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コントロールされた環境下のランダム化臨床試験で

塩戦争を終わらせられるか?

Can We End the Salt Wars with a Randomized Clinical Trial

 in a Controlled Environment?

By Daniel W. Jones, Friedrich C. Luft, Paul K. Whelton, Michael H. Alderman,

John E. Hall, Eric D. Peterson, Robert M. Califf, David A. McCarron

Hypertension 2018:72;10-11

 

 2013年医学研究所(IOM;現在国立医学アカデミー)報告書:集団の塩摂取量は、“コントロールされた環境下の患者の心血管疾患、脳卒中、死亡の危険性に関する塩摂取量の範囲の効果を調べることに臨床試験は焦点を当てる”ことを勧めた。この勧告は2つの事項で特別であった。それは減塩の心血管疾患結果を勧め、これがコントロールされた環境下の人々で行われることを勧めている。これらの特別な勧告の背後には重要な理由がある。

 観察研究から心血管疾患と塩摂取量との関係に関する大量のデータがあり、ランダム化比較臨床試験で血圧に及ぼすポジティブな影響と5.8 g/d以下の塩摂取量を勧める現在の国のガイドラインがあるにもかかわらず、アメリカ人の平均摂取量は8.6 – 8.9 g/dの範囲のままである。ある科学者達は減塩の正当化に疑問を呈してきた。科学界内のこの不一致は新聞で報告されてきて、臨床医とこの問題に関して不確実性を表している公務員の両者をリードしてきた。

 塩摂取量に関する臨床試験結果を求めたのは医学研究所だけではない。世界心臓連盟、ヨーロッパ高血圧協会、ヨーロッパ公衆衛生協会は共同で減塩の決定的な臨床試験を求めた。事実、数年間、この研究分野の主要な声は結果に基づく臨床試験からのエビデンスがないことや、そのような試験の実行を主張してきたことを述べてきた。

 この試験が行われなかった理由は医学研究所勧告の第二特性に見られる:試験は“コントロールされた環境下の患者”で行われている。この記述は減塩臨床結果試験を実行する挑戦を認めている。そのような試験は何年間も減塩を維持させる介入権力には非常に多くの参加者を要する。血圧低下に焦点を置いた行動介入試験からの経験は、アメリカ合衆国の美食家で6ヶ月以上中程度の減塩でも維持することは多くの成人にとって難しいことを示している。塩摂取量を4.6 -5.8 g/dに厳守することは行動変化臨床試験と臨床的な実行で難しいことが証明されてきた。

 ほとんどのアメリカ人についての食品環境は加工食品やレストランの調理食品で塩を加えており、それが減塩を維持することを難しくしている。長期間美食家に減塩を維持させる唯一の戦略は、研究参加者に決められた塩の量を含む調理食事を食べるようにさせることである。調理食事のこの戦略は非常に多くの美食家の参加者で長期間研究することは財政的に不可能であるようだ。したがって、医学研究所委員会は、減塩試験はコントロールされた環境下で行われることを勧めた。

 20175月に、この論文の著者の中で6人は塩摂取量と心血管疾患の問題を議論するためにミシシッピー州のジャクソンに集まった。議題は存在するエビデンス、エビデンスのズレと残されている疑問、その疑問を明らかにする研究で可能な次のステップについての議論を求めた。グループは心血管疾患における塩の役割に関する存在するエビデンスの解釈に関する意見に関してバランスを取れるように注意深く選ばれた。存在するデータに関する意見の相違は、死亡、脳卒中、心筋梗塞を含む重症の臨床結果に及ぼす塩摂取量の影響を評価するランダム化された臨床試験でのみ解決される、とグループは結論を下した。

 疾患に基づく臨床試験についての理論的根拠に関するグループの考え方は2つのカテゴリーに分類された。何人かのグループのメンバーは、存在している塩摂取量と心血管疾患に関する観察データと塩摂取量と血圧に関する臨床試験エビデンスは減塩に関する現在のガイドラインを支持するには十分でない、と考えた。心血管疾患の罹患と死亡結果を伴う臨床試験はこの問題を解決するために必要であると言う意見を彼等は表明した。グループの他の人達は、存在するデータが現在の5.8 g/d以下の減塩ガイドラインを支持するに十分であると言ったが、結果試験からのもっと強いエビデンスが多くの医者、患者、これらのガイドラインをより良く解釈させるための政策立案者を確信させると考えた。出来れば上手く設計され実行されたランダム化された臨床試験が望ましいと言うコンセンサスがあった。

