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塩に関する静かな戦争

The Silent War on Salt

塩は自然で最高の風味強化剤で食事作りの大黒柱である。それなのにどうして我々は気付かないで

塩をあまり食べないようになるのか?

By Hugh Wilson

Independent 2011.09.22

 

 多くのシェフや我々の残りの中のかなりの数のように、マーク・グリーナウェイは塩を減らそうとしている。彼は加工された食卓塩よりもむしろ自然海塩だけで控えめに味付けし(“ポテトをゆでるときでも”)、そして“塩を感じ始めると直ぐに塩を入れ過ぎた”と言う呪文を唱えて暮らしている。

 エディンバラのレストラン、マーク・グリーナウェイのシェフ支援者もダルスと呼ばれるスコットランドの海藻乾燥品のような代替物で実験している。“それは素晴しい自然の塩味であるが、他の味もあると述べている。それは全てに良いのではなく-それは直接的に塩に代わる物ではなく、サロイン・ステーキには使わないだろう-が魚料理や幾つかのスープには本当に良い味にする、”と彼は言う。

 しかし、1,2 の前衛的なシェフが減らすように誓ったように、グリーナウェイは塩を完全に諦めなかった。“しかし、決して料理をまずくしないように”出来るところでは塩を減らす、そして彼はより良い品質の塩をあまり使わない。しかし結局、残った我々のように、塩は食品の味付けに非常に重要で無視できないと彼は思っている。

 塩は他の調味料の風味を強化するとしばしば言われている。フィラデルフィアにある非営利研究機関のモネル・ケミカル・センシーズ・センター長ガリー・ビーチャンプ博士は理由を理解している第一人者の科学者達の1人である。最初に、塩は食品を塩辛くするが、多くの他の方法で食品の嗜好性も強化する、と彼は言う。“一番明らかな作用は、塩(NaCl)Naは優れた苦味抑制剤であることだ。したがって、塩が野菜のような苦い食品に加えられると、塩は苦味を阻止し、結果として甘味のような他の快い味を一層際立たされる。塩はまだ分らない方法で他の風味を強化するとも我々は思っている、”と彼は言う。

 グリーナウェイは付言している:“塩は風味を強化するので、塩を使わないでは味付けしない。ある人々は代替物としてスパイスで経験しているかもしれないが、スパイスは風味を強化しないで、風味の方向を変えるだけ。”トップ・シェフは同意する傾向がある。ニューヨークのレストランで提案された塩禁止に対して昨年罵倒したレイモンド・ブランは、“何種類かの調理で、塩は常に基本調味料となる、と主張した。塩は必要である。多くは要らないが必要である、”と主張した。

 調理後に必ず食べ物に塩を振り掛ける、あるいはフィッシュアンドチップショップを通り過ぎるたびに何時もそれを食べて渇望している我々は少ないほど何時もそれだけ良いことには同意しないかもしれない。しかし、我々が塩で塩味、あるいは塩のより微妙な風味強化性を楽しもうと楽しむまいと、まるで我々の生活が塩に依存しているかのように、我々が塩を嗅ぎつけるように配線されているようである。もちろん、彼等は依存している。塩摂取量を減らすという話の中で、塩と基本的な我々の関係がどうであるかを覚えておく価値がある。ビタミンCが必須でないのと違って、ナトリウムは生命に絶対に必要である。我々が塩に飢え、オレンジに飢えない理由がそれである。塩は我々の筋肉を動かし、我々の心は覚えている。塩がなければ、心臓は鼓動を止める。

 “塩はしばしば周囲に乏しかったので、身体は塩を保持する方法を持っていないので、多くの種は-丁度、我々がカロリーの必要性を信号で送り砂糖/甘味を生まれつき好むように-塩味を生まれつき好むように進化してきた、”とビーチャンプ博士は言う。“そして過剰な摂取量の低下は人生の終わり頃まで来なかったので、主に我々の生殖年齢後に、塩を避ける進化論的な圧力はない。”

 それは再び厄介な進化で、我々が生殖と子育て年齢を過ぎた後、進化は我々の健康を完全に無視する。肉体は塩を必要とし、したがって、塩を渇望し、非常に長い間、そうしてきた。

 “生命は50億年前に海や海洋で誕生したと考えられている、”と元料理長でオーストラリアのディーキン大学の食品栄養准教授のラッセル・キーストは言う。“海から陸への移動はわずか3億年前に起こり、海から陸への成功した移動には体細胞が塩辛い溶液に浸されていることが必要であった。”

 進化は苦しいほど遅い工程で進み、我々には現在の塩の偏在に適応する時間がなかった。脂肪と砂糖との我々の関係と正確に相関して、我々は希少で有限な物質として見なされて進化した何かによって突然に取り囲まれた。

