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スエーデン発の「画期的な電池」で中国の依存を減らす可能性

‘Breakthrough Battery’ from Sweden May Cut Dependency on China

By Alex Lawson

The Guardian 2023.11.21

 

Northvoltは新しいリチウム・フリーのナトリウム・イオン電池は安価で持続可能で、希少な原材料に依存しないと述べている。

 

 スエーデンの開発者によると、欧州のエネルギー産業と電気自動車産業は、「画期的な」ナトリウム・イオン電池の発売後、中国からの希少な原材料への依存を減らす可能性のあるという。

 ヨーロッパ唯一の大手国産電池メーカーであるNorthvoltは、リチウム・ニッケル・グラファイト、コバルトを使用せずに電気を蓄えるように設計された、より低コストでより持続可能な電池を製造したと発表した。

 イギリスとヨーロッパの電池産業は、中国やその他のアジア諸国から供給される原材料または完成した電池に依存している。

 Northvolt社は同社の新しい電池は1 kg当たり160 Wh以上のエネルギー密度を持ち、蓄電プラント向けに設計されているが、将来的には二輪スクーターなどの電気自動車にも使用できる可能性のあると述べた。

 「ナトリウム・イオン技術の使用は新しいことではないが、これは重要な原材料を完全に含まない初めての製品であると考えている。これは根本的な進歩である。」とNorthvoltの戦略・持続可能性担当副社長Patrik Andreassonは語った。「これにより、中国を含む世界の特定地域に依存しない選択肢が提供される。」

 Northvoltがイギリスで事業を開始するかとの質問に対し、Andreassonは次のように述べた。我々はどこに向かうのか明確な道筋を持っている。」

 プロトタイプの電池はスエーデンのヴェステロースにある同社の研究所で開発され、来年顧客に公開される予定である。同社は電池をどこで大量生産するかは決めていない。

 産業規模で電池に電力を貯蔵することは、国の電力網の脱炭素化にとって重要であると考えられている。電池プロジェクトは、風力や太陽電池パネルからのエネルギーを蓄え、風が弱かったり、太陽が輝いていないときに使用できる。

 英中関係の悪化と自動車製造業界の電気自動車への急速な移行を背景に、国家議員らは長年、重要な鉱物が中国の希少資源に依存していることについて懸念を表明してきた。電池メーカーはこれに対抗するためにサプライチェーンを多様化し、代替技術の使用を検討している。

 イギリスとその近隣諸国は、自国の電池産業を発展させ、さまざまな成功を収めることを望んでいる。イギリス北部に38億ポンドを投じて巨大を建設することを望んでいたBritishvolt社は今年初めに破綻したが、Jaguar Land RoverのオーナーであるTataがイギリスに40億ポンドの専門工場を建設すると言う決定を下したことで、このセクターは勢いを取り戻した。

 Andreassonは「エネルギー安全保障を考えるとき、リーダーなしで事業を運営することなど考えられない。それがもたらす雇用創出の影響を過小評価することはできない。地元または地域のチャンピオンが必要である。」

 Northvolt2021年末にスエーデン北部の工場で初のリチウム・イオン電池セルを生産した。

 Andreassonは新しい電池のエネルギー密度はほとんどのリチウム同等電池よりも低いが、コストを低く抑えながら新製品でエネルギー密度を高めることを目指すと述べた。

 Northvolt,国内外の電池は高ナトリウムのプルシアン・ホワイト正極と硬質炭素負極をベースにしており、高温下では代替品よりも安全であると述べた。その結果、同社は中東、インド、アフリカなどの市場をターゲットにしている。

 フォルクスワーゲンを投資家として数え、ボルボとBMWを顧客に数えているNorthvoltは、株式市場に上場する可能性があると示唆されているが、当面の計画はない。