塩は、医者が主張するのと同じくらい本当に有害か?
科学的な懐疑論者達は、それが健康上の問題を引き起こす
という本当の証拠はないと主張している
Is Salt Really as Damaging as Doctors Claim? Scientific Sceptics Claim There Is No Real Evidence It Causes Health Problems
By Barney Calman and Eve Simmons
MailOnline 2019.07.28
● 先週、専門家達は塩摂取量に対する現在の「自由放任主義」アプローチに対して警告した
● 研究者達は、数千人が心臓発作や脳卒中を患い、製造業者達が食品中の塩分を減らせなかったために1,300人が死亡したと主張した
● サイモン・ケープウェル教授は砂糖税と同様に塩辛い食品に高い税金を要求している
● 科学的な懐疑論者達は、塩摂取量が健康上の問題につながるという本当の証拠はないという
誰かシド・ザ・スラッグを覚えているか?グロテスクでヌルヌルしたキャラクターは2004年に政府の監視人である食品基準庁が、「塩が多すぎると心臓発作を引き起こす可能性がある!」というスローガンと共に、全国の看板やテレビ広告に彼のイメージを貼り付けたときに有名になった。
メッセージは、詳細に述べると、塩はナメクジを殺し、我々は人間にも悪い物と言うことであった。塩の過剰摂取量は高血圧につながり、」10人に1人のブリトン人に影響を与える問題であり、心臓発作や脳卒中の危険率を劇的に高める。
この広告は洗練された賞を受賞していない。しかし、15.2百万ポンドの公衆衛生プロジェクトは成功したと見なされ、1人当たり1日当たりの平均塩摂取量が約1 g減少し、1日当たり約8 g、つまり小さじ2杯に相当した。これは50年前の平均的なブリトン人が毎日摂取した11 gから12 gよりも大幅に少ない。しかし、心臓発作や早死を防ぐために推奨される1日当たり6 gをまだ超えていた。
そのため2011年には、調理済み食事に含まれる「隠された」塩に対する懸念の高まりに応えて、イギリスの食品業界は追加する量を減らすことを約束した。そして重要なことに、政府は法的制限を設定することに同意した。しかし、ラインの何処かで我々の塩摂取量を減らすための意欲-そしてシド・ザ・スラッグなどのキャンペーンは途中で失敗した。
その後、先週、専門家達は現在の「自由放任主義」アプローチの壊滅的な余波について警告した。研究者達によると、製造業者達が食品中の塩を減らせなかったために、数千人のイギリス人が心臓発作や脳卒中を患い、1,300人が死亡した。
先週の日曜日のメール・オン・サンデーで、研究の著者であるサイモン・ケープウェル教授は、行動を起こさなければさらに数千人が死亡すると主張し、「塩は砂糖よりも有害である。」と付け加えた。彼の報告書の発表で、彼は警告した:「イギリス政府の自由放任主義のアプローチは何千人もの人々を殺すか、または傷付けるであろう。」
キャンペーンの参加者達は現在、昨年の砂糖税と同様に、塩辛い食品に高い税金を導入するよう政府に求めている。しかし、何年もの間、科学的な懐疑論者達は、塩に関するそのような公衆衛生キャンペーンは証拠に基づいていないと主張してきた。彼等は塩摂取量が実際に健康問題につながるという本当の証拠はないという。その中で、平均的な人は間違いなく混乱したままになっている。それでは、真実は何か-塩は本当に砂糖と同じくらい有害か?
