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減塩

Reducing Salt Intake

By Michel Burnier

European Heart Journal, Vol.38   2017.03.07

 

幾つかの誤ったエビデンスにもかかわらず高血圧と心血管疾患を予防することを始める時!

 

 最近発表された世界中の血圧傾向調査の結果は、血圧の高い多くの成人が1975年-2015年の間にほぼ2倍になり、今や世界中で11.3億人の人々に影響を及ぼしていることを示した。事実、平均収縮期血圧と平均拡張期血圧は高収入の西欧とアジア太平洋諸国で低下し、低と中収入諸国でむしろ増加し、問題が世界の貧困地域に次第に移っていることを示唆している。これらの数値に基づくと、高血圧はこれからの数十年間世界中の大きな健康問題の一つとして確かに残る。心血管疾患や腎臓合併症の発症に高血圧が大きな影響を及ぼすからである。この調査の著者が結論を出しているように、高血圧と関係している健康負担の予防が必要で‘…生涯と個人の生活様式管理を通した集団戦略と個人の治療システムを通した治療の両方を使う多面的なアプローチ’である。

 国連総会で是認された持続可能な開発目標に関する公開作業グループの目的の一つは高血圧を含む非伝染性疾患による死亡率を2030年までに33%減らすことである。この目標を達成するために、世界の全ての国の誰もが素の行動を適用できるように、健康的な行動の促進が重要である。これらの後者にはアルコール摂取量の制限、運動量の増加、禁煙、減量、減塩が含まれている。これらの介入の全ては血圧を下げ、心血管結果を改善するために報告されてきた。減塩は非伝染性疾患予防と管理のための最高の買い物介入として今日、考えられている。

 5 – 6 g/dの減塩は高血圧管理のためにほとんど全ての国際的なガイドラインによると同じように世界保健機関によって勧められている。しかし、人口レベルの減塩を考えることは様々な、しばしば弱く関連した主張のために不必要であるという幾つかの反対の声が何時もある。したがって、低塩摂取量の潜在的な危険性をある者は主張している。幾つかの疫学的研究と臨床試験の後の解析は低塩摂取量(一般的に4 g/d以下のNaCl)で死亡率増加を示唆している死亡率と塩摂取量との間の関係にJ字型曲線を報告してきたからである。それが事実かどうかは不明である。

 事実、これらの観察は前向き介入研究で実証されてことはなく、このJ字型曲線を説明する逆因果関係の確立はむしろ高い。どの場合でも、世界中の人々の大多数は8 -10 g/dの塩摂取量でしばしばもっと多いこともあることを考えると、この主張はむしろくだらないことであるように思える。提案されている減塩はそれほど極端ではないので、人々は非常に低い摂取量の危険性にある。他のことについては、高血圧でなければ、10 – 6 g/dに減塩することは臨床的な利益を提供することを示す十分なエビデンスはない。

これは多分、真実であるかもしれないが、公衆衛生政策の一部として減塩を実行できないことは本当に説得力のある主張であるか?このエビデンスは大規模な前向き試験では決して得られないかもしれない。したがって、その理由のために塩に関して行動しないことを勧めることは怠惰の枕のように聞こえる。

最後に、塩摂取量が血圧制御に関係した因子ではないと結論を下すための主張として塩摂取量は全集団で血圧と非常に弱く相関しているという事実をある人々は考察している。事実、腎機能が正常である限り、塩摂取量がどうであろうとも血圧を維持する圧力/ナトリウム利尿のために、塩摂取量と血圧との間に何の相関もない。しかし、腎機能が加齢、肥満、代謝性症候群、または腎疾患を含む何らかの理由で低下したとき、塩摂取量が高いとき、塩排泄量を増加し、ナトリウム収支を維持する必要があるので、血圧は高いままとなる。したがって、集団全体の塩摂取量と血圧との間に相関がないことによって、または一般的に観察されている弱い相関によって驚かされるべきではなく、この後者の関係は正常血圧で健康な被験者から本質的に構成されている。この集団低下で、20 – 30%の塩摂取量低下は食べ物の本当の味の再発見を除いて臨床的な影響はない!

健康に良い食べ物と言うより広い関係で減塩を考える価値があるかもしれないが、これはナトリウムだけでなく、カリウム、砂糖、脂肪のような他の電解質や栄養素も含んでいると言った。

カリウム摂取量は塩摂取量と血圧との間の関係の変えることを最近のデータは明らかに示してきた。その上、患者の塩摂取量が多いとき、高いカリウム摂取量は心血管疾患と腎疾患の低い発症率と関係していることをデータは示唆してきた。塩摂取量を減らすだけでなく果物や野菜の摂取量を増加してカリウム摂取量を増加させる努力をすべきであることをこれは示唆している。今日、カリウム摂取量はほとんど全ての国々で3 g/dと言う推奨されている目標値以下であり、100 mmol/dL以上と言う目標尿中カリウム排泄量は疫学調査でほとんどない。平衡されたナトリウムとカリウム摂取量は1と言う尿中Na/K排泄量の比に持って行くべきで、今日ではそれは約2.5である。残念ながら、低ナトリウムで高カリウム含有量の食事の実行に対する一つの大きな限界は価格である。事実、多くの国々で、新鮮な果物、野菜は高価で、一方、高ナトリウム、砂糖、脂肪含有量の健康に悪い食品は比較的安く、低・中所得諸国の人々には受け容れやすい。

要するに、高血圧のような非伝染性疾患の予防は数多くの公衆衛生戦略の実行を意味する。ナトリウムとカリウム摂取量に関する介入は問題の一面に過ぎないが、今では素の介入は確かに最も費用効果がある。幾つかの他の局面ももちろん考察されるべきである、例えば、子供の栄養の改善または肥満に対する戦い、喫煙、運動不足そして大気汚染である。しかし、全てこれら可能性のある介入は減塩を始めることを妨げるべきではない。