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心不全についての低塩食の利益は不明

Benefit of Low-Salt Diet for Heart Failure Uncertain

By Lisa Rapaport

Reuters 2018.11.07

 

 多くの医者は合併症を起こさないように低塩食に従うことを心不全患者にアドバイスしているけれども、新しい研究はこのアドバイスを支持する非常に高品質のエビデンスはないことを示唆している。“我々は塩摂取量と心不全とを関係づけるメカニズムをまだ明らかに理解していない、”とイギリスのオックスフォード大学の研究主幹で著者であるKamal Mahtani博士は言った。しかし、医者や患者が減塩アドバイスを放棄すべきであることを結果はまだ意味していない、とシカゴのノースウエスタン大学ファインベルグ医学校のClyde Yancy博士は言った。“‘ハレユヤ!今夜はポテトの大袋を食べられる’しかし、それを食べないと宣言する人々がいることは確かだと思う。その結果は前と同じで、病気になるだろう。”と付随する論説の著者であるYancyeメールで言った。

 食事中の塩を制限することは心不全患者にとって生活様式勧告の要となってきた。そして塩の取り過ぎは心不全によって弱められた心臓が処理できない体液貯留を引き起こすので、制限は変えるべきではない、とYancyは言った。“ピザ、漬物、フレンチ・フライや他の非常に塩辛い食品の無分別な摂取は心不全を悪くし、しばしば入院しなければならないこともある。したがって、そう、心不全で減塩は必要である、”とYancyは言った。しかし、どの程度の減塩が理想的であるか、あるいはこれは患者の異なったタイプで変わるかもしれないかどうかを科学者達は確かに正確には知らないことにも研究は強調している、とYancyは付け加えた。さらに、研究はこの疑問に答え、将来より良いガイダンスを患者に与える必要がある。

 新しい研究について、Mahtaniと同僚は全部で479人の患者を含む前に発表された9件の研究からのデータを調べた。低塩食が心臓発作や脳卒中のような心血管の原因による死亡の危険率を下げることと関係しているかどうかを決定する科学的データをこれらの研究はどれも提供していなかった。“減塩しようとしたとき、ガイドラインが心不全患者に示そうとする正確なアドバイスで多くのガイドラインが変えているように思える。現在のガイダンスを支持するまたは論破するために利用できる確固とした高品質のエビデンスが少ないことも我々の研究は強調している、”とMahtanieメールで言った。

 高塩摂取量は心疾患、心臓発作、脳卒中を引き起こす可能性のある高血圧の主要な危険因子である。心筋が体内に十分な血液を効率良く送り出すにはあまりにも弱いとき、心不全が起こる。症状には疲労、体液貯留による体重増加、息切れ、咳またはゼイゼイ音が起こる。心臓を強化し、体内の体液蓄積を最少にする治療が役立つ。脂肪堆積物が動脈内に蓄積し、血流が下がると発症する冠状動脈疾患は心不全の一般的な原因である。患者は血圧を下げるために減塩し、詰まった動脈の圧力を下げるようにしばしばアドバイスされる。研究で研究者達は心不全患者に及ぼす低塩食の幾つかの潜在的な影響を調べ、決定的な関係を見出せなかった。例えば、急病で反復入院する数は心不全患者がどれくらい多くの塩摂取量であろうと関係なかったことを解析は明らかにした。塩摂取量も心不全症候の頻度または重症度に影響を及ぼすようには見えなかった。

 解析の一つの欠点は、比較的小さな研究はどのように塩摂取量を測定し、心不全症候と結果を調査するかに変動があることで、そのことは低塩食の影響という明確な絵を得るためにこれらの研究全てに渡る結果をプールすることを難しくしている、と著者らは述べている。