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過剰な塩摂取量で本当に高血圧になるか?

Does Excessive Salt Consumption Really Lead to Hypertension?

By George Winter

The Irish Times Jul. 04, 2018

 

新しい論文は論争を掻き立てるが、意見の陳述はかではなく持論に基づく

 

 まるで知らなかったように、“世界の塩消費量は2020年までに年間1.9%成長し、3.35億トン、140.1億ドルになると予測される”と産業研究社フリードニアが報告したとき、我々の生活における塩の卓越性が強調された。

 その全てが我々のチップに振りかけられるわけではない。どれくらい過剰な塩摂取量が高血圧を促進させ、心血管疾患を危うくし、したがって、それを避けなければならないことについて、我々は全て公衆保健警告を見てきた。

 しかし、しかし、それは本当か?

 アメリカ医学雑誌で最近の論文は質問している:“塩は犯人か、または高血圧における無実の傍観者か?”高血圧に導くとする過剰な塩摂取量の記述は“科学的証拠ではなく、持論に基づいている、”とジェームス J ディニコラントニオと仲間たちは主張している。例えば、ほとんど170件の研究の2011年コクラン・レビュー(そのようなレビューは証拠に基づくヘルスケアーで最高の基準として国際的に認められている)を彼等は引用しており、そのレビューで、減塩は正常血圧者で13%だけ、高血圧者で3.5 – 7%下げたがことが述べられた。

擁護

 塩ではなく砂糖が高血圧の第一原因であるらしいとディニコラントニオ論文は主張している:“医者は自分の高血圧患者に加える砂糖(スクロースや高濃度のフラクトース・コーン・シロップ)や白い小麦粉のような精製された炭水化物の摂取量を減らし、塩摂取量を問題にしないようにするようアドバイスすべきである。”

 アイルランド食品安全局(FSAI)The Irish Timesに次のように語った。“ディニコラントニオ博士のような研究論文の個別の結果に一般的に応答しない。”それに加えて、FSAIの意見は独立した科学委員会によってレビューされたエビデンスの全体に関する公衆保健の擁護と減塩意見に基づいている:2016年に、我々の科学委員会はレビューし、2005年の塩と健康報告書を改定した。このレビューは塩に関する新しい研究として採用され、公衆保健に及ぼすその影響は近年注目されてきた。

 “しかし、我々の科学委員会は、公衆保健を改善するためにアイルランド人口で減塩を続ける政策を世界中のエビデンスの全体は支持している、と結論を下した。新しい研究と科学的エビデンスが集まっているので、減塩に関する我々の立場のさらなるレビューが必要であるかもしれない。”FSAIは“塩摂取量の日々の限界値は6 gで、子供ではもっと少ない”と勧めている。

 砂糖が高血圧の背後にある犯人であるというディニコラントニオ博士の主張に関する限り、FSAIは次のように応じた:“過去数年間にわたって高濃度の仮説を我々は知っており、砂糖と高血圧との関係を示唆するいくつかの研究を述べてきた。しかし、高濃度の研究の全体性は高血圧と塩との関係に関係した研究とほとんど比較していない。すなわち、我々は高い砂糖摂取量と我々の健康に及ぼす効果の危険性を認識している。”

 人口減塩に関する世界保健機関共同センター長が筆頭者であるJournal of Clinical Hypertensionの最近の論文は、“人口の塩摂取量を減らす現在の勧告は健全な科学的エビデンスに基づいており、疑問のある科学的メリットについて2,3の逆説的な研究の最近の発表は世界規模の減塩推進の実行を遅らせるべきではない。”とコメントした。

疑問

 疑問のある科学的メリットのいわゆる逆説的な研究を引用した5件のうち1件はランセット(2016)に発表され、アイルランド国立大学ゴールウェイ校のトランスレーション医療教授マーチン・オドンネルが共著者であった。中程度塩摂取量と比較して高塩摂取量で高血圧者133,000人の研究は心血管疾患と死亡の大きな危険率と関係していた。

 特に低塩摂取量は高血圧者と正常血圧者の両方で心血管疾患と死亡の大きな危険率と関係していた:“これらのデータは、減塩の一番の目標は高塩摂取量の高血圧者であることを示唆している、”と著者等は言う。

 レンスター・クリニックの医長ネビル・ウィルソン博士は、過剰な塩は細胞を害するが、ディニコラントニオ博士と仲間たちによって提示された塩/砂糖/高血圧エビデンスは説得性があることをThe Irish Timesに語った:“塩は高血圧と肥満の原因物質の1つであると言う常識的な意見にもかかわらず、この仮説を裏付ける良い科学的証拠はない。ナトリウムは神経伝達、筋肉収縮、細胞信号発信の基本的なイオンであるので、減塩は有害であるかもしれず、尿中の低いナトリウム濃度は不十分な摂取量を示しているのかもしれない。”

 低塩摂取量は特に老人で脳機能に障害を与えるかもしれない、とウィルソンは付け加えた:“しばしば高齢者のために処方された高血圧用の幾つかの薬は腎臓と尿排泄を通して重要な電解質(ナトリウムやカリウム)の損失を引き起こすかもしれず、傷つきやすい人々で正常な脳機能を損なうかもしれない。”

 “腎臓によるナトリウム保持の欠如は老人や妊婦で普通のことで、低ナトリウム血症、あるいは低血中塩濃度、脳の膨潤を引き起こすかもしれず、アルツハイマー患者の普通の特徴であるアミロイド・プラークの生成と関係しているかもしれない。身体は塩化ナトリウムを作れず、これらの栄養素の健全な供給は食事に依存している。”

 幾つかは痛烈な塩論争の本質は消費者にほとんど透明性を提供していない。しかし、サイエンス(1998)に発表された(政治的な)塩の科学でガリー・トーブスが述べたように:“塩論争は公衆保健政策の要求と良い科学の要求との間の、言い換えれば、行動する必要性と確かな知識体を作り出すための慣行化された懐疑論との間の哲学上の衝突である。”

 しかし、加工肉やスナックのような高塩分食品を控え、新鮮な肉、果物、野菜を出来るだけ食べろと言うのは屁理屈でしかない、とFSAIはアドバイスしている。