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ニューヨーク・タイムズのコラム欄Findings(所見)に投稿された論文』

 

塩の問題に取組む時、正しいか、間違っているかはまだ分らない

When It Comes to Salt, No Rights or Wrongs. Yet

By John Tierney

The New York Times 2010, February 22

 

 何人かの専門家達がアドバイスしているように、この春に発表される新しい国民食事ガイドラインは塩の推奨量を下げることを考えて下さい。さらにニューヨークとワシントンの公衆保健当局が会社に塩をあまり使わないように圧力をかけ続けていることを考えて下さい。その効果はどうなりますか?

 

 塩を掛けるべきか、掛けざるべきか?正しい方法で規制すべきか、先ず最初により研究を行うべきか?議論に参加しよう。議論のサイトTierbeyLabへ行って下さい。

 

A)     毎年44,000人以上の死者が救われるだろう。(最近、NEJMで推定された)

B)     年間約150,000人の死者が救われるだろう。(ニューヨーク市の保健・精神衛生部で推定)

C)     数百万人の人々が思いがけない多分悪い影響を受けるだろう。(最近、JAMAで議論)

D)     どちらにしても大したことではない。

E)     アメリカ人は今日よりもずっと太るだろう。

 

 心配しないで、悪い答えはない、少なくとも今の段階では。これが塩論争の良いところ:信頼できる証拠がほとんどないので、どんな結果についても想像しているだけである。包装食品中のナトリウムの脅威が大きくなっていることについての話があるにもかかわらず、今日のアメリカ人はかつて使用していたよりも多くの塩を食べていることについて専門家達は確信を持っていない。

 過去の傾向を知らなければ、将来の予測は規則のないゲームとなる。

 私の個人的に好きな予測はアメリカ人がさらに太るというEである。しかし、個人的なルールによって指導されている:アメリカ人のウェスト周りの拡大に賭けてはいけない。特に、公衆保健専門家達が混乱している時には賭けてはいけない。

 専門家達がアメリカ人を助けようと試みることが難しくなるほど、我々は益々太ってくる。我々は禁煙するために彼等の優れたアドバイスに従うと、その後、いくつかの推定によって一人当たり15ポンド太った。特別な体重は確かに長寿やよりよい健康との価値ある交換条件であるが、成功させるには新しい挑戦が必要となる。

 1980年代と1990年代に国民食事ガイドラインで公式な悪者となった脂肪を避けるようにアメリカ人にアドバイスするように役人は応じた。反脂肪キャンペーンは確かに食品市場に影響を及ぼしたが、我々が新しい低脂肪製品を何でもむさぼり食べるにつれて、我々は次第に太ってきた。結局、2000年に専門家達は食事ガイドラインを改定し、彼等の反脂肪アドバイスがより多くのカロリーを摂取するアメリカ人を意図しないで勇気付けることによって糖尿病や肥満に寄与してきたかもしれないことを認めた。

 減塩を押し付ける運動を増長させたことから判断して、その大失敗は改革者の意気込みを低下させなかった。減塩食はある人々の血圧を下げる原因となる証拠を指摘して、改革者は、全ての人々の食品中の塩を減らせば、命の1%は救われるだろうと推定している。

 しかし、永遠に減塩させることは社会的に可能であろうか?短期間の管理された実験でも人々に減塩させるには研究者達には十分な時間がない。

 食品産業が製品中の塩を全て減らせば、変化は可能であると塩改革者は言う。彼等はアメリカ合衆国にイギリスを見習うように望んでいる。イギリスでは、消費者が塩を使うことを減らすと同様に産業界に圧力をかける強力な運動があった。その結果、イギリス当局は2000年から2008年までに1日当たりの塩消費量で約10%の低下があった、と言っている。その値は24時間に集められた尿中に排泄された塩の量を分析した調査によって測定された。

