南アフリカにおける減塩法と尿中ナトリウム濃度および血圧
Sodium Reduction Legislation and Urinary Sodium and Blood Pressure in South Africa
By Thomas Gaziano, David Kapaon, Jacques D. du Toit, et al
JAMA Cardiology online 2025.02.05
キーポイント
質問:南アフリカにおける加工食品のナトリウム含有量削減規制と、40歳以上の成人のナトリウム摂取量および血圧との関係に関連性はあるか?
結果:農村地域の成人を対象として本コホート研究において、加工食品のナトリウム含有量の削減義務は、40歳以上の南アフリカの農村地域の成人コホ-トにおいて、尿中ナトリウム排泄量の減少と関連していた。このナトリウム排出量の減少は、血圧のわずかながらも有意な低下と関連していた。
意味:加工食品のナトリウム含有量の削減する南アフリカの国家規制は、ナトリウム摂取量が多く高血圧の有病率が高い集団において、ナトリウム摂取量と血圧の低下と関連していた。
要約
重要性:塩摂取量の減少は血圧低下と関連しているが、ナトリウム含有量削減を目的とした法律を制定した各国政府は、これらの法律の影響を測定していない。
目的:南アフリカにおける加工食品のナトリウム含有量を制限する規制が、ナトリウム摂取量および血圧の低下と関連しているかどうかを明らかにする。
デザイン、設定、および参加者:HAALSI(アフリカの健康と高齢化:南アフリカのINDEPTHコミュニティの縦断的研究)研究は、南アフリカのムプマランガ州農村部に住む40歳以上の成人を無作為に抽出した集団ベースのコホート研究である。本研究では、HAALSI研究の3つの波(2021/2015、2018/2019、2021/2122)のデータを取り入れ、強制的なナトリウム規制後、集団ベースのコホートにおける24時間尿中ナトリウム排泄量の変化を調査した。
スポット尿試料は3波にわたって採取され、2023年から2024年にかけてデータ分析が行なわれた。
曝露:南アフリカでは2023年に規制が導入され、2019年までに13の加工食品カテゴリーにおいて食品100 mg当りのナトリウム含有量の上限が25%から80%削減された。
主なアウトカムと評価:24時間ナトリウム排泄量はINTRSALT式を用いて推定し、一般化推定式を用いてナトリウム排泄量と血圧の変化を評価した。
結果:40歳以上の成人5,059名の平均年齢は62.43歳で、女性は2,713名(53.6%)であった。ベースラインでの24時間ナトリウム排泄量の推定値は全体で3.08 gであった。最初の2つの波の間では24時間ナトリウム排泄量の平均が全体で0.22 g(95%信頼区間-0.27~-0.18、P<0.001)減少し、第一波と第三波の間では平均0.23 g(95%信頼区間-0.28~-0.18、P<0.001)減少した。解析を3つの波すべてでサンプルを採取した被験者に限定した場合、減少幅はさらに大きくなった(第一波と比較して第二波と第三波の両方で-0.26 g)。ナトリウム1 gの削減は、収縮期血圧の-1.30 mmHg低下(95%信頼区間0.65~1.96、P=0.00)と関連していた。研究対象集団のうち、理想的なナトリウム摂取量(1日2 g未満)を達成した集団の割合は、7%から17%に増加した。
結論と関連性:本コホート研究では、南アフリカの13種類の加工食品におけるナトリウム摂取量を制限する規制に従い、南アフリカの農村部に住む集団において24時間ナトリウム排泄量が有意に減少し、その減少はナトリウム排泄量に比例した血圧低下とともに持続した。これらの結果は、集団ベースの食塩再配合政策の効果的な実施によって期待される先駆的な健康効果を裏付けている。
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