 しかし、この塩辛い物語りには歪曲がある。我々は塩をあまり食べない。国として我々はまだ多くの塩を食べており、そのことは血圧上昇と心疾患や脳卒中の高い危険率に寄与するが、ロンドン・メトロポリタン大学栄養政策科長のジャック・ウィンクラー教授は減塩運動を“第二次世界大戦以来で最も成功したイギリス栄養政策”と言っている。

 我々の塩摂取量のほとんどは加工食品から来ており、それはしばしば工業品質の塩が使われている。食品基準庁(FSA)は食品製造者が使用する量を減らすために彼等を追跡してきた。彼等は何十年間も塩辛い朝食用セリアル、クリップス、ソース、スープ、ピザ、パンで我々の渇望を満たしてきた。

 食品基準庁の減塩政策を聞いたこともない、あるいは減塩政策が行われていたことを気付いていたことは、多分、我々が塩を好んでいることを示している。HPソースの製造者が最近低塩レシピを吹聴した後、抗議の声を聞くと、食品製造者達は良いニュースについて声高に叫んできた理由に気付くだろう。

 あるいは多分、遅くパッとしない進歩を高らかに謳うことは難しい。消費者が気付かないかも知れないほどわずかな減塩に同意するように食品会社は要請されたので、その運動は上手く行った。その上に、ブランドは連携して減塩に同意したので、高い塩含有量を維持することで競争する製造者はいなかった。減塩は2年毎に繰り返される。

 “約束が追跡され、公表され、会社に責任を負わせるために定期的に進捗状況が報告された、”とジャッキー・ウエブスターは言う。彼は最初から食品基準庁の減塩政策を主導し、以来、そこで政策を繰り返すためにオーストラリア政府によって引き抜かれた。“そのような短期間で実際に差を示せる公衆衛生運動は多くない。食品基準庁政策は最初の数年で約1 gの減塩を達成し、それは年間約6,000人を救ったと推定される。”

 ケロッグのような大製造者達が委員である。段階的に増加させて前進する方法に同意する。“スペシャルKのような幾つかの製品で、我々は46%減塩できた-しかし、他の製品では工程は遅く、我々は人々の味覚を変えないように連続的に細かい段階で減らす必要がある、”とケロッグのルイス・トンプソン・デイビースは言う。“上手くしなければ、顧客は直ぐに塩の多い商品に移り、公衆衛生の観点からは良いニュースではないので、信じられないほど減塩は難しい。”

 戦略の次の4年に関するデータは2012年に発表され、さらなる低下が示されそうである。戦略は、グリーナウェイのようなシェフが直感的に知っていることを示すことである。減塩がゆっくりと行われ、苦味を抑えるほどまだ十分に塩辛く、より美味しさを強化できれば、人々はあまり塩辛くない食品を受け入れるように準備する。塩のない食品は恐ろしく味がなく、あるいは苦いので、減塩された食品は必要とされない。

 減塩しているだけではない。我々は良い塩も摂取している。過去数年間に、未精製海塩の人気は上がってきた。それは最初に味で始まったが-今では健康のためにも人気がある。未精製海塩はナトリウムと多くの微量成分、例えば、カリウムやマグネシウムを含み、それらはナトリウムを代謝させるために身体に役立つ。食卓塩はナトリウムと固結防止剤を含んでいる。オランダのワーゲニンゲン大学の研究者達による昨年の研究は、カリウムの多い塩を食べることは4 g/dの減塩、または平均的な西欧人の一日摂取量の半分にしたのと同じ程度に血圧を下げられることを明らかにした。

 言い換えれば、良い製品を控えめに使い、出来るだけ多くの加工食品を避ければ、多分、好きなように味付けすることを諦める必要はない。そのことは良い食品愛好者には良いニュースである。我々はあまりにも塩を好むように配線されており、無塩の食事で幸せに感じる効果はほとんどないことをエビデンスは示唆している。

 

幾つかのお好みの塩:グルメ・ソルト

フレーク塩

 海塩は海水蒸発によって作られる。フレーク塩-マルドン海塩やハレン・モンのような-は壊れやすく、ピラミッド型の結晶でどの料理にもわずかな塩味を加える。

 

フルール・ド・セル

 伝統的なケルト法を使った塩田の表面から収穫され、フルール・ド・セルは塩のキャビアとも言われ、わずかなバラやスミレの香りを付ける。本当のフルール・ド・セルはフランスのゲランド地方から得られた物である。

 

グレイ・ソルト

 グレイ・ソルトは湿った未精製海塩で、収穫される塩田底の粘土によりわずかな灰色になっている。それは粗いあるいは砕かれた石で-後者は精製食卓塩と完全に置き換えられている。

 

燻煙海塩

 燻煙海塩は料理の世界で話題になっており、焼き肉からサラダまで独特の香りを加える。木材の火の上でゆっくりといぶられた塩で、苦い薬品的な香りがしみ込むので注意する。

 

フレーバード塩

 バニラ塩、トリュフ塩、セロリ塩、パプリカ塩-全て入手でき、次第の人気を得ている。トリュフ塩は特にパスタにあうと言われ、トリュフの香りを付ける。