塩がどんなに悪いか、本当の事?
How Bad Is Salt for You, Really?
By Francesco Cappuccio, Ceu Mateus
Independent 2016.03.03
ウォリック大学心血管医学と疫学教授フランセスコ・カプチーオとランカスター大学保健経済学の主任講師シュー・マテウスは調味料がどれほど有害かを議論する
何年間も公衆保健当局は塩の摂り過ぎは健康に悪いと我々に言い続けてきた。他の人々はこの主張についてのエビデンスに疑問を持ってきた。塩啓蒙週間であるので、塩の話題について二人の専門家の意見を聞く良い機会である。
減塩についての事例
Francesco Cappuccio:減塩は血圧、脳卒中、他の血管に関連した疾患を減らすので、世界中で年間125万人の早死にを避けられる。これは全ての年齢、人種、収入の男女に有効である。国連と世界保健機関は5大陸からの専門家委員会で全てのエビデンスを徹底的にレビューした。中程度 (5 g/dまで) の減塩をする集団計画は可能で、有効で、安く、強力で、素早くでき、公平である。
しかし、公衆保健行動のこの重要な転換は、機関や高い塩摂取量を維持している集団で利益を得ている人々からの強力な反対がなければ起こらなかった。この否定戦略の鍵となる要因は(偽りの論争による) 誤報や疑いを生み出し不活動を支持するお粗末な科学の使用である。偏光した立場は、中程度(5 g/d)まで集団の平均塩摂取量を下げることが正当化されるかどうか、減塩が害となるかどうかに集中している。
世界保健機関の知恵は、低塩摂取量は早死と関係しているかもしれないことを示しているように思える幾つかの研究の根拠に挑戦している。これらの研究には瑕疵がある。それらの研究には塩摂取量の調査に間違いを含んでいるからである。逆相関(低塩摂取量グループで高い死亡率は多くの薬で治療された病人を含んでいるため)、説明が出来ない混乱因子(結果を説明できない他の因子)、そしてしばしば不十分な統計的検出力(研究があまりにも小規模)と言った偏向の原因となる人々の塩摂取量を測定する方法を彼等は使っている。これらの誤りを作り出すことを避ける研究は害を明らかに出来なかった。
これらの科学的不十分さにもかかわらず、ある者はそれらを無視し続け、彼等の研究方法を修正することを拒否する。むしろ、世界保健機関による真偽の疑わしい陰謀、または公衆保健行動に賛成している小さな主張者グループの組織的な活力で彼等は主張している。しかし、彼等はこれらの推測を説明する確かな動機を提供していない。これに反して、食品産業界の幾つかのグループは偏向的な研究を企てていることを知っており、同時に上手くでっち上げた理論のある塩(脂肪や砂糖も同じ)からの注意をそらすために悪辣なオピニオン・リーダーを使っている。これは十分に記録されてきた。
反対者も“効果がないと言うエビデンス”の概念で“効果がないと言うエビデンスはない”と言う概念を拒否している。懐疑論者は中程度の減塩が心血管疾患を減らすことを示し、中程度の減塩が心血管疾患予防に勧められる最高の戦略として標準的に使うことを主張できるランダム化比較試験を要求している。しかし、彼等は間違っている。肥満を減らし、運動を増加し、糖尿病を予防し、大気汚染を減らしまたはアスベストへの被爆を禁ずるような政策を支持するために心血管疾患に関するランダム化比較試験はない。科学は常に不完全である。公衆保健政策は一番利用できるエビデンスの評価に基づいてほとんど常に実行されている。
最後に、“ガイドライン委員会は独立した方法論者(一般的な方法の専門家であるが該当事項の専門家ではない)だけを含めるべきである”と言う示唆は陰謀である。この原理に従うと、お粗末な科学が後に取り消される間違った研究を使うことを生じさせた。公的な取消にもかかわらず、この間違ったエビデンスは有害の主張を支持するためにまだ引用されている。
歯痛のために心臓学者から、または頻発する咳のために泌尿器科医からの専門的なアドレスを安心して受け入れますか?世界高血圧連盟のミカエル・グレーガーが最近示唆したように、ちょっと疑問を持とう!
