ナトリウム摂取とアトピー性皮膚炎免疫学
Sodium Intake and Atopic Dermatitis
By Brenda M. Chiang, Morgan Ye, Aheli Chattopadhyay, et al
JAMA Dermatol 2024;160:725-731 2024.06.05
キーポイント
質問:ナトリウム摂取量の増加はアトピー性皮膚炎のリスクと関連しているか?
結果:英国バイオバンク・コホートに所属する成人215,832を対象とした横断研究において、24時間尿中ナトリウム排泄量の推定値が1 g高いと、アトピー性皮膚炎のオッズが11%、活動性アトピー性皮膚炎のオッズが16%、アトピー性皮膚炎重症化のオッズが11%高くなることが示された。
意味:これらの結果は、食事性ナトリウム摂取量の制限が、アトピー性皮膚炎に対する費用対効果が高くリスクの低い介入となる可能性を示唆している。
要約
重要性:食事とアトピー性皮膚炎の関連性はまだ十分に解明されていないが、疾患経過の異質性を説明する上で役立つ可能性がある。
目的:尿中ナトリウムをバイオマーカーとして推定した食事性ナトリウム摂取量の増加が、大規模集団コホートにおいてアトピー性皮膚炎とどの程度関連するかを明らかにすること。
デザイン、設定、および参加者:英国バイオバンクの成人参加者(37~73歳)を対象とした本横断研究では、2006年3月31日から2010年10月1日までの間に採取された単一スポット尿試料を用いて推定された24時間尿中ナトリウム排泄量と、BMI、年齢、尿中カリウム、ナトリウム、クレアチニン濃度を組み込んだ性別別の国際共同塩分・その他の要因・血圧研究式を用いて算出した。データは2022年2月23日から2024年3月20日までの間に分析された。
主要評価項目および評価尺度
主要評価項目は、リンクされた電子医療記録の診断コードと処方コードに基づく、アトピー性皮膚炎または活動性アトピー性皮膚炎とした。年齢、性別、人種・民族、タウンゼント貧困指数、および教育レベルを調査した多変量ロジスティクス回帰モデルを用いて、関連性を評価した。
結果
分析試料は215,832名(平均年齢56. 52歳、女性54.3%)で構成された。24時間尿中ナトリウム排泄量(推定値)の平均は3.01 g/日で、10,839名(5.0%)がアトピー性皮膚炎と診断されていた。多変量ロジスティクス回帰分析の結果、推定24時間尿中ナトリウム排泄量の1 g増加は、アトピー性皮膚炎のオッズ上昇、活動性アトピー性皮膚炎のオッズ増加、およびアトピー性皮膚炎重症度上昇のオッズ増加と関連していることが明らかになった。国民健康栄養調査の参加者は13,0114名からなる検証コホートでは、食事回想質問表を用いて推定された1日1 gの食事性ナトリウム摂取量増加は、現在のアトピー性皮膚炎発症リスクの上昇と関連していた。
結論と関連性
これらの調査結果は、食事性ナトリウム摂取量の制限が、アトピー性皮膚炎に対する費用対効果が高くリスクの低い介入となる可能性があることを示唆している。