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レビュー論文

ミネラルとアミノ酸の塩味知覚における味覚受容体の役割

と減塩戦略の発展:レビュー

Role of Taste Receptors in Salty Taste Perception of Minerals and Amino Acids and Developments in Salt Reduction: A Review

By Saumya Sood, Lisa Methven & Qiaofen Cheng

Critical Reviews in Food Science and Nutrition       2024.06.22

 

要約

 塩(塩化ナトリウム)は、食品の食感、微生物学的側面、感覚的側面を維持する上で重要な役割を果たす。しかし、国民の食事による塩摂取量が多いことが、一連の健康問題を引き起こしている。現在、製造業者は消費者の体験を損なうことなく食品のナトリウム濃度を下げるよう圧力を受けている。塩化ナトリウムはすっきりとした塩味を生み出すため、食品業界にとって適切な塩代替品の開発が課題となっている。研究では、食品マトリックス内のさまざまな成分が塩味の知覚に影響を与える可能性があることが示されている。このレビューは、ミネラルやアミノ酸などの化合物が塩味の知覚に及ぼす潜在的な相乗効果を理解することを目的とし、ナトリウム・イオンやその他の金属イオン(K, Mg, Caなど)やさまざまなアミノ酸とその誘導体に起因する味に関連する知覚のメカニズムを取り上げている。最後に、このレビューでは、研究者、研究機関、食品業界が検討したさまざまな減塩戦略を要約し、植物由来の抽出物の潜在的な使用も含める。

 

はじめに

 イングランドの健康調査(2017)によると、2017年にはイングランドの16歳以上の人口の約26.2%が高血圧であった。一部の高所得国では高血圧の治療と診断が改善されているが、高血圧の世界的負担は、特に低所得国と中所得国で依然として高くなっている。1995年に食品栄養政策の医学的側面に関する委員会が発表した報告書では、塩摂取量と血圧上昇の関係、そしてその結果としての心血管疾患リスク増加が強調された。Rucker, Rudemiller, Crowleyは、ナトリウムが血流中に蓄積して血液細胞(T細胞と単球)を変化させ、それによって血圧を上昇させることを強調した。そのため、塩摂取量を制限する世界的なガイドラインがあり、WHOは平均的な成人の1日当たりの塩摂取量を5 g未満(またはナトリウム2 g未満)に制限することを推奨している。しかし、平均して成人は推奨される塩の約2倍、つまり912 gの塩を摂取している。イギリスでは、イングランドの成人の約67%、スコットランドの成人の70%が1日当たり5 gを超える塩を摂取している。そのため、イングランド公衆衛生局は、消費者がナトリウム摂取量を監視できるように、肉製品(ベーコンなど、100 g当り最大2.59 gの塩)、パン(100 g当り最大1.01 g)、標準的なポテト・チップス(100 g当り最大1.38 g)など、さまざまな食品カテゴリーの塩削減目標を2020年に再設定した。ラベルや製品にこれらの塩分量を記載するのは任意であるが、2024年と2025年に監視レポートが作成される予定である。

 考古学的証拠によると、人類が初めて塩を採取したのは紀元前6000年頃、中国の雲城湖でのことであり、食品における塩の最初の使用は紀元前2000年頃の魚の保存であったことが示されている。現在までに、多数の研究により、酸塩基平衡、細胞の機能、神経インパルスの伝達、血漿量の維持など、体のさまざまな機能を維持する上でナトリウムが重要な役割を果たすことが確認されている。ナトリウムは人間の健康、栄養、生理学において重要であるだけでなく、食品製造において重要な成分でもある。まず、塩は昔から食品の保存期間を延すための防腐剤として使用されてきた。次に、塩味は多くの製品で望ましく、食品の他の風味を高めることができ、最後に、塩は一部の製品の加工と取り扱いに役立つ。しかし、前述のように、ナトリウムの摂取量が多いことによる健康への懸念が高まっているため、政策立案者は食品業界に対して食品中の塩濃度を下げるよう勧告やガイドラインを設定している。しかし、塩の役割は非常に多様で、さまざまな食品マトリックスでさまざまな機能を果たすことができる。塩の機能は相互に関連しているため、食品中の塩化ナトリウムの量を減らすことは困難である。そのため、現在、すべての食品システムで塩化ナトリウムを十分に減らすことができる単一の解決策はないため、代替の減塩戦略に関する継続的な研究が必要である。代替品は、最終製品に塩味の顕著な喪失や苦味や金属味の増加などの感覚的欠陥をもたらすことがよくある。塩化ナトリウムは食品加工でも重要な役割を果たしており、減塩は製品の食感や微生物学的側面、味や風味に影響を与える可能性があり、消費者に受け入れられないことがよくある。

