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ナトリウム摂取量と心不全

Sodium Intake and Heart Failure
By Yash Patel and Jacob Joseph

Int J Mol Sci 2020;21:9474     2020.12 13

 

要約

 ナトリウムは世界中の食生活で使用されている必須ミネラルと栄養素で、適切な血液量と血圧を維持するために重要である。高ナトリウム食はβミオシン重鎖発現の増加、α/βミオシン重鎖発現の減少、活性化T細胞転写活性の筋細胞エンハンサー因子2/核因子の増加、および塩誘導性キナーゼ1発現の増加と関連しており、これらは心筋の機能的性能の変化につながる。高ナトリウム食はカルシウム・ホメオスタシスと心臓収縮の原因となる様々なタンパク質の変化にも関連している。ナトリウムの過剰摂取は高血圧、慢性腎臓疾患、脳卒中、心血管疾患などの様々な併存疾患の発症に関連している。アメリカ心臓病学会/アメリカ心臓協会/アメリカ心不全学会のガイドラインでは、心不全の予防と管理の両方のためにナトリウム摂取量を制限することを推奨しているが、その様な推奨の背後にある証拠は不明である。我々のレビュー論文は証拠と心不全におけるナトリウム摂取量の制限を支持し、矛盾する証拠と基本的なメカニズムを強調している。

 

1.塩とナトリウム

2.ナトリウム摂取量のガイドライン推奨値

3.低ナトリウム摂取量と心不全予防または管理

3.1 心不全予防と管理における低ナトリウム摂取量嗜好の証拠

3.2 心不全管理における低ナトリウム摂取量の有益な効果の病原性メカニズム

4.低ナトリウム摂取量と心不全の悪化

4.1 心不全における低ナトリウム摂取量に対する証拠

4.2 心不全における低ナトリウム摂取量の悪影響についての潜在的なメカニズム

5.塩摂取量と心不全の潜在的な分子メカニズム

6.ナトリウム摂取量と携帯型心不全

7.選択された患者集団におけるナトリウム摂取量

8.血清ナトリウム値と心不全

9.将来の方向

10.我々の推奨値

 以上は省略

 

11.結論

 心不全患者でナトリウム摂取量の制限を支持するデータは不明である。ナトリウム制限をしている患者の中で心不全状態を軽減する傾向があるようであるが、ナトリウム制限がない場合と比較して、死亡率に影響がないか、わずかに高い危険率があるようである。したがって、この重要な臨床的問題に対処するにはランダム化比較試験が必要である。