新しい研究は、我々が塩について知っていると思っていた全ての事が完全に間違っている可能性があることを示唆している
New Studies Suggest Everything We Thought We Knew about Salt
Could Be Completely Wrong
塩がどの様に作用するかについての現在の理論は直感的で簡単である。そしてそれはおそらく真実ではないことが判明した。
By Gina Kolata
Independent 2017.05.09
200年間以上にわたって医者に教えられてきた塩の式は理解するのに難しいことではない。身体は血圧、神経信号の伝達を含む様々な機能のためにこの基本的なミネラルに依存している。血液中のナトリウム濃度は注意深く維持されなければならない。多くの塩－塩化ナトリウム－を摂取すれば、喉が渇き、水を飲み、適正なナトリウム濃度を維持するために十分に血液を薄める。結局、過剰な塩と水の多くを尿中に排泄する。その理論は直感的で簡単である。そしてそれは完全に間違っているかもしれない。
宇宙旅行をシミュレートするために隔離されたロシア宇宙飛行士の新しい意見は、より多くの塩を摂取することは喉の渇きを起こさせず、幾分空腹にすることを示している。その後の実験は、ネズミの体重を維持させるために25％多く食べさせてより多くの塩を摂取させたとき、ネズミはより多くのカロリーを消費することを明らかにした。
臨床研究雑誌の二件の稠密な論文に最近発表された研究は、身体が塩をどの様に取り扱うかについて従来の常識の多くと矛盾しており、高塩摂取量は減量の役割を演じることを示唆している。結果は腎臓の専門家達を驚かした。「これは正に新しく魅力的である。研究は細心の注意を払って行われた。」とハーバード医学部の医学准教授であるメラニー・ヘーニグ博士は言った。
ピッツバーグ大学教授のジェームズ・R ジョンストンは２つの論文の余白にある予期しない結果をそれぞれマークした。研究は、彼が行った時まで落書きで覆われていた。「本当に格好いい」と彼は言ったが、結果は再現される必要があると付け加えた。
新しい研究は決心した科学者ジェンス・ティツェ博士による数十年にわたる研究の集大成である。彼は現在、バンダービルト大学医療センターとドイツのエルランゲンにある臨床研究のための学際的センターの腎臓専門家である。1991年にベルリンで医学生として彼は特殊な環境の人体生理学の授業を受けた。そのコースを教えた教授はヨーロッパ宇宙計画で仕事をし、乗組員が小さなカプセルの中で生活した28日間のシミュレートされたミッションからのデータを発表した。主たる目標は、乗組員がどうやって仲良くなるかを学ぶことであった。しかし、科学者達は宇宙飛行士の尿や他の生理学的マーカーも集めた。ティツェは乗組員メンバーのデータで困惑させることに気付いた：彼等の尿量は7日間周期で上下した。これは彼が医学部で教えられてきた全てと矛盾していた：つまりそのような周期的なサイクルはあるべきではなかった。
1994年に、ロシアの宇宙計画はミール宇宙ステーションで135日間の生活シミュレーションを行うことを決定した。ティツェは乗組員メンバーの尿パターンと食事中の塩によってどのように影響されるかを研究するようにロシアに手配した。
驚くべき結果が現われた：宇宙飛行士の体内のナトリウム量の28日間リズムは、彼等は排泄した尿量と関係していないことが続いた。そして、ナトリウム・リズムは尿パターンよりもずっと顕著であった。
ナトリウム量は尿量に伴って上下すべきである。研究は完全ではなかったけれども－乗組員メンバーのナトリウム摂取量は正確に計算されなかった－。ティツェは、液体摂取量が乗組員体内のナトリウム貯蔵量に影響を及ぼす他に何かあることを確信した。結論は「異説であった」と彼は悟った。
2006年に、ロシア宇宙計画はさらに２つのシミュレーション研究を発表した。１つは105間続き、他は520日間であった。ティツェは、彼の異常な結果が本当であるかどうかを考える機会を見た。