ビクトリア朝時代から激論されている議論
塩、特にその化学成分の1つであるナトリウムは必須栄養素である。体は心臓、筋肉、神経の機能のために、そして水分補給を維持する溜めにそれを必要とする。しかし、多すぎたり少なすぎたりすると、問題が発生する可能性がある。
量のバランスを維持する仕事は腎臓によって行われ、腎臓は血液からそれをろ過して、排泄される尿に出すことによって余分な塩を洗い流す。しかし、腎臓はそれだけしか扱えない。腎臓がそれを十分に早く取り除けない場合、ナトリウムは体内に蓄積し、それは循環に引き込まれるより多くの水につながり、血液量を増やし、心臓のためのより多くの仕事と血管へのより多くの圧力を生み出す。
時間経過につれて、これは血管を硬化させ、高血圧、心臓発作、または脳卒中を引き起こす可能性がある。あるいは、1世紀以上前に最初に浮かび上がった理論はそうであった。
ビクトリア朝時代の科学者達は、最初に塩摂取量を制限することで高血圧を治療しようとしたが、試験結果は様々であった。治療も少し奇妙であった。患者は米、ジャガイモ、果物、チーズしか食べていなかった。
その後、研究者達は農村部(食事の塩分が少ない)から都市(食事の塩分が多い)に移住したアフリカの人々が突然、高血圧を発症したことを指摘した。
最近の研究では、新生児の食事を微調整して、塩摂取量を制限すると血圧が下がることを示した。
また、1990年代初頭の研究では、塩を一日4~6 gに制限すると、高血圧患者の血圧が大幅に下がることが分った。
効果は体重減少とは無関係であることが分った。これと他の同様の発見は、現在、我々の10人に1人に影響を及ぼしている高血圧に苦しむ増加する数に取り組む努力において、イギリスの塩勧告の最初の出版に貢献した。そして健康に関するメッセージはますます増えている.塩は高血圧の主な原因であり、喫煙、肥満、過度の飲酒と同様に我々の健康に悪影響を及ぼす。しかし、全ての科学者達が納得している訳ではない。過去20年間、幾つかの研究が塩を食べ過ぎると健康に悪いことを示し、減塩食が高血圧の危険率を減らすことを示したように、他の主要な研究はこれと矛盾していた。
1988年に発表された論文は、52ヶ国の塩摂取量を調べた。例えば、平均塩摂取量が1日約12 gである韓国の人々は、塩摂取量が低い国の市民よりも血圧が低い傾向があった。
2003年と2004年の減塩研究の2つのさらなるレビューでは、長期的には政府の減塩アドバイスに従うと、血圧がわずかに低下するだけであることが分った。独立した健康研究機関であるコクランの共同研究は、「塩摂取量を減らすことによる長期的な利益の証拠はほとんどない。」と結論付けた。
塩が人々に異なる影響を与える理由
先ず食事中の塩が健康にどの様に影響するかを研究する上で問題がある。「人々が
実際にどれだけの塩を摂取しているかを測定するのは難しい。」とこの主題の研究に30年を費やしたピ―ター・セバー教授は説明する。「これを行う唯一の本当の方法は、尿をテストして、どれだけのナトリウムが排泄されているかを確認することである。「我々は様々な日に様々なものを食べるため、正確な画像を取得するには、人々が生成する全ての尿(最大2リットル)を7日間収集する必要がある。そして明らかに、これは大規模な方法では実行可能ではない。」これに加えて、血圧測定値も1日を通して変動するため、悪名高いほど困難である。温度変化からストレスまで、あらゆるものが血圧に影響を及ぼす。24時間モニターは測定値を取得するための最良の方法である。」とセバー教授は言う。「しかし、これを大規模に行うことは非現実的である。」
塩に対する生物学的反応も個人によって異なる。「血圧に関しては他の人よりも塩に敏感な人もいる。」とキングス・カレッジ・ロンドンの栄養と食事の専門家であるトーマス・サンダース教授は言う。血圧に影響を与えないでかなりの量の塩を摂取できる人もいる。「しかし、恐らく遺伝学のせいで約3分の1人が非常に敏感だと思う。」とサンダース教授は付け加える。
民族性は重要であり、アフリカ系カリブ人とバングラデシュ人の子孫の人々は塩を多く含む食事に対してより敏感であることが研究よって示されている。もう1つの要因は年齢である。「高齢者は特に塩に敏感である。」とサンダース教授は説明する。「血圧への危険率は50に達すると本当に重要になる。」年齢と共に、体は体から過剰な塩を排泄出来なくなり、水分貯留と血圧上昇につながる。サンダース教授は次のように付け加える。「頻繁に運動する人、または肉体的に集中的な仕事をしている人は、汗で塩分を失うため、より多くの塩を摂取する必要がある。一般的に言って、高血圧がなく若くて健康であれば、塩摂取量についてはあまり心配する必要はない。
しかし、セバー教授は注意を促す。「高血圧がない場合は、塩摂取量を減らしてもそれほど血圧が下がることはない。「しかし、塩による被害は生涯にわたる食生活にあり、問題は年齢と共にのみ見られる。」
問題は血圧だけではない。「循環中の高濃度の塩分も時間の経過と共に血管に損傷を与える。これは深刻な健康問題の危険率も高める。」とセバー教授は言う。「もちろん、他の要因もある、食事の他の要素、生活様式、そして遺伝である。しかし、塩はパズルの一部である。」
塩摂取量を増やす必要があるか?
