塩脅迫
Salt Scare
塩脅迫
Salt Scare
By Jason Fung
https://thefastingmethod.com/ より 2018.09.25
1982年まで塩はタイム誌の表紙で‘新しい悪者’と呼ばれた。インターソルト・スタディの1988年発表は問題を封印したように思えた。この大規模な研究は32ヶ国の52センターを含めており、苦労して塩摂取量を測定し、これと血圧を比較した。全ての集団で見ると、塩摂取量が高ければ高いほど、それだけ血圧は高くなる。効果は全く小さいが、スラムダンクのように思われた。59%の減塩はわずかに2 mmHgの血圧低下が予言される。収縮期血圧が140であれば、厳しい減塩でも138までしか下げられない。しかし、この影響力の大きい研究に基づいて、1994年にアメリカ人は塩を6.1 g/dだけ摂取すべきであると強制的な栄養表示は宣言した。しかし、世界の全ての健康な集団はこの勧告値よりはるかに高い摂取量の塩を実際に食べている強固な事実がある。過去50年の健康と寿命における劇的な改善は、ほとんど全ての人々が多すぎる塩を摂取していると考えられている期間中に起こっている。
減塩利益で我々が信じていることは大部分間違った情報や神話情報に基づいている。減塩勧告の根底にある仮説は、多すぎる塩の摂取量は加工食品の消費量増加によってもたらされた最近の現象である。例えば、ダールは調味料として塩を幅広く使うことは近代まで希であったと彼の著作で主張した。
1812年の戦争まで溯った軍事記録からのデータは、兵士と西欧社会のおそらく残りは16 – 20 g/dの塩を摂取していたことを示している。1812年の戦争中、兵士達は高い費用にもかかわらず18 g/dの塩摂取量を維持していた。アメリカの戦争犯罪者達は9 g/dの塩は‘少なすぎる’と痛烈に不平を言った。それは第二次世界大戦直後であった。それから食品保存の主たる方法として冷凍が塩蔵に取って代わり、アメリカ人の平均塩摂取量は9 g/dに低下し、それ以来、その摂取量は続いている。第二次世界大戦前のその期間中では、心疾患、脳卒中または腎疾患による過剰死亡の心配はなかった-我々を減塩に追いやるために使われる主要な疾患である。
形勢は一変
その正に発端から、減塩は命を救うという仮説の問題があった。ダールは何も悪い健康結果をもたらさない全ての様々な高塩摂取量文化に気付かなかった。サンブルの戦士達は彼等の家畜用の塩なめ場から直接塩を摂取する以上の茶さじ2杯に近い塩を毎日摂取している。この塩を全て食べたにもかかわらず、平均血圧は106/72 mmHgで加齢に伴う血圧上昇はない。対照的に、アメリカ成人の約1/3は少なくとも140/90 mmHg以上の血圧を持つ高血圧者である。参考までに正常血圧は120/80 mmHg以下で、一般的にアメリカ合衆国では加齢に伴って上昇する。ネパールのコチャン村民は毎日茶さじ2杯の塩を食べ、クナ・インディアンは毎日1杯半の塩を食べているが、高血圧という言葉はなく、高塩摂取量は高血圧を引き起こすと言うダールの仮説と明らかに矛盾している。
ごく最近の世界の塩摂取量調査は、減塩についてアメリカ心臓協会または世界保健機関勧告値のいずれかに従っている地域は世界の何処にもないことを示している。中央アジア地域は日本やシンガポールを含む高収入アジア太平洋地域に密接に続いて最高の塩摂取量であった。日本食は醤油、味噌、野菜の漬物を非常に多く使用しているので塩含有量が高いことで有名である。日本人自身は83.7歳という世界最長の寿命であるので、何の悪い影響も受けていないようである。シンガポールは83.1歳で第三位である。塩摂取が健康について本当に悪ければ、どうして世界最長寿命の人々が世界で一番塩辛い食事を食べているのか?
