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電池のリチウムをナトリウムと置き換える

Replacing Lithium with Sodium in Batteries

By The National University of Science and Technology MISIS

https://phys.org/より  July 17, 2020

 

 国立科学技術大学(NUST)MISIS、ロシア科学アカデミー 、ヘルムホルツ-ツェントラム・ドレスデンーロッセンドルフからなる国際科学者チームは、リチウムの代わりに特別な方法で積み重ねられたナトリウムが電池生産に使われることを明らかにした。ナトリウム電池は既存のリチウム電池よりもかなり安く、同等かもっと多くの容量となるだろう。研究結果はNano Energy誌に発表されている。近代生活でリチウム・イオン電池の役割を誇張することは難しい。これらの電池は何処でも使われている:様々な種類の乗物や宇宙船と同様に携帯電話、ラップトップパソコン、カメラで使われている。リチウム・イオン電池は1991年に市場に出て、2019年にその発明者は技術開発の革新的な寄与でノーベル化学賞を受賞した。同時にリチウムは高価なアルカリ金属で、その資源は世界的に限られている。現在、リチウム・イオン電池に代わる効果的な代替品はない。リチウムは一番軽い化学元素の1つであると言う事実のために、容量の大きい電池を作るためにリチウムと置き換えることは非常に難しい。

  Arkadiy Krashennikov教授に率いられた国立科学技術大学MISIS、ロシア科学アカデミー 、ヘルムホルツ-ツェントラム・ドレスデンーロッセンドルフからなる科学者チームは代替品を提案している。試料内の原子が何らかの方法で積み重ねられれば、リチウムよりも他のアルカリ金属でも高いエネルギー密度を示せる。リチウムに対して最も有望な置換はナトリウムである。バイグラフェン・サンドイッチにおけるナトリウム原子の二層配列が、リチウム・イオン電池の通常のグラファイト陰極の容量と比較しうる陰極容量を示している。リチウムの372 mAh/gに対して約335 mAh/gである。しかし、ナトリウムはリチウムよりずっと一般的であり、したがって、より安く、より容易に入手できる。

 原子を積み重ねる特別な方法は他の原子の上に原子を実際の置くことである。この構造は高電圧下で2枚のグラフェンの間の空間へ金属片から原子を移動させることにより作られる。高電圧は電池を充電する工程を模倣している。最終的には、それは二層のアルカリ金属と他の炭素層からなる炭素層のサンドイッチのように見える。

 無機ナノ材料のNUST MISIS実験場の研究者であるIlya Chepkasovは次のように言っている、“長い間、電池中のリチウム原子は1層にのみ存在すると思われており、さもなければシステムは不安定である。これにもかかわらず、我々のドイツ人仲間による最近の実験は、注意深く方法を選ぶことにより、グラフェン層の間に多層の安定なリチウム構造を作ることが可能であることを示した。これはそのような構造の容量を増加させるために幅広い見通しを開く。したがって、我々はナトリウムを含み、コンピューター・シュミレーションを使って他のアルカリ金属で多層構造を形成する可能性を研究することに関心があった。”

 無機ナノ材料のNUST MISIS実験場とロシア科学アカデミーのシニア研究者であるZakhar Popovは次のように言っている、“リチウム原子はグラフェンと一層強く結合することを我々のシミュレーションは示しているが、リチウム層数の増加は安定性を悪くする。反対の傾向はナトリウムの場合で観察され-ナトリウム層数が増加するにつれて、そのような構造の安定性は増加し、したがって、その様な材料は実験で得られるであろうことを我々は希望している。”

 研究チームの次のステップは実験試料を作り実験室でそれを研究することである。これはドイツ、ステュットガルトのマックス・プランク研究所の固体研究部で取り扱われる。成功すれば、かなり安くて、リチウム・イオン電池と同じかそれよりももっと容量のある新しいナトリウム電池の発生となる。