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高血圧予防のための減塩:論争の理由

Salt Reduction to Prevent Hypertension: The Reason of the Controversy

By Feng He, Norm RC Campbell, Mark Woodward, Graham A MacGregor      European Heart Journal        2021.06.01

 

要約

 食事による塩摂取量と血圧との間には因果関係がある。現在の世界平均値の約10 g/dからWHOが推奨する量の5 g/d以下まで塩摂取量を減らすと血圧が下がり、心血管疾患と全死因による死亡危険率が減少する。しかし、幾つかのコホート研究では、塩摂取量と心血管危険率との間にJ字型関係がある、つまり、高塩摂取量と低塩摂取量の両方が危険率の増加に関連していると主張している。これらのコホート研究には、逆因果関係、塩摂取量の不正確で偏った推定など、幾つかの方法論的な問題がある。例えば、計算式を使用した1回のスポット尿試料からの推定値である。最近の研究では、スポット尿からの塩摂取量を推定するために使用される式が、偽のJ字型曲線を引き起こすことが示されている。不適切な方法論を用いた研究は、人口全体の塩摂取量削減の莫大な利益に関する確固たる証拠に反論するために使用されるべきではない。幾つかの国、例えば、フィンランドやイギリスは塩摂取量を減らすことに成功した。その結果、人口の血圧、脳卒中や虚血性心疾患による死亡が下がった。全ての国は塩摂取量を減らすための首尾一貫した実行可能な戦略を開発し、実施する必要がある。人口全体の塩摂取量の僅かな減少でさえ、医療費の大幅なコスト削減とともに、公衆衛生の大幅な改善につながる。

塩摂取量と死亡危険率:塩摂取量の不正確な推定は線形関係を変える。高血圧予防試験の追跡調査における塩摂取量に対する全死因による死亡率(対数目盛)のスプライン・プロット。減塩グループに含まれていなかった2974人の参加者からのデータは、試験後2326年間追跡され、年齢、性別、人種/民族、診療所、治療の割り当て、教育状態、ベースライン体重、アルコール摂取量、喫煙、運動、および心血管疾患の家族歴について調整。ラグ・プロットは推定塩摂取量の分布を示す。

 

本文は省略。