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低塩食は高塩食と同じほど健康に悪いか?

Is a Low-Salt Diet as Unhealthy as Having Too Much?

By Jessica Brown

https://www.bbc.com/より   2018.10.30

 

何人かの科学者達は低塩食が高塩食とちょうど同じほど危険であると主張している。何が真実か?

 

 昨年、一つまみの塩で大量のステーキを丁寧に味付けしているトルコ人のシェフNusret Gökçeのビデオはオンラインで数百万の映像を集め、彼は「salt bae」と言うニックネームを付けられた。しかし、注目を集めたのは彼の細部への注意だけではなかった。我々は-塩を摂り過ぎていると警告され、そのため健康を害するにもかかわらず-塩で悩まされている。しかし、反論は根付いており、何十年もの研究に疑問を投げかけ、我々の大好きな調味料についてまだ答えられていなくて残っている疑問に光を当てている。

 塩の主要元素であるナトリウムは総合的な体液バランスを維持し、酸素と栄養素を輸送し、そして電気信号に対して我々の神経を追従させるために我々の身体に必須である。しかし、ほとんどの集団は歴史的に勧められているよりも多くの塩を摂取しており、世界中の保健当局の仕事は我々に確信を持って減塩させることであった。

 ガイドラインは6 g/d以下の塩摂取量を成人に勧めている。イギリスでは、8 g/d近くを、アメリカでは8.5 g/dを摂取している。しかし、我々の一日摂取量の1/4だけが我々自身で食事に加えている塩で-残りはパン、ソース、スープそしてセリアルを含めて我々が購入する食品に隠されている。混乱を増しているのは食品表示に関する物で、製造者達はしばしば塩よりもナトリウム含有量を表示しており、そのことは我々が摂取しているよりも少なく摂取していると勘違いさせる可能性がある。塩はナトリウム・イオンと塩化物イオンの両方から出来ている。2.5 gの塩には約1 gのナトリウムがある。“一般市民はこれに気付いておらず、ナトリウムと塩は同じ物であると思っている。このことを誰も話さない、”と栄養学者のメイ・シンプキンは言う。

塩の摂り過ぎは高血圧を引き起こし、それは脳卒中や心疾患をもたらすことを研究は明らかにし、塩に対するエビデンスは説得力があることを専門家達は幅広く同意している。我々が塩を食べると、我々の身体は水を保持し、我々の腎臓が塩を排泄するまで血圧を上昇させる。長期間塩を取り過ぎることは動脈に緊張を与え、高血圧として知られている高い血圧を長引かせ、WHOによると高血圧は全脳卒中の62%を、冠状心疾患の49%を引き起こす。

 35年間にわたって発表された13研究のメタアナリシスは1日当たり5 gの過剰な塩を摂取することにより、全循環器系疾患の危険率を17%、脳卒中の危険率を23%増加させることを明らかにした。ご想像の通り、減塩は悪い効果を持っている可能性がある。血圧、他の循環器系疾患危険因子そして平均塩摂取量の8年間データ解析で、研究者達は、1.4 g/dの塩摂取量低下は血圧低下に貢献した可能性が高いことを明らかにし、-そのことは次には致命的な脳卒中の42%低下と心疾患に関連した死亡の40%低下に貢献した。

 しかし、この研究ような観察研究の一般的な課題で、他の食事行動や生活様式行動から少ない塩摂取量の効果を完全に分離することは難しいことも研究者達は結論を下した。塩摂取量をより意識している人々は総合的に健康的な食事をし、より運動をし、喫煙や飲酒は少ない。

 多くの塩摂取量と少ない塩摂取量の人々を比較する長期間ランダム化試験は原因と結果を確立できた。しかし、資金要件と倫理的影響のためにそのような研究は非常に少ない。“身体に及ぼす塩の効果を示すランダム化試験はほとんど実行不可能である、”とウォリック大学医学部循環器医学と疫学教授で8年間レビューの著者であるフランセスコ・カプチーオは言う。“しかし、我々は死ぬことを知っている肥満や喫煙についてのランダム化試験もない。”

