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塩と我々の健康

主流神話の公開

Salt and Our Health

Exposing Mainstream Myths

By Morton Satin

https://www.westonaprice/health-topics/  2012.03.26

 

 水は別にして、塩(塩化ナトリウム)は人類によって摂取されている最も何処にでもある食品成分である。塩は生命と良い健康にとって必須の栄養素であり、全ての多細胞動物にとって細胞外液中の常に支配的な陽イオンであった。海水環境から初めに発生したので、人体の塩対水の比率は代謝に対して重要である。ヒトの血漿は0.9%の塩化ナトリウムを含んでおり、そのほとんどは食品から来ており、少量は水から来ている。十分な塩摂取量の基本指標は基本的なヒトの必要量として8 g/dの塩を指摘している。

 

塩は必須栄養素

 臨床研究で、塩はナトリウムのミリモル(mmol)で計算され、100 mmolのナトリウムは2.3 gの量であり、茶さじ1(5 g)の塩となる。

 十分なナトリウム()を摂取しなければ、特別なフィードバック機構で駆動される我々の代謝はナトリウム倹約モーデに移行するので、循環系は浸透圧バランスと十分な血圧を維持できる。これは我々にとって幾つかの重要な結果をもたらす。減塩はレニンーアンジオテンシンーアルドステロンのホルモン系(RASS)の刺激によって特徴付けられる。RAASに最初に関与する酵素レニンは、1日当たり塩摂取量が8 g以下になると増加する投与量応答曲線を明らかに示した。1日当たり6 g以下の塩摂取量の時点で、レニンは急速に上昇し始める。RASSフィードバック機構は塩摂取量に対する我々の投与量応答の最も分りやすい手段で十分な塩摂取量の基本的な指標である。

 この反応連鎖は浸透圧と血圧を維持するために設計されているが、レニンとアルドステロンの慢性的な高い濃度は循環系の状態に悪い影響を及ぼし、体内で炎症性の要因に刺激を与えるかもしれない。レニンとアルドステロンの慢性的な高い濃度の悪い結果の中に含まれることはインスリン抵抗、代謝性症候群、心血管疾患、認知欠損、その他である。

 

塩と血圧

 塩摂取量の圧倒的な公益は血圧に及ぼす塩の認められている全般的な影響を巡る関心から来ている。残念ながら、これは長い間、大きな神話に仕立て上げられた情報の主題であった。減塩に対する多集団の血圧応答は異質的である。大きな減塩(現在の塩摂取量の半分以上)では、集団の約30%が収縮期血圧でわずかに低下(2 – 6 mm)し、一方、約20%は血圧で同様の上昇を示し、そして残りの50%集団は全く影響を示さない。血圧に及ぼす大きな減塩の比較的小さな影響を考えると、減塩の結果として生ずる他の悪い結果を消費者は必ずしも全てを知らないことは不幸である。

 

塩を減らするための公共の圧力

 1980年代の遅くに、塩が集団の血圧に及ぼす大きな影響を持っていると言う意見に応じて、血圧に及ぼす塩摂取量の影響を調べるために国際的な研究(インターソルト)が行われた。結果が出たとき、大多数の国々で一人当たりの塩摂取量は7 – 10 g/dの範囲であった。塩摂取量と血圧との間には明らかなパターンがないことを結果は示した。しかし、52グループの中で非常に低い塩摂取量で平均血圧より遙かに低い血圧を示す4集団があった。このグループで最低塩摂取量の集団は原始的なヤノマモ・インディアンで、彼等はブラジルの熱帯多雨林に住んでいる。通常、パターンの残りから非常に遠く離れたデータ点は飛び地として参照され、一般的に解析から削除されている。この場合、飛び地を含め、塩摂取量を血圧に関連させるパターンが存在することを示すために、飛び地データと残りの集団とを結び付ける線を引いた。(図1省略)