 このレビューは、代替ミネラルやアミノ酸など、塩味に寄与または強化することが知られているさまざまな成分の役割を理解し、それらが塩味の知覚に影響を与えるメカニズムについて議論することを目的としている。また、複雑なマトリックス内に存在する可能性のある特定の分子や代替成分(植物ベースの代替品など)についても検討する。したがって、このレビューには、受容体(特にナトリウム・チャンネル)に直接影響を与える可能性のある代替品、またはクロスモーダル効果(旨味と塩味の相互作用や匂いによる塩味の知覚など)を介して機能する可能性のある代替品についての議論が含まれている。これにより、これらの成分の相乗効果に関する知識が広がり、食品業界で塩化ナトリウムに代わる新しい代替品を見つける未治療が開かれる可能性がある。

 

ミネラルによる塩味知覚のメカニズム

ナトリウム・イオンの味覚伝達

ナトリウム以外のミネラルの味覚知覚

陰イオンの味覚

 

遊離アミノ酸とペプチドの味覚伝達と塩味との相互作用における役割

遊離アミノ酸とペプチドの味覚知覚

アミノ酸味覚受容体

 

現在の減塩戦略

政府、レストラン、メーカーによる取り組み

利用可能な塩代替品とその応用

 以上の章と節は省略。

 

考察

 省略。

 

結論

 本論文では、塩味の知覚に関与する味覚受容体についてまとめ、最適な塩代替戦略を開発するには、そのような受容体の活性化を理解する必要があることを強調している。ハーブとスパイスのブレンドの使用は、さまざまな食品の塩分を減らすたねの最も広く受けいれられている戦略の1つであるが、主に低ナトリウム製品の風味を高めるために使用されている。味を与える以外にも、塩は食感や微生物の安定性など、最終製品の品質を形成する上で多くの役割を果たす。そのため、食品マトリックスに応じて、ハーブとスパイスのブレンドとミネラル塩を組み合わせて使用することで、食感を維持し、微生物による劣化を防ぐ研究が行われている。

 しかし、クリーンラベルや持続可能な方法で達成された原料の使用に対する需要が高まる中、植物抽出物やその他の産業副産物の潜在的な用途をより深く理解するために、さらなる研究が必要である。さらに、アツケシ草属の植物は湿地の周辺で自然に育成し、必ずしも淡水を必要としない不毛の土地でも育成する可能性があるため、他の農業に使用されていない土地を活用するための解決策となる可能性がある。これらの十分に活用されていない植物は、新しい原料の供給源として食品および飲料業界にとって貴重な資産となる可能性がある。さらに、産業副産物を食品や香料の原料に変換するとことは、食事廃棄物を削減するための賢い技術である。ここで取り上げた植物抽出物と副産物の組成を考慮すると、これらがナトリウム、ミネラル、アミノ酸の味覚伝達経路を活性化すると仮定している。これまでのところ、植物や産業副産物を塩代替品として使用することを検討した研究は限られており、ほとんどの研究は感覚特性の調査と塩味の誘発に限られており、味覚知覚の基本的なメカニズムについては検討されていない。味覚の知覚には複雑な要素が関わっているため、製品の最適化と消費者の受容性の向上のためには、このような原料の塩味知覚に関与するメカニズムをより深く理解することが有益である。したがって、天然塩代替品に由来する塩味知覚に対するさまざまな成分、特にミネラルとアミノ酸の相乗作用を理解する必要がある。