 次に、グループはどのように試験が実行されるかを考えた。コントロールされた環境がアメリカ合衆国で継続的なイベント結果試験の実行に必須であると言う医学研究所委員会の勧告と一致していた。調理食品中の塩量をコントロールする能力は集団を選び設定する上で基本的な要素と考えられた。コントロールされた環境下に住んでいる幾つかの集団が考えられた。理論的に活動中の軍人の研究は食事がコントロールされている情況を提供しているかもしれない。しかし、これは除外された。多くの活動中の軍人と関係者は比較的年齢が若く、激しい肉体的活動、特に暑い気象地域で展開している人々にとっては大量の塩分を失うかもしれない人々に減塩させることになりからだ。療養所に入っている人々も塩摂取量をコントロールする機会を提供している。このオプションの関心事は、多数が減塩食を要求する医療条件にあることに置かれる。グループで食事が出来る退職者社会の住民も可能性として考えられた。このグループの関心はコントロールされる食事摂取量のパーセントが限られていることであった。

 囚人(特に連邦の監獄)による臨床試験が試験を行う最高の設定条件を提供しているのではないかと言うコンセンサスにグループは次第に到達した。この方法についての良い所は、食事摂取の大部分をコントロールする可能性、多数の場所で大きな集団、ランダム化された集団設計使用の可能性、年齢と民族性の多様性、現存する研究施設、制度化された論評委員会の包括、囚人における研究の倫理性に関する多数の文献の存在、そして健康結果を最適化する塩摂取量を示すことにより囚人の将来を利する見込みなどを含んでいた。考えられる悪い所は、監獄研究の思いやりに関する関心、監獄研究の倫理についての雑多な意見、十分な牢獄が参加できるかどうかについての不確実性であった。

 囚人の研究を考える時、幾つかの倫理的な問題を言わなければならない。一つのカギとなる原理は、行われる如何なる研究も一般的な集団だけではなく、囚人に利益をもたらせなければならないことである。塩摂取量の場合、結果試験が行われるまでは、囚人の理想的な塩摂取量について不明確性が残ることを知っているとすれば、食事中の塩含有量に関して決定できない人々のグループについて理想的な摂取量を確かめることは避けられないように思える。美食家の人々は自分で選べるかもしれないが、囚人達は理想的な塩摂取量を達成させるために監獄システムの主導に依存している。

 監獄システムの主導に伴う予備的な対話は啓発的であり役立ってきた。囚人による考えのレビューは倫理専門家を正し、潜在的な資本家との最初の約束は促進されてきた。同様に、複雑なランダム化比較試験と連邦政策の経験を持つ最初のグループ2の科学者達に我々は提起した。この方向に前に進める前に考えるべき多くの問題がある。最初のステップは幾つかの牢獄について現在の塩摂取量を調査し、これらの場所で塩摂取量を管理することの可能性を調査するパイロット研究の正式な提案である。パイロット研究と長期間研究の両方は研究の概念と設計で囚人達の代表グループを含んでいる。

 この文章の主目標は主要な心血管疾患を予防するのに減塩の価値を決定するのに役立つ疾患に基づく臨床試験を行うための可能性を探求したいと思って塩摂取量に関心を持っている科学者達の社会に通知することである。我々は科学的な社会からの専門家達の幅広い範囲から忠告や約束を探す必要性を認識している。そのインプット情報は歓迎される。そのような研究の可能性の探求する臨床試験を求める方向に我々は動く時期に来ていると思う。我々の希望はフルスケール試験の可能性を我々が証明することである。そのような試験からの結果は政策立案者、ガイドライン・グループ、医者、患者、一般社会による決定に通知し、全てのアメリカ人や世界中の人々についてより良い健康をもたらす結果となるだろう。