訴訟
Ceu Mateus: 世界中やイギリスの早死や疾病の主原因は心臓発作や脳卒中を含む心血管疾患である。高血圧は心血管疾患の危険因子であると言うエビデンスがあるので、塩摂取量と血圧とのポジティブな相関は心血管疾患や早死を減らすために集団での減塩を勧めるために使われる。
減塩に関して科学文献の偏向を明らかにしたトリンコートらによる最近の論文は、しばしば科学は確実な事実に基づかないで響き渡っていることを示している。減塩は健康に良いとの主張を支持するためにこれまで行われてきた研究の弱点や間違いを理解することにそのことは役立つ。
1978年と2014年の間に、僅かに68件の研究が行われたが、ランダム化比較試験は非常に少なく、全体の僅かに27%であった。68件の研究の中で、50%は,減塩は健康に役立たないとし、10%は結論を出せないと言っている。同時期に行われた14件の総合レビューの中で、43%は結論を出せず、21%は、減塩は健康に良いという事実を否定している。
それでも減塩は短期間で血圧を下げるポジティブな結果を研究は示しているが、これは正常血圧者よりも高血圧者でより大きい。しかし、前向きのコホート研究(研究参加者はこの期間従っている)は低塩摂取量対中程度摂取量について心血管疾患と死亡の高い危険率を示している。
血友病や嚢胞性繊維症のような状態の引金を引くかもしれない不変の遺伝特性を持って我々は生まれ、時間が経てっても、我々はそれを変えられない。しかし、不健康な習慣や生活様式に関連した多くの疾患がある。したがって、我々の行動を変えれば、より健康になり、長生きできると言われている。どの習慣が該当するのか?喫煙、飲酒、食事(食べ過ぎ、砂糖の摂り過ぎ、塩の摂り過ぎ、脂肪の摂り過ぎ)そして運動不足か。
寿命に及ぼす喫煙、飲酒、運動不足との関係は十分に明らかにされている。前述した項目の一つを実行すれば、実行しない人々よりも寿命が延びる。一方、肥満と寿命との関係は特に老人ではあまり十分に明らかにされていない。
しかし、食事習慣は食品の入手可能性と手頃な価格に大きく依存している。それらの条件から解放されれば、健康的に食べることは容易である。食事を変える負担は低収入の所帯で生活している人々はでは一層重くなる。
塩消費量に関して鍵は非常な低塩摂取量よりもむしろ中程度摂取量にあるように見える。事実、低塩摂取量は血液脂質やインシュリン抵抗を含めて幾つかの危険因子に悪い影響を及ぼすかもしれず、したがって、心疾患や脳卒中の危険率を潜在的に増加させる。正常血圧者については、減塩が心血管疾患を減らすと言う確かなエビデンスはないが、異常な高血圧者についてはある程度の利益のエビデンスはある。
観察研究では、“何時ものように食べている”人々に従うと、心血管疾患と死亡に関する結果は減塩している人々についてより良いように思える。しかし、食事中の塩により関心を持っている人々はより新鮮な食品を食べ、脂肪や精製された砂糖を減らし、多くの運動をし、喫煙をしない傾向にあることに注目すべきである。したがって、総合的な結果は健康的な生活様式に影響され、塩摂取量だけではない。
心血管疾患と死亡は健康の社会的な決定因子、例えば、子供の成長、教育、収入間の複雑な相互作用の最終結果である。一般的に集団は健康的な食事から利益を得るが、第一に、人々は食卓に健康的な食品を揃えるお金を持たなければならない。政府や当局は集団の肩に決定の重点を置き、“より良く知ってより健康的に食べるべきである”と人々に語るが、これが問題の非常に簡単化したビジョンである。