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          減塩に対する行動変化介入のレビュー         

Review of Behavior Change Interventions to Reduce Population Sal Intake

By Kathy Trieu, Emma McMahon, Joseph Alvin Santos, Adrian Bauman,

Kellie-Ann Jolly, Bruce Bolam and Jacqui Webster

International Journal of Behavioral Nutrition and Physical Activity 2017;14:17

2017.02.08

 

要約                                        

背景

 過剰な塩摂取量は世界中の死亡と疾患の主要な危険因子である血圧上昇の主原因である。周知運動や保健教育計画のような行動変化介入が減塩のために実行されているが、それらの効果は不明である。この世界的な系統的レビューは減塩を目標とした人口レベルの行動変化介入の影響を調査する。

方法

公表されどっちつかずの文献についての検索はPubMed, コクラン・ライブラリー、Embase, サイエンスのウェッブ、Sage, Scopus, OpenGrey, Google Scholar、他の関連機関のウェブサイトを使って行われた。研究は1) 2005 – 2015年に発表された物;2) 教育または周知運動介入は集団またはサブ集団を目標として、そして3) 塩摂取量そして/または塩関連行動が結果の測定値となる物が含められた。研究と介入の特性値は記述的な合成について抽出され、研究の品質が調査された。

結果

 41,448人の参加者を含む22件の研究が含まれた。ほとんどの研究は高い収入諸国(n=21)で、全人口(n=16)の成人(n=21)を目標にして行われた。行動変化介入は保健教育介入(n=14)、社会周知運動(n=4)、他成分介入(保健教育と周知運動の両方を含む、n=4)として分類された。22研究の中で19研究が推定塩摂取量そして/または塩関連行動の改善で有意な低下を示した。全ての研究は一つ以上の領域で高い偏向危険性を示した。10件の比較的高い研究の中で、5件はより目的に沿った結果調査法に基づいた塩摂取量または塩関連行動に及ぼす有意な影響を明らかにした。

結論

中程度品質のエビデンスに基づくと、集団レベルの行動変化介入は塩関連行動そして/または塩摂取量低下を改善できる。しかし、より緻密で高い品質の研究解析は矛盾した有効性のエビデンスを示し、限られた効果の大きさは教育の実行を示唆しており、周知運動介入だけで人口の塩摂取量を推奨量まで下げるには不十分である。厳格な調査をガイドする構成と現実世界の設定で人口レベルの評価は理解に役立ち、減塩介入のより効果的な実行を支持している。

 

背景

 世界的に毎年165万人の心血管疾患に関連した死亡数は塩の摂り過ぎた人々に起因している。過剰な塩摂取量は、世界中で苦しめられている死亡や疾患についての主要な個別のよう危険因子である高血圧の主要な寄与因子である。減塩の有効性は血圧を下げ、その後、心血管疾患に影響を及ぼす強いエビデンスがある。保健効果、費用有効性、安い実行費用、政治的、財政的可能性のようなパラメーターに基づいて非伝染性疾患(NCDs)を予防するための上位5件の優先介入事項の一つとして全人口の減塩が確認されてきた。2013年に30%の減塩がNCDsを減らすためにWHOの全てのメンバー国によって是認された世界的な9

目標の一つであった。これに対する反応で諸国がますます介入を発展させている、2014年の最近のレビューでは国として減塩戦略を勧めている国は2010年に報告されていた数値の2倍の75ヶ国になっている。2014年に12ヶ国(10ヶ国が高収入国で、2ヶ国が中の上収入国)は集団の塩摂取量低下を報告し、ポルトガルや中国を含むいくつかの社会試験は塩摂取量と血圧の低下を示した。しかし、ほとんどの計画は多くの側面を持っており、特別な発案または成功の中心となる戦略要素についてまだ不明確さがある。