 近代の西欧社会と非常に異なった生活様式、運動量、カロリー摂取量、環境ストレスを持った社会とを比較する賢明さは疑問に対して正当に開かれているが、ヤノマミ族の生涯にわたる低血圧の問題は正当化として反復して使われた。ヤノマミ族は攻撃的で暴力を振るいやすい人々として民族誌の文献に書かれている。環境ストレスに継続的に曝されていることに加えてこの特性と関係しているストレスはヤノマミ族の血圧に影響を及ぼしているようには思えない。彼等の異常な血圧プロフィールは塩摂取量が少ないためとされてきたが、はるかに可能性の高い理由はD/D遺伝子型のほとんど完全な欠損にあるように思える-他の4ヶ所の飛地点の一つであるアマゾン川の熱帯多雨林のシングー・インディアンのような他のアメリカ原住民と共有している遺伝的特性である。彼等には年齢に関係した血圧上昇がないにもかかわらず、ヤノマミ族は低い身長、高い死亡率、短い寿命の多産人口として特徴付けられる。塩が制限されている多雨林環境で進化した長い歴史にもかかわらず、彼等は低い塩摂取量に順化して来なかったし、慢性的に高い血漿レニン濃度であることを述べることも興味深い。それにもかかわらず、正式なインターソルト解析にヤノマミ族のデータを含めることで、たとえ間違っていても、最新の減塩努力の取り組みを始めた。

 大きな集団減塩の仮定されたメリットはローズ人口戦略理論を通してさらに正当化され、高血圧を含め健康に対する最多数の危険は図2(省略)に示されている高危険率グループに制限されているよりもむしろ集団間の連続体として公平に配布されていることをその理論は主張した。

 したがって、正常血圧者を含めて全集団間の血圧でわずかな危険率低下(大きな減塩を通して達成された血圧)は心血管疾患の集団発症を想像では下げられたかもしれない。減塩によって多くの生命と何百万ドルの医療費が節約されるかもしれないと言う考えにこれは影響を与えた。しかし、この概念には多くの間違いがある。

 最初の事例で、塩感受性と血圧上昇に向けての傾向は遺伝によって大きく影響され、したがって、均等に分布しているのではなく、むしろ集団間で著しくゆがめられた。さらに、減塩のような介入が小さくてネガティブな効果(レニンーアンジオテンシンーアルドステロン系の刺激からの結果のどれか一つ)しか示さなければ、減塩は反対の方向に危険曲線を移動させる傾向にあり、疾患率と死亡率の危険率を大きくする結果となる。結局、統計的に公衆衛生に利益があるかもしれない介入(大きな血圧低下のような)は個人の健康に対して必ずしも全てに何の差もないとは言えないかもしれない-一般的には“人口パラドックス”と見なされた。この理論に対する明らかな欠点を考えると、減塩が幅広く無批判に受け容れられたことは注目すべきである。

 

欠陥のある基準

 したがって、基本的に欠陥のある塩摂取量に関する基準を確立するために知的段階が設定された。そしてそれはナトリウム()についての参考摂取量(DRI)で正に起こったことである。事実、彼等はさらに多くの医学的神話情報の泥沼に沈んだ。現在の塩摂取量勧告値についての財団の出版物であるナトリウムのDRIは、“投与量応答試験からの不十分なデータのために、推定平均要求量(EAR)を確立できず、したがって、許容勧告値を導き出せなかった。したがって、十分な摂取量(AI)が提供されている、”ことを明らかに最初から述べている。

 この単一の声明は最初から、勧告値の確立で証拠に基づいたアプローチから主観的な推論:意見の一つへの移行を承認している。もっと研究することが証拠の不十分な根拠を増すことを主張するよりも、何よりもご都合主義に基づいてテキストはぶしつけな決定を提案している。十分な摂取量は参考摂取量委員会によって任意に3.8 g/dの塩摂取量に設定された“…総合的な食事は他の重要な栄養素の十分な摂取量を提供することを保証し、高温に曝されている、あるいは身体的に活動している順化してない発汗で損失する塩を補償すること…”しかし、若い成人に関する情報を支持しないことは、この任意の数値が何らかの形で正当化されたことを確認するために提供された。事実、この意見はその後間違っていることが示された。

 塩摂取量の上限を5.8 g/dに設定した事例はさらに問題があるように思えた。様々な塩摂取量に対する体の完全な応答;すなわち、全ての栄養素に使われる通常の合理的な投与量応答法を確定するよりも、心血管疾患についての代替手段の一つ

-血圧-の抗しがたい偏見は一つの焦点を残すことになることは始めから明らかであった:“塩摂取量の増加による主な悪い効果は血圧上昇で、それは心血管疾患と腎疾患についての危険因子に病因論的に関係していることを示してきた。”さらに、正確に5.8 gの塩の使用は、健康結果の確立された一揃いを含めた投与量応答関係の結果ではなかった。塩摂取量が低下したとき、何らかの血圧低下(どんなに小さくとも関係なく)を観察するために任意で都合の良い設定点にすぎなかった。

 それにもかかわらず、塩と健康神話を社会的に受け容れることは如何なる批判的な綿密な調査も弱めることに役立つと言う十分な確信を持って塩摂取量の勧告値が設定された知的破綻者の根拠はこれであった。これらの塩神話はどんなものか?