比較的短いシミュレーションで、宇宙飛行士は毎日12 gの塩を含む食事を食べ、続いて毎日9 gを摂取し、その後毎日、6 gの低塩食を食べ、それぞれは28日間の期間であった。我々のほとんどのように、宇宙飛行士は塩を好んだ。シュトゥットガルトで現在自動車技術者となっている計画に参加したドイツ市民のオリバー・ニッケル33歳は、12 g/dの入っている食事でも彼には十分に塩辛いとは思わなかったことを思い出した。塩量が6 gまで下げられたとき、「美味しくなかった」と彼は言った。ティツェが乗組員の尿に排泄されたナトリウム量、尿量、そして血液中のナトリウム量を測定したとき、本当の衝撃がきた。尿量の不可解なパターンは続いたが、全てが教科書に従って進行するように思えた。乗組員がより多くの塩を摂取したとき、彼等はより多くの塩を排泄した；血液中のナトリウム量は一定に維持され、彼等の尿量は増加した。「しかし、我々が液体摂取量を見た後で非常に驚いた」と彼は言った。より多く飲む代わりに、より多くの塩を摂取したとき、のりは長期間あまり多くの水を飲まなかった。それでは、排泄された水は何処から来たのか？「この現象を説明できる方法が１つだけある」とティツェは言った。「塩摂取量が多いとき、身体は水を発生または生産したらしい。」
別の難問：乗組員が高塩食であったときには何時も空腹であった、と彼等は説明した。彼等の体重を維持するために正に十分な食事をしており、空腹を感じなかったとき、低塩食で同じ量を食べていることをティツェは確信した。しかし、尿テストは別の説明を示唆した。乗組員メンバーは代謝と免疫機能の両方に影響を及ぼすグルココルチコイド・ホルモンの産生を増加させた。さらに洞察を得るために、ティツェは実験室でネズミの研究を始めた。案の定、彼が動物に多くの塩を与えるほど、ますますネズミガス濃度務水の量は減った。そして彼はその理由を理解した。
動物は水を得るが、水を飲むことによってではなかった。グルココルチコイド・ホルモンの増加した濃度は自分自身の脂肪と筋肉を分解した。これは身体が使う水を満たした。しかし、この工程はエネルギーを要する。どうしてネズミは高塩食のとき25％も多く食べるのかをティツェも明らかにした。ホルモンは尿量の奇妙な長期間変動の原因でもあるかも知れない。
飢餓状態の身体は維持のために自分自身の脂肪や筋肉を燃やすことを科学者達は知っていた。しかし、塩辛い食事でしばしば同じ様なことが起こる現象が意外な新事実として起こった。人々はラクダがしていることをしている、とハーバード医学部の腎臓学者であるマーク・ザイデル博士は述べた。彼はティツェの研究に付随する論説を書いた。飲み水のない砂漠を旅するラクダはコブの中の脂肪を分解することによって水を得ている。
この結果の多くの説明の１つは、塩が減量に関係しているかもしれないことである。一般的に、高塩食が水摂取量を多くさせ、そのことが体重を増加させると科学者達は仮定してきた。しかし、比較的高い塩摂取量のバランスが身体に組織の分解を要求すれば、エネルギー消費量も増加するかもしれない。
それでも、ティツェは減量のために多くの塩を食べることをアドバイスしないと言った。彼の結果が正しければ、より多くの塩は長い目で見れば空腹にするであろうから、燃やされた余分なカロリーを補うために、より多くの食べ物を食べなかったことを確認しなければならないだろう。そして高いグルココルチコイド濃度は骨粗鬆症、筋肉損失、二型糖尿病患者そして他の代謝問題のような状態と関係している、とティツェは言った。しかし、水についてはどうしてだろうか？塩辛い食べ物が喉を渇かせることを誰でも知っている。高塩食が宇宙飛行士の喉を渇かせないのはどうしてか？
実際には、口内の塩検出神経が飲みたいという衝動を刺激するため、人々や動物は喉が渇く、とザイデルは言った。この種の「喉の渇き」は身体の実際の水分必要量とは何の関係もないかもしれない。これらの結果は不可解な疑問の配列を開いた、と専門家達は言った。「我々は身体に及ぼす塩化ナトリウムの効果を本当に理解していないことを研究は示唆している。」とヘーニグは言った。「これらの効果ははるかに複雑で、圧力や粒子に基づいた液体の移動を指示する比較的簡単な法則よりも後半にわたっているかもしれない。」彼女や他の人々は、高塩食がある人々の血圧を上昇させる可能性があると言う彼等の確信を放棄しなかった。しかし、今や「高摂取量の悪い効果に行き着いたとき、我々は全ての間違った理由で正しいと私は感じている。」とヘーニグは言った。