 WHOは国が勧める減塩介入を3つの柱に分類してきた:消費者行動、製品再構成、環境変化である。ほとんど全ての国の減塩計画に共通していることは教育または情報、教育、または減塩技術を消費者に提供していく周知介入である。これらの介入は、塩に関する知識、塩の悪い効果、減塩を援助する技術を強化することを通して人々の塩に関連する行動を変えることを目的としている。そのような計画は低収入と中収入の諸国の人々に潜在的に大きな影響を与える、その様な国では塩の主要な給源は調理や食卓で自由に加えられる塩である。塩の大部分が加工食品や包装食品からくる諸国では、行動変化計画の教育が市場に低塩商品の需要を喚起することによって製品再構成や環境変化を支持することに役立つ。しかし、行動変化戦略は多面的な計画の一部として通常、実行されるので、今日までのほとんどの評価は介入要素の影響を区別するようには試みられてこなかった。

 前のレビューは相互の栄養相談のような個人を目標にした行動変化計画に焦点を置いてきて、個人に非常に強く介入し、人口レベルの戦略として持続できないことを明らかにしてきた。本レビューの目的は、全人口またはある部分の人口(例えば、生徒または危険率の高い人々)の塩摂取量を減らすことを目的としたごく最近の行動変化計画の特性や有効性を調査することである。消費者教育や周知介入が人口の塩摂取量を減らすことに最も有効であることを含めて、減塩戦略の実行に関する将来のガイダンスに、これは情報を提供する。

 

方法

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結果

調査結果

 注意深くレビューした文献調査は複製した物を除いて残った2,288件で3,437記録を明らかにした。適格性を調査した表題と要約の篩訳で154件のフルテキストが残った。これらの中で、37件のフルテキスト論文が見つからず、または英語で書かれてなくて、98件のフルテキストが除かれた。これらの研究を除いた理由は:62研究は個別に分類された行動変化行動を含んでいる介入であり、17研究は行動変化介入だけでない介入を含んでおり、16研究は塩摂取量または行動と関係した介入の有効性を評価できず、3研究は幅広いイニシアティブの影響から塩行動に関する介入の影響を区別できなかった。残りの19件のレビューした論文で16研究は範疇に合っていた。グレーな文献調査から復活された24研究の中で、6研究を報告している11件は適格範疇に合っていた。全部で30論文で22件の報告は説明的な合成を含んでいた(図1)

図1 省略

 

研究の記述

全部で41,448人の参加者が22研究で説明された。試料の大きさは21人から30,799人までの参加者の範囲で、中央の前介入試料サイズは188人であった。中国とイギリスでそれぞれ4研究、アメリカ合衆で3研究、オーストラリア、日本、ポルトガルでそれぞれ2研究、カナダ、ガーナ、イラン、アイルランド、イタリアで各1研究あった。6研究は低収入と中収入の諸国で行われ、残りの研究は高収入諸国であった。16研究は全集団を対象にしており、他の6研究は高血圧、脳卒中または心不全患者のような高危険率グループであった(表1)

表1  省略

 

研究の品質

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介入のタイプ

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保健教育

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社会周知運動

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多成分行動変化計画

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介入効果

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考察

本レビューは集団の塩摂取量を減らすことを目的とした最近の教育または周知運動介入の性質と有効性を調査した。大部分の研究は、集団レベルの行動変化介入は塩摂取量を減らし、塩に関連した行動を改善するのに意味ある程度に有効であることを示した。しかし、高い品質の研究だけに焦点を置くと、10研究の内5研究だけがより目的とした結果測定に基づく塩摂取量の有意な低下、または減塩行動の改善が見られた。同様に、スポット尿、食事調査、または自己申告よりもむしろ24時間尿からのナトリウム排泄量の黄金基準測定法に基づく影響を調査した6研究の中で2研究だけが有意な低下を明らかにした。介入事項を変えて、研究設計の品質を混ぜて、評価測定値を併せたいくつかの研究で介入の詳細を欠いていることは、これらの計画の結果は注意して解釈すべきで、さらに、計画の成功または失敗に寄与する特別な性質を明らかにすることは難しいことを意味していた。