神話1

我々は今日では前よりも多くの塩を摂取している。

事実:我々の現在の塩摂取量(89/d)1812年の戦争と第二次世界大戦の終わりとの間の摂取量(16 – 17 g/d)の約半分である。

神話2

我々の食事で塩の主要な給源の知識(すなわち、加工食品から80%摂取している)は確かである。

事実:全ての医学出版物で言及されているこれらのデータは1991年からの1論文に基づいており、それは全部で62人にすぎない食事思出法(データ収集で非常に信頼性のない方法)によるものであった。

神話3

我々の塩摂取量は毎年上昇し続けている。

事実:我々の塩摂取量は1950年代半ばから変化していない。

神話4

フィンランドの30年間公衆衛生イニシアチブは減塩の成功モデルを表している。

事実:フィンランドは1970 – 2000年の期間で12 gから7 g/dまで人口の塩摂取量を下げることが出来たが(アメリカ合衆国1945 – 1960年に行ったこととほぼ同じ)、同じ期間中に彼等が達成した健康利益は、減塩を行わなかった隣国や他の諸国よりも良くなかった(そして事実、少しばかり悪かった)

神話5

現在の塩摂取量は心血管疾患や死亡を早死の結果となる。

事実:様々な諸国の平均余命をそれらの諸国の平均塩摂取量に対してプロットすると、塩摂取量が高いほど寿命は長いことが明らかである。(3省略)塩摂取量と寿命との因果関係はないことを説明しているが、データは寿命と塩摂取量との間の適合性を明らかに示している。

神話6

減塩は全体的な食事を改善する。

事実:塩はサラダ野菜や青野菜の苦い植物化学物質を一層美味しくする。ドレッシング等から塩を除くとこれらの重要な食事項目を美味しくなくして、人々に食べさせなくする。

神話7

減塩はDASH食に不可欠である。

事実:DASH-ナトリウム試験の結果を調べると(4省略)DASH食へ単に移動させることは、単なる減塩よりも血圧に大きな影響を及ぼしていることは直ちに明らかである。通常の塩摂取量から食事ガイドラインの勧告値に減らすことはアメリカ人の食事で平均2.1 mmHgほど収縮期血圧を低下させた。しかし、塩摂取量を変えないで標準のアメリカ食からDASH食に単純に変化させることは収縮期血圧を5.9 mmHg低下させ、勧められている減塩からの結果による低下のほぼ3倍であった。もっと重要なことに、減塩はDASH食を一層不味くし、したがって、人々はDASH食を食べようとは思わなくなる。

神話8

塩摂取量と血圧との間には明らかな関係がある。

事実:塩摂取量と血圧との間の明確な関係がないことは標準的な病院の生理食塩水点滴で一番良く例証されており、点滴は0.9%食塩水を日に平均3リットル供給する。これは日に27 gの塩に等しく、その上病院ではさらに食事で6 g (食事ガイドラインに従えば)の塩を摂取している。これは全部で33 g/dの塩摂取量であり、あるいは食事ガイドライン勧告値の5倍以上である。しかし、患者の血圧は6時間毎に4回チェックされ、変化はない。血圧に対する塩摂取量とのうわさの関係は何処にあるのか?

神話9

減塩には何の害もない。

事実:反復して減塩することは以下の状態の医学文献と関係している:

  インスリン抵抗性(糖尿病)

  メタボリック症候群

  心血管疾患死亡率と再入院の増加

  新生児と老人の認識力損失

  不安定、転倒、骨折

  生涯にわたる塩への愛着

  そしてもっと

神話10

アメリカ合衆国の食事ガイドライン工程は妥当である。

事実:医学研究所(IOM)(国立科学アカデミー)の認可の下に発行された元の推奨食事摂取量(DRI)は直ちに国際的に認められ、栄養勧告値に通常与えられる批判的な科学的レビューを逃れていた。実際に良心的な記事の精読者は、最終的な勧告値に到達するために実際の証拠の代わりに行われた数多くの妥協と合理化を暴露している。これは“1994 – 2004DRIsの進展:教訓と新たな課題”と題して200IOM作業部会で反復された。そこでは、最高品質の証拠を表すランダム化比較臨床試験に基づくよりもむしろ最低品質の情報-意見-にDRIsは主として基づいていると何人かの参加者が強調した。それでも、DRIsの性質は遵守の客観性と証拠に基づいた医学の科学的原則から我々はどれだけ逸脱しているかについての洞察を提供する。