 一方、観察的なエビデンスは沢山ある。1960年代後半に人々に減塩するように説得する運動を日本政府が発表した後、塩摂取量は13.5 g/dから12 g/dに低下した。同じ期間で、血圧低下と80%の脳卒中死亡率があった。フィンランドでは、1970年代後半の12 g/dから2002年までに9 gまでも少なく低下し、同じ期間で脳卒中と心疾患の死亡で75 – 80%の低下があった。

 

異なる偉業

 しかし、追加的複雑な要因は、血圧と心臓の健康に及ぼす塩摂取量の効果が個人間で異なることである。我々の塩に対する感受性は、民族性、年齢、体格指数、健康と高血圧に対する家族歴によって変わる要因に依存して人によって変わることを研究は明らかにした。高い塩感受性の人々は塩摂取量に関連した高血圧により危険性があることを幾つかの研究が明らかにした。

 事実、低塩摂取量は高塩摂取量で高血圧を発症させる危険因子と同じほど危険性は大きいと何人かの科学者達は主張している。換言すれば、危険性が再び大きくなる底部の域値を持ったJ-またはU-字型曲線がある。例えば、メタアナリシスは塩摂取量と循環器系に関連した疾患と死亡との関係を明らかにした。5.6 g/d以下またはの12.5 g/d以上の塩摂取量は悪い健康結果と関係していると研究者達は主張した。

 170,000人以上を含む別の研究は同様の結果を示した:高血圧の有無に関係なく、12.5 g/dまでの中程度の塩摂取量と比較して7.5 g/d以下として定義される低塩摂取量と循環器系に関連した疾患と死亡の危険率増加との関係であった。この中程度の塩摂取量はイギリスで勧められている毎日の塩摂取量の最大2倍である。オンタリオ州マックマスタ―大学の栄養学的疫学者で研究の主導著者であるアンドリュー・メンテは、高塩摂取量から中塩摂取量に減塩することは高血圧危険率を低下させるが、それ以上の健康利益はない、と結論を下した。そして低塩摂取量から中塩摂取量への塩摂取量増加も役立つかもしれない。“中間領域の最適値を見つけ出すことは全ての栄養素について期待することと一致している…つまり、高摂取量では有毒となり、低摂取量では不足となる。最適値は中間領域の常に何処かにある、”と彼は言う。

 しかし、必ずしも全ての人々が同意するわけではない。カプチーオは、減塩は-塩を食べ過ぎている人々だけでなく、全ての人の血圧を下げることは明白であるとする。反対の結果を結論とする最近の研究の波は小さいと彼は言う。既に病気の参加者を含んでおり、間違ったデータに依存している、つまり、24時間に広げた幾つかのテストで使われた‘黄金法’の代わりに空腹時のスポット尿テストを使っているメンテの研究を含んでいる。

 慈善団体のイギリス栄養財団の科学理事長であるサラ・スタンナーは、高血圧者の減塩は血圧を下げるというエビデンスと心疾患の危険性は強いことに同意している。何人かの研究者達が危険な低い量としている3 gを摂取している人々は少ない。我々が買う食品中の塩分量のためにこの量を達成する事は難しい。とスタンナーは言う。“我々が摂取している塩の多くは毎日の食品中にある。食品供給の再構成をすることがイギリスの事例のように国民の塩摂取量を下げる最も成功する方法である、”彼女は言う。

 高塩摂取量が別の方法による健康的な食事や運動によって相殺されるかどうかに関して専門家達も矛盾する意見を持っている。スタンナーを含めある者は、果物、野菜、ナッツ類や酪農製品にあるカリウムの豊富な食事が血圧に及ぼす塩の悪い効果を相殺するのに役立つ、と言っている。

 ランカスター大学で保健経済の主任講師であるCeu Mateusは、塩を完全に回避しようとするよりもむしろ食事に隠されている塩を意識することを我々は優先すべきである、とアドバイスしている。“我々が塩を取り過ぎる問題は少なすぎる塩摂取量とも関係した問題に類似しているが、ここで何が起こっているのかを理解するために我々はもっと研究する必要がある。同時に健康な人々少量を制御できる、”とMateusは言う。“塩の摂り過ぎは本当に悪いと我々は気付くべきであるが、食事から塩を完全に除くべきではない。”

 低塩食の潜在的な危険性や塩感受性の個人差を主張している最近の研究にもかかわらず、既存の研究からの最も確立された知識は、塩の摂り過ぎは明確に血圧を上昇させることである。