特別な介入講演開催は塩関連行動のためにより有効であることを示すエビデンスは不十分であった。作業場に行われた3件の介入は全て減塩に成功し、仕事場で行われる食事関連計画についてのエビデンスが増えていることを支持している。同様に、いくつかの人口特性が行動変化介入の有効性に影響を及ぼしたことを示唆するエビデンスはなかった。行動介入は高危険率グループと比較して全集団で、低と中収入諸国と比較して高収入諸国で同じ様な効果であったように思えた。高品質な研究の中で、全集団、高危険率グループ、高収入諸国、低と中収入諸国でそれぞれ実行された介入の半分は有意な減塩量または塩摂取行動の改善を示した。

本レビューは、減塩メッセージを組み込んだ幅広い計画は保健教育や多事項計画について塩に特定した介入として有効であるらしいことを示した。しかし、前のレビューと一致している塩に特定したメッセージに焦点を置いておれば、周知運動はより有効であるようだ。本レビューは、理論的な枠組みまたはモデルに基づく行動変化介入を示唆するいくつかのエビデンスは、塩摂取行動の改善または減塩を示す理論的枠組みに基づいた発展してきた5件全ての介入で効果的であることも明らかにした。介入を発展させるために使われてきた理論的な枠組みは社会的生態学的モデル、社会的認識理論、自己管理原理、行動変化の原理、PRECED-PROCEED枠組みを含んでいる。介入を知らせるための理論的な枠組みを使うことの付加的な価値は本レビューについての調査後に発表された2件の最近の研究によってさらに支持されている。

集団レベルの行動変化介入の特別なタイプは、3件の研究を除いて全て効果的であったとしてより効果的であったらしいことを示したことはなかった。しかし、社会周知運動の全ては、目的を持って塩摂取量を測定したのではなく、自己申告の塩摂取行動に基づいて調査され、したがって、その有効性についてのエビデンスは弱い。いくつかのレッスンは、塩摂取量または塩関連行動に何の変化も示さなかった保健教育介入の研究から明らかである。ある介入は家庭に配達されたDVDや郵便物を使って独学した心不全患者に頼っていた。研究の著者らが推定したことは、用意された資料を交付しまたは議論する臨床医を含めないことによって影響は弱められたかもしれない。これは、受講グループの高血圧参加者の大部分と独学グループと比較して塩摂取量6 g/d以下の相互に影響する教育グループを見出した研究と一致している。

ポルトガルで10 – 12歳の子供に配られた学校の教育プログラムは、塩の代わりに使われるハーブの栽培と組合わせて過剰な塩摂取量の危険性に関する講義は、介入を受けなかったグループと比較して有意に塩を減らせなかったことを明らかにした。これらの結果は、24時間尿中ナトリウム排泄量で測定した介入グループの子供と家族の両方の減塩に学校教育計画が有効であることを示した中国の最近の高品質研究と対比している。いくつかの要因が結果の変動に寄与しているかもしれないが、中国の成功介入の鍵となる特性は、しばしば食品製造者である子供達の家族へ配られた減塩メッセージを保証する活動を組み込んでいたことだ。これは他の子供の食事に関連した計画の系統的なレビューと一致している。その計画は、親や家族がしばしば最も有効で持続的な介入であることを含むアプローチを示唆している。

かなりの減塩または塩関連行動の改善のいずれかを明らかにした研究の高い割合(19/22)は注意を持って解釈すべきである。各研究のより合目的な結果調査法に基づいて、10件の高い品質の研究を考察するだけで、半数だけが有意な減塩または塩関連行動の改善を明らかにした。全ての研究の丁度半数以上はコントロールのない研究設計で、したがって、観察された効果についての代替の説明は無視されない。多くは参加者を任意に選ぶこととは反対に便利な試料またはボランティアの試料も使い、試料数が少ないので一般化された結果を得られない。さらに、研究のほぼ半数が低塩食または塩摂取量を下げる行動に対して自己申告の厳守を通して有効性を測定しており、これらの研究は塩摂取量のより合目的な測定と比較して塩摂取行動の改善を一層報告しがちであった。自己申告の食事法の信頼性は社会的な望ましさの偏向によって弱められことを示唆している前の研究によってこれは説明される。その偏向は好ましいと考えられる方法で疑問に応える傾向を参考にしている。

