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アメリカ人は減塩できない。考えられる理由の1つは、包装された調理済み食品に多くの塩が入っているからだ

Americans Can’t Cut Back on Salt. One Likely Reason: Packaged and Prepared Foods Are Filled with It.

By Marlene Cimons

Washington Post   2021.01.31

 

 農務省から最近発表された20020 – 2025年食事ガイドラインは、アメリカ人に1日当たり2,300 mg未満の塩を摂取する必要があることを思い出させる。これは小さじ1杯に相当する。代わりに疾患管理予防センターによると、我々はそれよりもほぼ50%多く食べている。

 疾患管理予防センターによると、推奨事項は以前の2015 – 2020年ガイドラインと同じであるが、平均的なアメリカ人は減塩しておらず、1日当たり平均3,400 mg以上を摂取している。

 公衆衛生の専門家達の大多数は、塩が多すぎることを殺人者と見なし、削減するためにできることは何でもするように促しているが、アメリカ人はそれを難しいと感じている。食品医薬品局によると、アメリカの食事に含まれる塩の70%以上が、自宅の塩振り出し器ではなく包装され調理された食品に由来していることが1つの理由である。

 「我々はナトリウムを多く含む食品で溢れている」と元疾患予防管理センター長のトーマス・フリーデンは言う。「ナトリウムの削減は最も無視され、実施されていない公衆衛生的介入の1つである。それでも、過剰なナトリウム摂取量が死に至ることは間違いない。」塩の悪役(塩化ナトリウムとしても知られている)はナトリウムであり、塩の約40%を占める。過剰なナトリウム摂取量は血管を狭くて硬くし、血圧を上昇させる。これは心臓病、脳卒中、その他の深刻な病状につながる可能性がある。世界保健機関(WHO)は世界のナトリウム摂取量を推奨量まで減らせれば、年間250万人の死亡を防ぐことができると推定している。

 アメリカ心臓協会、アメリカ心臓病学会、疾患管理予防センター、全米科学技術医学アカデミー、WHOなど、数え切れないほどの健康団体や多くの公衆衛生専門家達が、消費者がナトリウム摂取量を劇的に減らすことを推奨している。その立場は、ナトリウムの健康上の危険性を強調する何百もの公開された研究の分析を含む数十年の科学的証拠に基づいており、近年の幾つかの研究がそれに挑戦しているにもかかわらず、変わっていない。

 「全ての尊敬されている権威ある組織はそのメッセージを強化し続けており、それにもかかわらず、それは非常に一貫したメッセージである。」とペンシルヴァニア州立大学の健康と人間開発の大学の栄養学の著名な教授であるペニー・クリス-イーサートンは言う。「塩は血圧を上昇させる。血圧は心血管疾患の主要な危険因子である。塩摂取量を減らすと、血圧を下げて心血管疾患を減らすことができる。それと同じくらい簡単である。」

 数年前幾つかの研究が、ほとんどの人が摂取するナトリウム量(公衆衛生当局は多すぎると言っている)が彼等を傷付けないことを示唆した後、論争が起こった。むしろ、心臓病の危険率は、ほとんどのアメリカ人が現在摂取している量よりも多く食べた人々の間で上昇し、また、人々が現在、通常食べている量よりもはるかに少ない、ごく僅かしか食べなかった人々の間で上昇した。

 例えば、都市と農村における前向き疫学調査(PURE)として知られるプロジェクトの一連の研究では、1日当たり3,0005,000 mgのナトリウムが、はるかに高い、または、はるかに低い摂取量と比較して、死亡危険率が低く、心臓発作が少ないとことと関係していると結論付けられた。多くの公衆衛生の専門家達は、研究に欠陥があり危険であると非難した。

「本当にこの時点での科学は解決されており、疑いの余地はない。」とフリーデンは言う。「これらの科学者達が彼等の研究が間違っていると言う決定的な証拠を無視したことは驚くべきことであり、残念なことである。」

 彼等は24時間にわたって採取された複数の試料ではなく、単一の朝の尿試料にも1日の総ナトリウム量を計算し、年齢や肥満度指数などの心臓病の危険因子を含む式を使用したことで、研究者達を誤らせた。その結果、潜在的に偏向した結果をもたらした。批評家たちはまた、この研究は心臓病にかかりやすくする可能性のある物を含め、既存の健康上の問題を抱えている参加者を除外しなかったと述べている。

 「方法論は非常に不健全であるため、公開されたのは驚きであった。」とロンドンのクイーン・メリー大学のウォルフソン研究所の心血管医学の教授であるグラハム・マグレガーは次のように述べている。

