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塩脅迫

Salt Scare

 

 1982年まで塩はタイム誌の表紙で‘新しい悪者’と呼ばれた。インターソルト・スタディの1988年発表は問題を封印したように思えた。この大規模な研究は32ヶ国の52センターを含めており、苦労して塩摂取量を測定し、これと血圧を比較した。全ての集団で見ると、塩摂取量が高ければ高いほど、それだけ血圧は高くなる。効果は全く小さいが、スラムダンクのように思われた。59%の減塩はわずかに2 mmHgの血圧低下が予言される。収縮期血圧が140であれば、厳しい減塩でも138までしか下げられない。しかし、この影響力の大きい研究に基づいて、1994年にアメリカ人は塩を6.1 g/dだけ摂取すべきであると強制的な栄養表示は宣言した。しかし、世界の全ての健康な集団はこの勧告値よりはるかに高い摂取量の塩を実際に食べている強固な事実がある。過去50年の健康と寿命における劇的な改善は、ほとんど全ての人々が多すぎる塩を摂取していると考えられている期間中に起こっている。

 減塩利益で我々が信じていることは大部分間違った情報や神話情報に基づいている。減塩勧告の根底にある仮説は、多すぎる塩の摂取量は加工食品の消費量増加によってもたらされた最近の現象である。例えば、ダールは調味料として塩を幅広く使うことは近代まで希であったと彼の著作で主張した。

 1812年の戦争まで溯った軍事記録からのデータは、兵士と西欧社会のおそらく残りは16 – 20 g/dの塩を摂取していたことを示している。1812年の戦争中、兵士達は高い費用にもかかわらず18 g/dの塩摂取量を維持していた。アメリカの戦争犯罪者達は9 g/dの塩は‘少なすぎる’と痛烈に不平を言った。それは第二次世界大戦直後であった。それから食品保存の主たる方法として冷凍が塩蔵に取って代わり、アメリカ人の平均塩摂取量は9 g/dに低下し、それ以来、その摂取量は続いている。第二次世界大戦前のその期間中では、心疾患、脳卒中または腎疾患による過剰死亡の心配はなかった-我々を減塩に追いやるために使われる主要な疾患である。

 

形勢は一変

 その正に発端から、減塩は命を救うという仮説の問題があった。ダールは何も悪い健康結果をもたらさない全ての様々な高塩摂取量文化に気付かなかった。サンブルの戦士達は彼等の家畜用の塩なめ場から直接塩を摂取する以上の茶さじ2杯に近い塩を毎日摂取している。この塩を全て食べたにもかかわらず、平均血圧は106/72 mmHgで加齢に伴う血圧上昇はない。対照的に、アメリカ成人の約1/3は少なくとも140/90 mmHg以上の血圧を持つ高血圧者である。参考までに正常血圧は120/80 mmHg以下で、一般的にアメリカ合衆国では加齢に伴って上昇する。ネパールのコチャン村民は毎日茶さじ2杯の塩を食べ、クナ・インディアンは毎日1杯半の塩を食べているが、高血圧という言葉はなく、高塩摂取量は高血圧を引き起こすと言うダールの仮説と明らかに矛盾している。

ごく最近の世界の塩摂取量調査は、減塩についてアメリカ心臓協会または世界保健機関勧告値のいずれかに従っている地域は世界の何処にもないことを示している。中央アジア地域は日本やシンガポールを含む高収入アジア太平洋地域に密接に続いて最高の塩摂取量であった。日本食は醤油、味噌、野菜の漬物を非常に多く使用しているので塩含有量が高いことで有名である。日本人自身83.7歳という世界最長の寿命であるので、何の悪い影響も受けていないようである。シンガポールは83.1歳で第三位である。塩摂取が健康について本当に悪ければ、どうして世界最長寿命の人々が世界で一番塩辛い食事を食べているのか?

解析で高塩含有食にもかかわらず平均血圧が低い6ヶ所を明らかになったときの1973年に低塩食への関心が始まった。例えば、Okayumaは今日のほとんどの国民よりも多くの塩を摂取(一日に茶さじ3杯半)しているが、世界で最低の平均血圧であった。

幾つかの事例では、血圧は塩摂取量の増加で実際に低下した。例えば、北部インド人は14 g/dの平均塩摂取量であるが、133/81 mmHgと言う正常血圧を維持していた。南部インド人の平均塩摂取量は北部インド人の約半分であるが、平均血圧は141/88 mmHgと有意に高かった。

