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疾患と塩を関係付ける研究は研究者達に疑いを持たせる

Study Linking Illness and Salt Leaves Researchers Doubtful

By Nicholas Bakalar

New York Times April 22,2014

 

 ニューヨーク市の前保健局長官トーマス A. ファーレイ博士は、保健当局が加工食品中の塩量を制限した後で心臓発作や脳卒中の危険性に大きな低下を示したイギリスの新しい研究を引用して、アメリカの食事で塩によって生じる健康の危険性について新たな疑問を挙げた。

 月曜日のニューヨーク・タイムズのOp-Ed論評でファーレイ博士は同様のステップを採るようにアメリカの政府当局に要求した。“全ての食品の塩含有量が低下すると、それにより心疾患や脳卒中で死ぬ人々も低下する”と彼は書いた。

 しかし、ファーレイ博士が引用している研究はロンドン医科歯科大学のFeng J. Heが行ったもので、今月のBMJ Open誌に発表され、健康と塩摂取量との関係について長く続けられている論争における唯一最近の言い訳であり、何人かの専門家が今週、新しい研究を欠陥品として述べた。

 事実、昨年、医学研究所が依頼した報告書は、全ての人が1日当たり5.8 g以下の塩摂取量を目指す科学的理由はないことを述べた。2011年に発表された研究は、低塩食が心臓発作や脳卒中で死ぬ危険性を増加させ、高血圧を予防しないかもしれないことを明らかにした。

 新しい研究は2003年から2011年までのイギリスで平均約8000人のランダム試料による4件の調査から収集されたデータに基づいていた。He博士と彼女の同僚はその期間中に脳卒中死で42%、心疾患死で40%の低下を認めた。

 著者らはその低下を他の因子の中で 調理食品中のナトリウム含有量に制限を設けたイギリス食品標準局の要求に従った血圧低下によるためとした。

 しかし、他の研究者達は納得していない。心臓血管問題は集団で低下してきたかもしれないが、塩摂取量の低下が理由であることを研究は証明していない、と彼等は言っている。

 コペンハーゲン大学病院内科のシニア・コンサルタントのニールス・グラウダル博士は、二つの現象を結びつけることは無意味であると言った。

 “本論文は二つの独立した現象を述べている。それらの現象が何らかの形で結びついていることは完全にあり得ない。”と彼は付け加えた。

 事実、彼等の研究が設計や実行で大きな欠陥を持っていることを彼等自身よく認識していた。

 第一に、それは観察研究で、原因と効果を決めるために設計されたランダム化された試験ではなかった。さらに、4件の調査は異なった集団で行われたものであった。すなわち、血圧や他の心臓血管危険率が評価された同じ集団で塩摂取量は測定されていなかった。

 さらに、心臓血管の健康にも影響を及ぼしてきたかもしれない運動のような重要な変数の影響を研究者達は除外できなかった。

 研究は低塩食について“ほとんどのいわゆる必然的な証拠として同じく低い標準品質である”とジャン A. ステッセン博士はメールで書いてきた。彼はベルギーのルーベン大学の心臓血管科学の研究者であり、低塩食に関して大いに議論した2011年研究の筆頭著者であった。

 疾患管理予防センターは1日当たり5.8 gの最高塩摂取量と塩の血圧上昇効果に特に鋭敏な人々については1,500 mg以下を推奨している。それらの人々はアフリカ系アメリカ人、51歳以上の人々、子供や高血圧の人、糖尿病または腎臓疾患者である。

 しかし、いくつかの大規模な研究は、これらの制限値が一般的に健康を改善するという確たる証拠はほとんどないことを示し、極端な低塩摂取量は有害であるかもしれないことを少し示している。

 JAMAに発表された2011年研究は将来を見越して心臓血管疾患のない3,681人を観察し、平均してほとんど8年間にわたって尿中塩排泄量と血圧変化を追跡した。低い塩排泄量は低い収縮期血圧と関係している一方で塩排泄量と高血圧または心臓血管疾患の高い危険率と間に相関関係はなかったことを著者らは知った。

 しかし、研究者達は低ナトリウム摂取量と高心臓血管死亡率との関係を知った。

 2013年医学研究所の報告書は、1日当たり5.8 gの限界値は全集団の心疾患または脳卒中についての危険率を上げるか、下げるかのいずれかであるという不十分な証拠を示した。疾患管理予防センターは公式に結論に同意しなかった。

 ごく最近、前の研究レビューでグラウダル博士と彼の同僚は最も好ましい健康結果と関係している塩摂取量の範囲を明らかにすることができた。それは6.7 – 12.56 g/日でアメリカ人に公式に勧められている値よりもずっと高かった。