レビュー論文
腸内細菌叢、塩分、高血圧との間のクロストーク
A Cross-Talk between Gut Microbiome, Salt and Hypertension
By Salma Naqvi, Turky Omar Asar, Vikas Kumar, Fahad A. Al-Abbasi, Sultan Alhayyani, Mohammad Amjad Kamal, Firoz Anwar
Biomedicine & Pharmacotherapy 2021;134: 2021.02.
要約
心臓障害は世界中の死亡の主な原因の1つに貢献している。高血圧患者は薬物を十分に維持されていても心血管疾患の危険率が高くなる。したがって、心血管障害の危険性と進行につながる様々な要因と経路を特定することが非常に重要である。幾つかの動物と人間の研究は腸の分類学的変化が心臓血管生理学に関与していることを示唆している。本論文では、様々な実験的証拠の助けを借りて、宿主の腸内細菌叢がこの経路で重要な役割を果たすことを示唆している。短鎖脂肪酸とトリメチルアミン-n-オキシドは腸内細菌叢の2つの主要な生成物である。短鎖脂肪酸は血圧の調整に重要な役割を果たし、トリメチルアミン-n-オキシドはアテローム性動脈硬化症や高血圧を含む冠状動脈疾患の原因に関与している。
図形で要約
食事療法の塩、高血圧および腸内細菌叢との間のギャップを接続する三角形の橋が存在知ることをすることを証明する。また、心血管合併症を予防できる微生物叢を調節および制御できる食事療法の幾つかを紹介する。本論文は高血圧における腸内細菌叢の役割の理解を向上させ、近い将来、腸内細菌叢の恒常性を回復することによって高血圧を予防するための新しい治療戦略の開発に役立つと強く信じている。
1. はじめに
心血管疾患は世界中の主要な試飲の1つである。アメリカでは4人に1人の死因は何らかの心臓障害によるものである。心臓機能を損傷する可能性のある年齢について幾つかの要因が知られている。それらには糖尿病、脂質異常症、薬物、高血圧、喫煙、飲酒、運動不足、不十分な食事などの生活様式の要因が含まれる。高血圧は心血管疾患や腎臓病の原因となる主要な危険因子の1つであり、早死にの主な原因である。塩摂取量は高血圧発症の最も一般的な環境要因の1つであると考えられている。24時間の尿中ナトリウム排泄量と血圧との間には正の相関がある。食事による塩摂取量は正常血圧よりも高血圧の血圧に影響を与えることが確立されている。
最近、腸内細菌叢は心血管疾患への貢献で研究者達の関心を集めている。細菌叢は無数の微生物のコロニーであり、総称して微生物叢と呼ばれ、人体によって飼育されている。微生物叢は主に腸管、特に結腸に存在し、成長とコロニー形成に適した嫌気性で栄養豊富な環境になる。これらは様々な宿主の代謝機能に寄与し、人体の環境シグナル伝達分子に反応する。それらはアミノ酸、胆汁酸、ペプチドなどの特定の生物活性代謝物を生成することができ、宿主受容体の活性化、シグナル伝達、および免疫調節機能を強化できる。
本論文は高血圧における腸内細菌叢の役割の理解を向上させ、近い将来、腸内細菌叢の恒常性を回復することによって高血圧を予防するための新しい治療戦略の開発に役立つ。
2. 健康な腸内細菌叢
3. 腸内細菌叢と心血管疾患
4. 腸内細菌叢と高血圧との関係
5. 腸内細菌叢の主要産物
5.1. 短鎖脂肪酸
5.2. トリメチルアミン-n-オキシド
6. 塩、高血圧および腸
7. リモデリングと塩を巡る分子イベント
8. 薬理学と腸内細菌叢の増強
9. 食事介入
9.1. 血圧と腸内細菌叢
9.2. 西欧食と血圧
9.3. 健康な腸内細菌叢と高血圧減少のための食事
図1 塩摂取量と腸内細菌叢および心血管疾患の変化との関連
以上の章、節は省略。
10. 結論
達成された証拠は、高塩摂取量が高血圧への影響を超えて齧歯類と人間のコホ-トの両方で腸にかなりの影響を誘発することを示している。食事療法の塩、高血圧および腸内細菌叢との間には三角関係が存在する。高塩分はトリメチルアミン-n-オキシドの増加、および腸内の短鎖脂肪酸の減少を引き起こす可能性がある。腸内細菌叢におけるこれらの変化は高血圧と相互に関連している。細菌組成の変化は腸の完全性に影響を及ぼし、降圧剤の薬理学的特性を妨げる可能性がある。しかし、アンジオテンシン変換酵素阻害剤であるエナラプリルとベータ遮断薬であるプロプラノールは、細菌の転座を阻害することが示されている。これらの降圧剤は腸の完全性を改善するため、患者の予後の治療結果に有益である可能性がある。腸内毒素症によって誘発される心臓リモデリングは高血圧に依存するだけでなく、食事による塩摂取量にも関連していると考えられる。塩は腸の系統発生コミュニティを変更する。これは短鎖脂肪酸、トリメチルアミン-n-オキシド、および正常な心臓機能の調節に関与する他の代謝物の合成と分解に関与する微生物経路に影響を与える。ただし、まだ答えられていない主要な質問は、腸内細菌叢の組成と心臓リモデリングの間の直接的なリングが存在するかどうかである。共生細菌叢がポリメラーゼの作用を介して血管収縮に関与していることはよく報告されているが、この作用の媒介の主要なプレーヤーが塩分摂取またはアクチン・ポリメラーゼの存在下で血管収縮を調節する他の要因であるかどうかはまだ調査されていない。一部の研究者達は腸内細菌叢の組成が日周期などの要因で変動し、研究は若年期にあるものの、宿主の概日リズムに連続的に影響を与えると報告している。タウリンや芳香族アミノ酸代謝などの代謝機能経路の変化を心臓の病状の変化に関連する因子であるリポカリン2の腎関連とともに解読し、そのリモデリングされた構造を作成するには、さらに長期的な研究が必要である。