 しかし、物議を醸している研究の共著者の一人であるオンタリオ州のマックマスタ―大学の人口健康研究所の准教授であるアンドリュー・メンテは批判を避けている。「人々は常に自分の信念に挑戦する仕事に同意しない。」と彼は言う。「新しいデータは古い教義の長年の支持者である人々によって常に疑問視されている。」メンテは、方法論と結果の両方が健全であり、尿試料が24時間にわたって採取された研究を含む他の研究によって確認されたと言う。彼は、彼等の研究は消費者が無制限のナトリウム量を食べることを提案しておらず、代わりに公衆衛生当局が推奨するよりも多い3,0005,000 mgの間のどこかで摂取することを選ぶという。「我々が今食べているのは、我々が何を食べるべきかと言うことである。」と彼は言う。

 ほとんどの人々は、健康の専門家達が推奨する塩の量を減らすのに苦労している。「ナトリウムを減らすのが難しい主な理由は、ナトリウムを減らすのが難しいからである。」とフリーデンは言う。

 これは食品製造者がパン、スープ、加工肉、さらには新鮮な肉、鶏肉、魚や朝食用シリアルなどの予期しない製品に塩を加えるためである。

 「パンデミックなどの差し迫った懸念がある場合、何百万人ものアンドリュー・メンテに長期的な懸念について心配するよう求めるのは非現実的である。」と公共の利益のための科学センターの共同創設者兼上級科学者であり、新しい本「塩戦争」著者であるミカエル・ジェイコブソンは述べている。「食品環境全体にナトリウムが含まれているので、不可能である。」

 さらに、消費者がナトリウム含有量を提供する食品表示に注意を払っている場合でも、それは困難である。ナトリウムは1食分量で表示されているが、1食分が少ないと難しい場合がある。通常のスープは1杯である。容器分を食べると、4杯分になる可能性がある。」とアメリカ心臓病学会の栄養と生活様式ワークグループの共同議長を務めるアンドリュー・フリーマンは言う。「消費者は、1食分量は彼等が得るかもしれない塩の量の乗数であることを理解する必要がある。」

 ジェイコブソンは、消費者が可能であれば加工食品を避け、ナトリウムを50%少ない「ライト」塩を使用して食事を準備することを提案している。ラベルを読み、同じまたは類似の製品の異なるブランドを比較して、ナトリウム量が最も少ない物を見つけると、彼はアドバイスしている。また、パンデミックに関連した屋内レストランでの食事が禁止されているため、外食の頻度は少なくなり、おそらく1日当たりまでは簡単になっている。しかし、レストランに行く場合、「可能であれば、大きなメインディッシュを2つの食事に分ける。」と彼は言う。

 ほとんどの専門家達は、ナトリウム摂取量を減らすための最善の方法は、食品が消費者に届く前に、包装食品およびレストラン業界自体が製品中のナトリウムを減らすことであると考えている。

 2010年、遺伝的研究は食品医薬品局に対し、加工食品に許可されるナトリウム量を規制するよう求め、アメリカ人の味蕾を調整できるように、製造業者に時間の経過と共にナトリウム量を徐々に下げるよう要約する必要がある、と述べた。2016年食品医薬品局は自主的なガイドラインを提案したが、最終化されることはなかった。

 「バイデン政権下での食品医薬品局の課題はガイドラインを完成させ、業界にそれらを制定するよう圧力をかけることである。」とジェイコブソンは言う。

 このような計画はイギリスで機能し、食品業界は15年間で多くの食品のナトリウム量を自発的に2050%低下させたとマクレガーは言う。「血圧が下がり、死亡率が下がった。」と彼は言う。「年間約20,000回の脳卒中と心臓発作が予防され、そのうち推定10,000回が致命的であった。とても簡単なことであるが、それはすごかった。それは、自分がどれをすることができると自分に言うだけである。塩味覚受容体は塩摂取量の減少に適応する。国民はそれさえ知らないが、我々は彼等に塩をあまり食べさせない。」

 多くの公衆衛生専門家達は、口蓋をリセットするという考え方を好む。「大量の塩を食べることに慣れていると、塩サーモスタットが上向きに調整されるため、大量に摂取していることに人々は気付かない。」とフリーマンは言う。「塩辛い味はしない。塩を加えずに数週間後、自分の食物がどれほど塩辛いのかを気付くだろう。」

 フリーデンは同意する。「ナトリウムの設定値は生まれつきのものではない。」と彼は言う。「ナトリウムを着実に減らしてから、後で現在の食物にタイムトラベルできるとすれば、それは食べられない味になる。」