イギリスの現在のガイドラインでは、1日6 g以下に固執する必要がある。と示唆されている。しかし、国際保健指導を担当する世界保健機関は、1日5 gしか許可していない。一部の塩懐疑論者達は摂取量を制限する必要はない、と主張している。では、誰を信じるか?
議論のあらゆる側面からの科学者達は、単一の栄養素の正確な数に焦点を当てることが、より健康にする可能性は低いことに同意しているようである。サンダース教授は次のように述べている。「標準的なアドバイスは全ての人に当てはまるわけではない。ほとんどの健康な人々にとって、塩に磨きをかけることは大きな違いはない。イギリスでは塩摂取量に関してそれほど悪いことはしていない。イギリスで1日平均8 gを摂取している場合は問題ない。高血圧の危険率が最も高いのは毎日15 g、または毎日沢山の醤油を食べる人々である。」
塩に関するキャンペーン・グループ行動の共同創設者であるセバー教授でさえ、それは「時間の無駄」であり、食事の方法について詳細なアドバイスを提供せずに、食事中の塩を自己調整するように人々に指示していることを認めている。確かに研究によると、高血圧患者が塩摂取量を減らすようにアドバイスされたとしても、指示に従うことは滅多にない。
European Heart Journalの2018年の研究では、塩についての医師のアドバイスと比較して、薬は血圧を下げるのにはるかに信頼性は高く、効果的であることが分った。セバー教授は次のように付け加えている。「塩は血圧とは何の関係もないと言う科学者達は正しくない。」「しかし、実際には、問題は塩、砂糖、脂肪だけではない。それらすべて、そして我々が食べる物の量、我々が飲むアルコール量、そして我々がどれ程太りすぎであるかについてである。
「健康的でバランスの取れた食事とアクティブな生活様式をしている人々は、通常、より健康的な体重であり、心臓発作や脳卒中が少なくなる。「我々が食べる物の多くは既製の食物や外食された食事から来ているため、我々が消費している物を管理するのが難しくなっている。「実際、塩含有量を下げるのは食品業界の責任であるが、塩を加えることは安価で味のない食材を美味しくする簡単な方法であるため、彼等は消極的である。
サンダース教授は次のように同意している。「肥満は塩摂取量だけの場合よりもはるかに大きく血圧に影響を及ぼす。それがもたらす他の多くの健康上の合併症は言うまでもない。」
それでは、我々、食べている人は塩についてどうすべきか?答えは、他の全ての成分にアプローチする方法と同じである。健康的でバランスの取れた食事の一部として、食べ過ぎない。塩についてあまり深く考えない。そして科学者達に科学を任せる。
癌の場合、塩摂取量は大きな心配事ではない
塩摂取量と胃癌の関係はどうか?2012年、世界癌研究基金の報告によると、全員が塩摂取量をイギリスが推奨する一日最大6 gに減らすと、この病気の7例に1例を予防できる。しかし、この推奨は韓国など塩を多く含む食事が人気のある国で、胃癌の危険率が高いことを発見した研究に基づいている。そこの平均塩摂取量は1日当たり約12 gで、我々の摂取量よりはるかに多い。
「食事に塩を多く含む食品が含まれている国では、胃癌の発生率が高くなっている。」と胃癌の専門家である腫瘍学者のヘンドリック・トビアス・アルケナウ博士は述べている。「ベーコンやソーセージなど、胃、腸、その他の消化器癌に関連する塩漬け肉についても懸念がある。しかし、危険性は塩漬け工程で使用される化学物質である亜硝酸塩による物と考えられている。西欧諸国では、胃癌最大の危険因子は、年齢、遺伝学、喫煙、および一般的な胃のバグであるヘリコバクター・ピロリ菌の感染である。」ヘリコバクター・ピロリはアジアの研究でも引用された。研究者達は、高塩摂取量が胃の内壁を損傷し、細菌によってもたらされる危険率を高めると仮説を立てた。
しかし、アルケナウ博士は、データは異なる食事と取り控えめな塩摂取量のイギリス人に単純に適用することはできないと言った。「食事療法に関しては、問題は全面的に不健康な食事、過度の飲酒、肥満であり、塩そのものではない。」と彼は言う。「塩が多い不健康な食事をしている人に胃癌が盛られるかもしれないが、それは塩が癌を引き起こしたという意味ではない。「胃癌の人に塩を食べるのを止めるように言うか?それは私のリストのトップにはない。」