解析で高塩含有食にもかかわらず平均血圧が低い6ヶ所を明らかになったときの1973年に低塩食への関心が始まった。例えば、Okayumaは今日のほとんどの国民よりも多くの塩を摂取(一日に茶さじ3杯半)しているが、世界で最低の平均血圧であった。
幾つかの事例では、血圧は塩摂取量の増加で実際に低下した。例えば、北部インド人は14 g/dの平均塩摂取量であるが、133/81 mmHgと言う正常血圧を維持していた。南部インド人の平均塩摂取量は北部インド人の約半分であるが、平均血圧は141/88 mmHgと有意に高かった。
しかし、それでも大規模なインターソルト・スタディの疑問があった。データのさらなる解析はかなり異なった塩の絵を描き始めた。4ヶ所の原始集団(ヤノマモ、シング、パプアニューギニアそしてケニア)は最初の解析で含められ、彼等は世界の残りの集団よりも相当低い塩摂取量であった。彼等は他の集団から非常に異なった原始的な生活様式で生活しており、残りよりも99%も低い塩摂取量であった。これらの隔離された人々は残りの世界に対して一般化するのに限界があった。彼等は隔離されていたので平均に大きな影響を与えたからであった。
これら4ヶ所の原始社会は食事だけでも近代の食事と相当異なっていた。例えば、ブラジルのヤノマモ・インディアンはまだ伝統的な生活をしており、何世紀も前に行っていた狩猟採取生活である。彼等は共食いを行っており、そこでは愛する人々の灰を食べる。彼等はそれで生き続けると信じているからである。加工食品はなく、近代的な医療もない。アマゾンの森に住むこの種族とニューヨークの森に住む近代的なアメリカ人と比較することはほとんど公平ではない。彼等の食事の一成分のナトリウムを取り上げ、それだけが高血圧の原因であると非難することは悪い研究の極致である。腰巻きを着ることは血圧を下げると結論することと同じである。
他の問題もある。さらに調査したとき、2集団(ヤノマモとシングーインディアン)はアンジオテンシン変換酵素の特別な遺伝子D/Dをほとんど持っていなかった。その遺伝子はこれらの集団を心疾患と高血圧の極端に低い危険率にしている。したがって、低塩含有量はこれらのグループでは低血圧に対する大きな、または小さな危険因子ではないかもしれない。
この場合、調査集団からこれらの原始集団を除くことによって、そして最初の塩仮説が真実であるかどうかを見ることによってもっと情報が得られる。これらの4ヶ所の原始集団が除かれ、48ヶ所の西欧化集団が調査に残さたとき、結果は元の結果とは完全に反対であった。血圧は塩摂取量増加につれて実際に低下した。少ない塩摂取量は健康的ではなく、有害であった。
米国からのエビデンスはいずれも奨励しなかった。国民健康栄養試験調査(NHANES)は定期的に行われているアメリカ人の大規模な食習慣調査である。最初の調査は、最低塩摂取量の人々は最高塩摂取量の人々よりも18%高い死亡率であることを明らかにした。これは非常に重要で、困惑させる結果であった。
第二回目のNHANES調査は、低塩食が圧倒的な死亡危険率15.4%増加と関係していることを確認した。他の試験は治療中の高血圧患者で低塩食の心臓発作危険率増加を明らかにした。彼等は、医者が低塩食を勧めてきた正にその患者であった!
2003年に、心配して米国保健福祉省の一部である疾病管理センターは医学研究所に血圧ではなく死亡率と心疾患に焦点を置いた利用可能なエビデンスを再検討するように要請した。医学文献の徹底的な調査後、医学研究所は幾つかの大きな結論を出した。低塩食は血圧を下げるけれども、“しかし、既存のエビデンスは循環器危険率または一般的な集団の死亡率に関して5.8 g/d以下の塩摂取量に下げたときのポジティブなまたはネガティブな効果のいずれかを支持していない。”つまり、塩摂取量を下げることは心臓発作または死亡の危険率を下げない。
しかし、心不全では、“低塩摂取量のネガティブな効果を示唆する十分なエビデンスがある、と委員会は結論を下した。”ああ、我々が減塩するように最も精力的に勧めてきた正にその患者が最も害を被るだろう。しかし、定説を変えることは難しい。2015年の食事ガイドラインは高血圧者、黒人、中年者と老人に3.8 g/d以下の塩摂取量を勧めながら5.8 g/d以下の塩摂取量に下げることを勧め続けている。
どうして減塩は危険か?
我々の組織が血液と栄養素を運んでくる酸素で灌流されることを確実にする十分な血液量と血圧を維持するために塩は非常に重要である。塩は等量のナトリウムと塩化物から出来ている。我々が血液中の電解質を測定するとき、塩(ナトリウムと塩化物)は最も一般的なイオンである。例えば、通常の血液は4 mmol/Lのカリウム、2.2 mmol/Lのカルシウムと比較して約140 mmol/Lのナトリウムと100 mmol/Lの塩化物を含んでいる。塩が非常に必要であることに不思議はない。
我々の血液が主に塩に進化した理由についての推測がある。我々は地球の古代海にいた単一細胞有機物から進化してきたと信じられている。我々が多細胞生物に進化し、陸地に移動したとき、我々は我々の血管の中に‘塩水’として我々と一緒に海水の何某かを運ぶ必要があり、したがって、血液の電解質の大部分を塩が構成するようになる。塩は生命維持に必要で、悪者ではない。