 5年間のアメリカ人の食事ガイドライン(DGA)をレビューする工程は、前のDGAsの“独立した客観的”再評価として何時も公表されてきた。塩摂取量についての2005DGAsは基本ドキュメントとしてDRIsを参考にしており、全てその勧告値を採用した。結果として2010DGAsは、危険性の高い人々は上限値について3.8 g/dの塩摂取量を条件とした2005DGAsの勧告値を再確認した。これまで通りに、最初に塩摂取量勧告値を設定したDRIs委員会の委員長は電解質に関する2005年食事ガイドライン小委員会の委員長としてもたまたま作業し、したがって、彼がそもそも公表する責任を負った正に勧告値を評価した。

 2010年に工程は反復され、再び電解質に関する小委員会の同じ委員長が運営を切り盛りした。医学研究所と米国農務省により完全に認可されているこの結論は論点を巧みに避けている。何らかの“独立した客観的な”解析工程が規準(DRIs)の作成を試作する個人を特徴付けられるかどうか論点で、その後、彼は5年後に自分自身の勧告値を評価することを義務づけられ、彼の前の評価を再び評価するように要請された。この工程は独立して客観的な評価の概念を偽物とし、我々の偉大な科学機関の誠実をあざ笑っている。

 

我々は今どこにいるのか?

 上述した神話や制限にもかかわらず、塩摂取量の勧告値は実質的に世界中のあらゆる公衆衛生当局によって無条件に受け容れられてきた。それでも実際的な条件で目的達成がほぼ不可能であるにもかかわらず、人口の限られた部分の収縮期血圧が一桁半ば以下に減少し、人口の別の限られた部分の血圧が同様の大きさで増加する摂取量を勧告値は表しているように思える。幾つかのメタアナリシスは幅広い人口の減塩により評判となっている長期間の利益に本気で疑問を呈してきたが、他は強力にそれを支持してきた。

 事実、矛盾するコメントや“エビデンス”という反復される説明は塩と健康についての論争で通例の特徴となってきており、“ほとんどあらゆる栄養素の‘事実’はしばしば貧弱な品質のエビデンスに基づいて実際には意見である”と一流の何人かのジャーナリストは不平を述べている。総合的に良い健康は一桁の血圧応答よりもずっと大きい意味であることを考えると、現在の食事勧告値は、より多くのより良い投与量応答データを得るためにもっと研究する必要性を曖昧にしている数十年も経た燻製ニシン(人の注意を他にそらす物と言う意味)として役立ってきた。

 

塩の必要性をより良く理解する

 幾つかの最近の出版物は塩に対する人の必要性を考えることで我々に近づいているように見える。例えば、ハーバード医学校からのごく最近の研究は、健常な人々が非常に低い塩摂取量(1 g/d)であるとき、彼等は7日間以内のインスリン抵抗性を発症させることを示した。高い塩摂取量(8g/d)の人々はそのような影響を示さなかった。低塩摂取量は糖尿病や心血管疾患の病因におけるさらなる研究を必要としていることを我々は結論している。

 連続的な国民健康栄養試験調査(NHANESⅠ、Ⅱ、およびⅢ)3回の一連解析で、研究者達は低塩摂取量からの結果である何らかの生存利益を示せなかった;反対に、全死因の増加と低塩摂取量との間に中程度の関係が観察された(しかし、有意ではなかった)

 塩摂取量(24時間尿中ナトリウム排泄量で測定)に関連した健康結果を調べるために行われた最近の研究は、低ナトリウム排泄量は心血管死亡の増加と関係しており、一方、高ナトリウム排泄量は高血圧または心血管疾患合併症の危険率増加と符合していないことを示した。グラウダルと共同研究者達による167件の研究に関する他のメタアナリシスは確認した上で前の報告を次のように拡大した。8 g/d以上の塩摂取量から6 g/d以下へのかなりの減塩は大きくはない限られた血圧低下を示した。高血圧である白人で平均低下は収縮期血圧で5.5 mmHg、拡張期血圧で2.8 mmHgであった。正常血圧の白人では、これらの数値は収縮期血圧で1.3 mmHg、拡張期血圧で0.1 mmHgに低下した。しかし、さらに確認するためにメタアナリシスを行い、減塩は心血管疾患について幾つかの他の危険因子を持っていると言う好ましくない影響を定量的に定めた。これらはレニン、アルドステロン、カテコラミン(アドレナリン、ノルアドレナリン)、そして脂質(コレステロールとトリグリセライド)にかなりの増加を含んでいた。彼等が長期間の追跡調査で心血管死亡の増加と関係していると繰り返してきたように、レニンやアルドステロンは特別な関心を持たれていた。