 しかし、イギリスの報告はカリフォルニア大学デイヴィス校とセントルイスのワシントン大学の研究者達によってThe Clinical Journal of the American Society of Nephrologyの最近の論文で異議を唱えられた。デイヴィス校の腎臓学者マッカロン博士に率いられるチームは過去20年間に行われた12回のほぼ同様の調査を無視しながら、2008年と2000年に1回ずつ行われた調査についてイギリス当局を批判した。

 イギリスの調査を全て考察したとき、近年で塩消費量に一貫した低下傾向はなかった、と長い間、塩改革者の批判者であったマッカロン博士は言った。データの最も著しい特徴はほとんど他のところでも同じように、イギリスの塩消費量にはほとんど変動がなかった、と彼は言った。

 マッカロン博士と同僚は世界中の33カ国からの調査を解析し、食事や文化に幅広い差があるにもかかわらず、人々は一般的にほぼ同じ量の塩を消費していた、と報告した。アマゾンやアフリカで隔離された民族のように、2,3の例外はあったが、大多数の人々は現在のアメリカ人の食事ガイドラインで勧められているよりも多くの塩を食べていた。

 結果は非常に多くの場所で同じであったので、人々は毎日の塩摂取量を一定にするように大脳の神経回路がナトリウム欲求を制御しているとマッカロン博士は仮定した。そうであれば、そのことは、アメリカ人がかつて摂取していたよりも多くのカロリーを毎日摂取しているという報告に関連した明らかな1つのパラドクスを説明するのに役立つかもしれない。特別な食品から追加的な塩が来るのであろうか、いや、尿検査の研究で何年にもわたって毎日の塩消費量には明らかな上昇傾向はなかった。人々が食べた物を集めることに基づく推定値に依存する代わりに直接、塩量を測定するので、尿検査は最高の方法と考えられる。どうして特別な塩はないのか?減塩の顕著な主張者の一人であるジョンズ・ホプキンス大学のローレンス・エイペル博士は、尿検査の調査を行う上で首尾一貫しない技術が塩消費量における本当の上昇傾向を隠すのかもしれない、と言った。

 しかし、マッカロン博士は測定法は信頼できると言い、設定値理論によってもそのことを説明できると言った:

 アメリカ人はより多くのカロリーを摂取するので、彼等はより塩辛い物のいくつかの選択を減らすので、総合的な消費量は一定のままであった。同じ論理で、将来の政策が食品中の平均塩量を減らすならば、人々はより塩辛い食品を探すことによって、あるいは何でももっと多く単に食べることによって補償するかもしれないと、彼は推測した。

 塩改革者はこれらの考察を無視して、正しい援助で人々は体重を増加させることなく、または他の問題で悩まされることなく低食塩食を維持できると主張している。しかし、人々がより少なく塩を摂取するように誘導されても、彼等はより良い状態の結果を出せるのであろうか?救われる全ての命についての推定値は仮定された低血圧の利益に基づいて外挿されただけである。

 低塩食を食べている人々がどれくらい多くの脳卒中や心臓発作によって悩まされるかを追跡すると、アルバート・アインシュタイン医学校の高血圧専門家であるミカエル・アルダーマン博士が最近JAMAで述べたように、結果はあまりきちんとしておらず、あるいは勇気付けられるものではない。低塩食は彼が考察した11件の研究の中でわずか5件だけで良い臨床結果と関係していた。残りでは、低塩食を食べている人々は同じか、より悪い状態のいずれかで暮らしていた。

 “減塩するとき、血圧を下げるが、他の悪く意図しない結果にもなることがある。より多くのデータが蓄積されるにつれて、減塩の事例をますます支持できなくなるが、提唱者は政策を変えるよりも硬く決心しているように見える。”

 社会政策を変える前に、アルダーマン博士とマッカロン博士は何か新しい、例えばランダム化された臨床試験で厳しい低塩食試験を試みることを示唆している。その提案はあまりにも多くの時間と費用がかかるので、塩改革者により拒否されている。しかし、反脂肪運動のような別の公衆保健失敗の潜在的な費用を考える時、臨床試験は安く見えるために始められる。