は幅広く広がっているが、それは尿収集が容易で可能であるからだ。24時間尿収集の適用はしばしば人口調査に限られる。通常、数百または数千の参加者が必要で、煩わしいからである。24時間尿試料を集めたオーストラリア調査は非常に低い基準参加者と追跡率であり、一方、スポット尿試料を集めたイラン調査は非常に良い基準参加者と追跡率であったことを示す本レビューでこのことは明らかである。スポット尿収集は個別の塩摂取量を調べるためには受け入れられないと考えられるが、平均的な人口の塩摂取量の受け入れられる推定値を提供できることを調査は示してきた。しかし、これらの調査のほとんどは高収入諸国で行われ、低または中間収入諸国のスポット尿の有用性についてはほとんどエビデンスがない。最近発表された減塩用SHAKE総合政策で、給源と能力が許せば、諸国は24時間尿試料を集めるべきであるが、これが不可能な場合に諸国は人口の塩摂取量を測定するためにスポット尿試料を使うことをWHOは勧めている。経時的に人口の塩摂取量の平均的な変化の推定でスポット尿の有用性も最近調査し始めた。スポット尿に関する将来の確かな研究調査はその適用に関するエビデンスを強化し、様々な母集団グループで使用する方程式をより良く理解することを一層要求する。

 最後に、介入が実行され、実際の世界的な設定で評価され、したがって、結果が調査によって測定されない要因によって混乱させられるかもしれないことを述べることは重要である。これを念頭に置いて結果を解釈する必要がある。ランダム化比較試験あるいはコントロールされた臨床設定で行われた調査は一般的にエビデンスの強度を強めると考えられているが、それにもかかわらず、4調査は何百万人の人々に影響を及ぼす可能性のある実際の世界的な母集団介入について価値ある情報を提供している。

 さらに、含まれている4調査のうち3調査でパンに焦点を置いていたことは注意に値する。最も高い収入諸国では、パンが食事の主要な塩供給源であるので、驚くことではない。他の加工食品におけるようにパンの中の塩はテクスチャー、保存、味付けのような十分な機能を提供している。しかし、多くの工業的なパン会社は彼等の製品中の塩含有量を不必要に高くしている。パンの中の高い塩含有量に関して関心が高まっていることから議論、行動の呼び掛け、パン中の塩含有量を減らすために様々な諸国のパン工業との交渉が始まった。本レビューで、イランとスペインの両調査は消費者の受け入れと販売に妥協しないで、漸進的な減塩または塩代替物のいずれかでパンの中の塩含有量を減らせる可能性があることを示した。これは、パンの中の塩含有量を消費者の受容性に関係なく40%減らせることを示した系統的なレビューの結果と一致している。カナダの調査も自発的な減塩目標を通してパンの中の塩含有量を減らせることを示した。これらの結果は、異なった介入オプションがより健康的にするために製品を再構成するようにパン工業に奨励できることを示している。WHOSHAKE総合政策は食品製品の幅広い範囲について食品再構成を促進させる様々な戦略を強調している。

 本レビューは、中上収入諸国と高収入諸国で塩に関連した実行調査の量が増えているが、低収入諸国と中下収入諸国で行われた調査は非常に少ない。非感染性疾患と死亡を増加させているので、低収入諸国と低い中収入諸国の調査をし、介入を評価するためにもっと資源と支援の必要性をこれは強調している。

 

結論

 4研究は方法と品質が違っているが、減塩介入、特にパンの中の塩含有量を減らすことの有用性について首尾一貫したエビデンスを示した。本レビューは低収入諸国と低い中収入諸国で減塩計画の実行に大きな調査と支援の必要性を示し、実際に世界中の母集団介入の評価と実行に関連した有益な情報も提供した。