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塩、科学そしてアメリカ心臓協会の二重基準

Salt, Science and the American Heart Association’s Double Standard

By Larry Husten

Forbes 2015.01.23

 

  もう一度アメリカ心臓協会は、ほとんどの人々が1日当たり1,500 mg以上のナトリウムを摂取すべきであると言う勧告を守っている。これはアメリカ人が現在摂取している平均3,500 mg/dよりも劇的に少ない。MedPage Todayに掲載されたブログ・ポストで、アメリカ心臓協会会長エリオット・アントマンは低塩摂取量の老人について有益性がなく、ちょっとした害すらあると言う今週始めに発表された研究を攻撃した。

 しかし、アントマンだけ一方的に自分の主張をしている。

 一方的にアントマンは嗜好と精度を持った研究を攻撃している。彼の解析は研究をどのように分析するかのモデルである。彼の結論は次の通りである:

   この観察研究の少ない試料数、方法論の限界、10年間安定した食事パターンを仮定したという信頼性のなさで、これらの結果は老人の食事勧告を公式化するには使うべきではない。

 アントマンは彼の研究の解析と結論で完全に正しい。それは完全な研究とは程遠く、それ自身では塩論争にほとんど、または全く影響を及ぼさない。アントマンは塩に関するアメリカ心臓協会の立場を科学の原則に対してもっと大きな言質に結び付けている。彼が書いているアメリカ心臓協会は…解決に向けての研究を委託されているが、科学的に健全なデータを使うことによってのみ委託される。彼の原則に対する印象的な声明は次の通りである:

     命を救い寿命を改善することに専念する科学に基づく組織について、過剰なナトリウムのように危険な物についての混乱は容認できない。我々は最も科学的に健全な食事アドバイスを社会に提供する義務を負っている。

 

二重基準

 しかし、アントマンは何が科学的に健全なアドバイスを構成しているかと言う混乱した意見を持っている。アントマンの記事だけを読めば、攻撃されている研究はアメリカ心臓協会のガイドラインを支持する圧倒的なエビデンスの海にある孤立した島だと思うだろう。数十年の間、塩の勧告を巡って活発で激しい科学的論争があったことを知らなかったでしょう。今週の研究よりもアメリカ心臓協会の勧告に疑問を投げているもっと多くの追加的なエビデンスがあることをアントマンは語っていない。そしてアメリカ心臓協会の勧告に対する科学的根拠が反対意見に対する科学的根拠と同じほど少なくとも弱いことアントマンは語っていない。

 “科学に基づく組織”は重要なエビデンスを全て提供し、科学的な意見の多様性や複雑性を公正に正確に反映する義務を負っていると私は思う。塩については幅広い科学的なコンセンサスがない。

 最近の重要な2件の進展だけを挙げると:2013年に信望のある医学研究所は、2,300 mg/d以下に減塩させる現在の努力を支持するエビデンスはないと結論付けた報告書を発表した。その後、昨年の夏にアメリカ心臓協会の勧告を支持しないPURE研究からの2件の論文をニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(NEJM)は発表した。この分野における全ての研究のようにPUREは完全ではないが、アントマンが今週攻撃した研究よりもずっと厳密であった。

 分野はどのように分けられるか?NEJMの論文はアメリカ心臓協会の低塩勧告に同意しないと発表した論説も掲載した。良いエビデンスがなければ、あるまで“結果は孤立した公衆衛生勧告として減塩の反対を主張している、”と論評者のスザンヌ・オパリルは書いた。オパリルはアメリカ高血圧協会の前会長だけでなくアントマン自身のアメリカ心臓協会の前会長である。現在のアメリカ心臓協会会長は彼の前任者からの反対意見に注目する必要はないと感じていることに私は驚く。

 結局、アメリカ心臓協会の勧告についてのエビデンスの根拠は極端に弱いことに注目することは重要である。事実、多くの集団で減塩が有益であることを示す良い臨床試験または疫学研究さえからもエビデンスはない。その代わり、アメリカ心臓協会の論理はこうだ:減塩は血圧を下げ、血圧を下げることは心臓血管疾患を下げる、したがって、減塩は心臓血管疾患を下げる。現在でもそれは合理的な仮説であるが、それは真実ではないらしいと言う多くの理由がある。昨年、NEJMPURE論文を掲載した出版物で、減塩の全集団にわたる血圧低下効果の結果として非常に大きな保健利益があることを予測した詳細な解析をトップ研究者達のグループは行った。しかし、“品質の高いデータがないため数多くの仮定が必要となり、研究の結果を解釈する上で注意が必要である。”とオパリルは書いた。

 ガイドラインは必要であるが、それらは危険でもあると思う、と前に私は書いた。戦争のように、圧倒的なエビデンスやコンセンサスがあるときだけ、それらは遂行されるべきである。アメリカ心臓協会はこの点に特に注意することが必要である。前に述べたように、1980年代に始まった脂肪を悪魔のように見なしたコレステロールと食事に関するアメリカ心臓協会の初期のガイドラインは人々に砂糖を含む炭水化物を摂取するように押し付けた悲惨な結果をもたらした広く行きわたった推測がある。我々は多分、損害の全容を知ることはないが、これが肥満や糖尿病の流行に寄与したかもしれないことを多くの人々は推測した。塩で再びこのことが起こらないようにしよう。