 国際高血圧学会への会長挨拶中でアルダーマンは健康結果に及ぼす塩摂取量の幅広い影響を述べるためにJ字型応答に触れた。約8 g/dの塩摂取量である幅広い中間範囲では最低の影響であり、極端に低いまたは極端に高い摂取量で観察される害のエビデンスを述べていた。

 アメリカ医学協会誌(JAMA)に発表された最近の研究で、研究者達は、中程度の塩摂取量は最低の心血管疾患危険率と関係しており、一方、8 g/d以下の低塩摂取量は鬱血性心不全についての心血管死亡や入院の危険率増加と関係しており、15 g/d以上の高塩摂取量は脳卒中、心臓発作、そして他の心血管疾患の危険率増加と関係していることを明らかにした。もう一度、J字型曲線は投与量応答関係を述べているように思えた。

 J字型曲線またはU字型曲線は植物や動物の両種で必須栄養素について一般的な投与量応答関係である。フランスの栄養学者ガブリエル・ベルトランドは1912年に数学的に最初の関係を述べた。ベルトランド則として今や知られていることは非常に多くの微量、多量栄養素に適用されている。生理学的な機能に関係した十分な範囲を支持するための栄養素供給が不十分な非常に低い摂取量では、悪い影響を及ぼす高い危険率がある。これは不足範囲と考えられている。悪い影響が急性破局を起こさなければ、生き残れるかもしれないが、潜在的な危険性はある。不足事態が解消される点まで摂取量が増加するにつれて、最少の悪い影響が経験され、ホメオスタシスが確立される。連続的に摂取量が増加することはホメオスタシスの要求量を超えることになり、悪い影響が再び現れる(しかし、必ずしも同じものではない)

 体内のナトリウム貯蔵を述べたデータの量はあるけれども、この段階で生理学的なホメオスタシスを維持することで貯蔵がどんな役割を演じているかを推測することは難しい。したがって、どんなタイプのデータが最適摂取量の指示を我々に与えられるかを我々が決定することが残っている。単に生物学的フィードバックの観点から、塩欠乏がレニン生産の増加を誘発する点は基本的な生物学的指標と考えられなければならない。アルダーマンらの研究を使うと、9 g/d以下の塩摂取量ではどこでも出発点として見なされる。塩摂取量が不十分な時だけにレニンの増加が生じるので、これらのデータは上限値の推定をできない。

 

塩摂取量と寿命

 平均寿命はしばしば人口の全体的な健康状態の尺度と考えられる、(しかし、幾つかの諸国の幼児死亡は混乱因子となる)。世界中の32ヶ国の平均塩摂取量と寿命に関するインターソルト・スタディのデータを比較すると、次のようになる。最長寿命のトップ20%を見ると、そこの塩摂取量は8.2 – 12.1 g/dの範囲で、平均約9 g/dである。塩摂取量と寿命との間には何の因果関係もないと説明されるが、データは寿命と関係している塩摂取量との間に適合性を示している。

 継続的な投与量応答関係を提供していないが、最近のグラウダル論文のデータは8 g/d以上から6 g/d以下への減塩に対する一連の応答を示している。血圧に小さいが有意な低下とともに、糖尿病と心血管疾患についての幾つか他の危険因子に付随した有意な増加もある。再び、継続的な投与量応答関係は説明されないが、8 g/d以下に減塩したとき、その危険性は利益より勝ると思われる。

 NHANES研究と一致して、塩摂取量が高い13 g/dから低い6.3 g/dまで低下するにつれて、論文は心血管死亡の有意な増加を示した。

 最後に、大規模なコホ-トの長期間研究に基づくと、オドンネル論文は7 g/d15 g/dの塩摂取量の間で最低危険率の範囲はJ字型応答曲線を詳しく述べている。

 上述の結果からのデータが編集されると、最少のネガティブな健康結果の影響がある塩摂取量の範囲は約7.6 g/d以上のどこかにあるか、あるいは7 g/dであるかは明らかである。これは、たまたま世界中のほとんどの人々が摂取している範囲でもある。これらのデータは代理の終末点に基づいているのではなく、厳しい結果(死亡)DRIsと言う言葉で“血圧測定の不正確さ”の影響を受けない測定可能なフィードバック応答(レニン、アルドステロン、カテコラミン、コレステロールそしてトリグリセライド)を含む投与量応答に基づいている。