さらに、塩摂取量の大部分が加工食品からである諸国では、自己申告減塩行動の増加は必ずしも減塩と関係していないことを前の研究は示してきた。個人が減塩行動を試みても、食品供給界の高い塩含有量製品が減塩を難しくしているからである。これはまた人々の行動を変えるだけを目的とした介入はいくつかの諸国で効果の大きさに限界がある理由を説明している。WHOの減塩目標に沿って平均塩摂取量を30%以上減らしたことを報告したのは2件の介入だけであった。しかし、両方とも塩摂取量の不正確な測定法として知られている自己申告アンケートを使った測定値であった。

前のエビデンスに沿って、高い品質の研究の中で有効性のエビデンスについて不確実性があり、いくつかの諸国の教育または周知介入の効果には限界があるので、行動変化介入は、食品中の塩含有量を減らし、または食品環境を改善させる政策、または構造的な介入と組合わせて実行されるべきであることを示唆している。しかし、低と中収入諸国でさらに研究が必要とされる。それらの諸国では、消費者が自由に加える塩が塩摂取量の主要供給源であり、したがって、行動変化介入は潜在的に大きな影響を持っている。世界中で非伝染性疾患による死亡の80%が低と中収入諸国で起こっており、それが急速に増加しているにもかかわらず、22研究の中で6研究だけが低と中収入諸国で行われた。

強さと限界

 本レビューの鍵となる強さは、全ての研究設計とグレーな文献が含まれていることである。低品質の研究が含まれている本結果と同時に、実際の世界で設定されて実行されている介入の幅が分かった。そのことは対外的な妥当性を与え、レビューの価値を高めている。さらに、偏向リスクの調査と研究の方法論的品質は、研究結果がこの関係で解釈されることを意味している。しかし、全ての研究にまたがる高度の異質性のために、メタアナリシスは不適当と考えられた。高い品質の研究からの結果をプールするためのいくつかの方法は、どれ位報告されている情報が不完全であるか、異なった結果調査法、意味のある解析を行うための能力を制限する異なった解析法も調べた。レビューのもう一つの限界は英語で書かれた研究だけであったことであった。

 行動変化介入の本レビューの範囲外で、考察すべき他の重要な要因は介入とその効果の持続性、他の計画と比較した費用有効性、異なった社会経済的グループに及ぼす行動変化介入の影響を変えることである。我々のレビューでも行動変化介入だけを評価した研究だけを含めた。しかし、食品中の塩含有量を減らす、または食品環境を変える計画のような構造的政策で介入が実行される時、行動変化介入が最も有効であることを前の研究は示唆した。行動変化介入が人々の知識、塩と関連した態度や行動を変えるだけでなく、政策変化と低塩食品についての要求も生じさせ、買上政策、栄養表示、財政政策のような構造的介入の有効性を改善する。これらの効果が行動変化介入の総合的な有益性を理解させるためにどのような方法で測定するかを、さらなる調査で考察すべきである。これらの要因を合体し、現実世界の設定で科学的に確かな評価に導く評価枠組みの発展が要求され、人口減塩計画の成功に寄与する特性値の明らかな理解を提供する。

 

結論

要約すると、本レビューは、人口レベルの教育と周知運動介入は塩関連の行動そして/または塩摂取量を改善することを示している。しかし、研究の総合的な品質は低から中である。高い品質の研究10件だけを考察した時、塩摂取量の有意な低下または塩摂取行動に半分だけ改善を示す混在したエビデンスがある。教育または周知運動だけで平均塩摂取量で30%低下させると言うWHO目標を達成させるには不十分であるらしいので、構造的な介入との組合せで実行されるべきである。現実世界の設定で科学的に厳密で環境的な結果の両方を取り巻く減塩介入または政策についての評価枠組みの発展はより良く理解させるためにもっと必要な研究を促進させ、特に低と中収入諸国で人口の減塩介入の効果的な実行を支持する。