高血圧治療における減塩-現状と今後の方向性
Salt Restriction for Treatment of Hypertension – Current State and Future Directions
By Philip Nolan, John W. McEvoy
Current Opinion in Cardiology 2024;39: 2024.01.
要約
レビューの目的
過剰な塩摂取量が血圧と心血管疾患に悪影響を及ぼすことから、多くのガイドラインで塩摂取量の制限が推奨されている。最も厳しいガイドラインでは、高血圧患者における塩摂取量を1日1.5 g以下に制限することが推奨されている。しかし、一般集団における平均的な塩摂取量は1日5 gに近く、過度の塩制限が心血管疾患リスクの上昇に関連するかどうかについては議論がある。本研究では、このテーマについてバランスの取れた最新情報を提供することを目的としている。
最近の知見
2021年に実施された「Salt Substitute and Stroke Study (SSaSS)」では、カリウムを補充した低ナトリウム塩代替品を無作為に摂取させた中国人成人において、血圧、心血管疾患、死亡率が有意に低下したことが示された。この試験は、ベースライン摂取量が過剰であった人における食事性ナトリウム制限の有益性に関する議論にほぼ終止符を打った。しかしながら、実際の臨床現場で食事性ナトリウム摂取量を1.5 g/d未満に抑えることの達成と維持が可能かどうか、またこの低塩摂取量が有害かどうかについては、依然として未解決の問題が残っている。
要約
一般人口では1日当たり2~3 gのナトリウム摂取量を目標とし、高血圧症や心血管疾患患者では1日当たり2 gまで低く抑えるのが最も合理的と思われるが、より低い目標値については不確実性がある。
本文は省略。