しかし、それでも大規模なインターソルト・スタディの疑問があった。データのさらなる解析はかなり異なった塩の絵を描き始めた。4ヶ所の原始集団(ヤノマモ、シング、パプアニューギニアそしてケニア)は最初の解析で含められ、彼等は世界の残りの集団よりも相当低い塩摂取量であった。彼等は他の集団から非常に異なった原始的な生活様式で生活しており、残りよりも99%も低い塩摂取量であった。これらの隔離された人々は残りの世界に対して一般化するのに限界があった。彼等は隔離されていたので平均に大きな影響を与えたからであった。

これら4ヶ所の原始社会は食事だけでも近代の食事と相当異なっていた。例えば、ブラジルのヤノマモ・インディアンはまだ伝統的な生活をしており、何世紀も前に行っていた狩猟採取生活である。彼等は共食いを行っており、そこでは愛する人々の灰を食べる。彼等はそれで生き続けると信じているからである。加工食品はなく、近代的な医療もない。アマゾンの森に住むこの種族とニューヨークの森に住む近代的なアメリカ人と比較することはほとんど公平ではない。彼等の食事の一成分のナトリウムを取り上げ、それだけが高血圧の原因であると非難することは悪い研究の極致である。腰巻きを着ることは血圧を下げると結論することと同じである。

他の問題もある。さらに調査すると、2つの集団(ヤノマモとシング・インディアン)はアンジオテンシン転換酵素の特別な遺伝子D/Dがほとんどなかった。そのことはこれらの集団を心疾患や高血圧の極端に低い危険率にする。したがって、低塩摂取量はこれらのグループで低血圧に対する主要な、または小さな寄与因子でさえないかも知れない。

この場合、調査集団からこれらの隔離集団を除き、元の塩仮説が真実かどうかを見ることによってもっと多くの情報が得られる可能性がある。これらの4つの原始集団が除かれ、48ヶ所の西欧化された集団が調査で残されると、結果は元の結果と全く反対となった。血圧は塩摂取量の増加につれて実際に低下した。少なく塩を摂取することは健康的ではなく、有害であった。

アメリカ合衆国からのエビデンスはいずれも奨励しなかった。国民健康栄養試験調査(NHANES)は定期的に行われてきた大規模なアメリカ人の食事習慣の調査である。第一回目の調査は、少ない塩摂取量の人々は多くの塩摂取量の人々よりも18%高い死亡率であったことを明らかにした。これは高度に有意で、結果を妨害した。

第二回目のNHANES調査は、低塩食は15.4%の死亡率増加を激しく揺らすことと関係していることを確認した。他の試験は治療中の高血圧患者で低塩食による心臓発作の危険率増加を明らかにした。これらの人々は、医者が低塩食を勧めていた正に患者達であった!

2003年に、心配して米国保健福祉省の部門である疾患管理予防センターは医学研究所に血圧だけでなく死亡率や心疾患に焦点を置いて利用できるエビデンスを新しく調査するように依頼した。

医学文献の徹底調査後に、医学研究所は幾つかの大きな結論を下した。低塩食は血圧を下げるけれども、“しかし、存在するエビデンスは5.8 g/d以下の塩摂取量に対して心血管危険率または全集団の死亡率と言う点で塩摂取量低下のポジティブなまたはネガティブな効果のいずれも支持していない。”すなわち、塩摂取量を下げることは心臓発作または死亡の危険率を減らさなかった。

しかし、心不全で“低塩摂取量のネガティブな効果を示唆する十分なエビデンスがあると委員会は結論を下した。”ああ。我々が最も熱心に減塩するように勧めたその患者達が最も害される。

しかし、定説はほとんど変わらない。2015年の食事ガイドラインは高血圧者、黒人、中年と老人で3.8 g/d以下の勧告値と一緒に5.8 g/d以下まで減塩を勧め続けている。

 

どうして塩制限は危険か?

 我々の組織が血液と栄養素を運ぶ酸素で満たされることを確実にする十分な血液量と血圧を維持するために塩は重要である。塩は等量のナトリウムと塩化物から成っている。我々が血液中の電解質を測定するとき、塩は最も一般的なイオンである。例えば、通常の血液は4 mmol/Lのカリウムと2.2 mmol/Lのカルシウムに比較して約140 mmol/Lのナトリウム濃度と100 mmol/Lの塩化物濃度を含んでいる。塩が大いに必要であることは不思議ではない。

 我々の血液がほとんど塩で進化してきた進化理由としての推測がある。我々は地球の古代海洋で単細胞有機体から進化してきたと思われている。我々が多細胞生物に進化し陸上に移動したとき、我々の血管内に‘海水’として我々と一緒に何某かの海水を持ち込む必要があり、したがって、塩は血液の電解質の大部分を構成している。塩は生命維持に必要で悪者ではない。