 これらの結果は塩がかなり狭い保健上の範囲で摂取されているという考えを支持している。その範囲は6 g/d11 g/dの塩摂取量としてごく最近近付けられた。

 利用できるエビデンスを考察すると、実際の最高の塩摂取量を決定することは難しい。その理由として、そのような量は我々の現在の摂取量範囲;すなわち、15 g/d以上になることをデータが示唆しているからである。換言すれば、塩に対する我々の味覚応答は自己制御になっているらしい。

 

歴史的な塩消費量

 利用できるデータは、世界中の捕虜と兵士の糧食についての軍隊の公式記録に基づくと、1800年代の初めから第二次世界大戦の終わりまでに西欧社会は1517 g/dの塩摂取量であったことを示唆していることは非常に興味深い。1812年の英米戦争中に、塩の価格が非常に高かったにもかかわらず、塩消費量は15 g/dであった。イギリスのダートムア監獄に投獄されていたアメリカ人の捕虜は、彼等が摂取していた8 g/dの塩は“…自由の地で育った男達にとって乏しくて無味乾燥な食事で、多くの甘い果物を食べていた…”の一部であった、と痛烈に不平を訴えた。アメリカ人捕虜に給餌された糧食に関する機密扱いを解かれた第二次世界大戦記録は17 g/dの摂取量を示している。

 第二次世界大戦後、食品保存の主要な方法として冷凍が塩に置き換わり始めたとき、アメリカ合衆国(と少し遅れて他の諸国)の塩消費量は約半分まで劇的に低下し、24時間尿中ナトリウム排泄量データに基づく9 g/dの塩摂取量は過去50年間一定で推移してきた。その間、高血圧発症率は増加してきているので、塩摂取量と高血圧との間の何らかの関係に疑いがかけられている。

 この突然の低下は政府の食事ガイドライン、公衆衛生機関または減塩主張者からの耳障りな警告からの圧力や影響もなく起こった。大きな低下は味の良い冷凍流通に基づく食品供給にたやすく移動した結果であった。この突然の低下が50年前の摂取量に留まっており、それ以上低下しないことはさらに興味深い。如何なる種類のガイドラインあるいは圧力もなく、世界中の塩摂取量は2世紀以上もの間、8 – 15 g/dの範囲で維持されており、その量はあらゆる利用できるデータから我々にとって最低の危険率を維持しているように思えることは同じように驚くべきことである。ほとんどの他の哺乳類種で一般的で典型的な塩欲求ほど明確ではないかもしれないが、それでも有効なメカニズムを通して作用場所で“身体の知恵”と言う概念を支持する。  

 エビデンスに無頓着で、我々は今や20年間も続いている減塩運動からの結果による特定の現実に直面しなければならない。塩のついての食事参考摂取量は医学研究所によって公表されたので、世界中のほとんどの公衆衛生当局による質問もなく摂取量は直ちに採択された。批判的でない報道機関によって反復拡大されたこの立場は、健康に及ぼす塩の影響について本当に関心があるのではなく、2つの商売上の考慮のために減塩戦略を非常に真剣に考えるために食品産業界に影響を及ぼした。食品産業界は健康に悪い製品の提供者として認識されることを望まなかったので、第一の考慮は社会の圧力に関係していた。減塩製品の処方箋は追加の市場シェアを獲得出来るかもしれない新しい“低塩”商品になる可能性があることが第二の考慮であった。

 減塩イニシアチブは加工食品業界で今や最大の製品開発費であり、減塩戦略を促進させる重要な役割を演ずる-ケミカル・センシーズ研究所はこれらの研究資金の主要な受取人である。化学の進歩は消費者に受け容れられる味覚プロフィールを持った減塩製品を作り出せるかもしれない。これが作り出されれば、減塩食品の供給が社会の健康にどのような影響を与えるかと言う疑問が残る。

 イギリスからの初期の指摘は、加工食品中の塩含有量が低下すれば、食卓塩の販売量は劇的に増加するように思えることを指摘している。残念ながら、この現象は家庭の階段やイギリスの歩道に食卓塩を使う習慣により複雑になっている。それでも、加工食品処方箋中の減塩と食卓塩使用増加との間には確かな関係がなかった。イギリス食品標準局(FSA)の塩摂取量調査の結果は2012年に予定されており、尿中ナトリウム排泄量が実際に低下しているかどうかを決定することは可能であろう。スコットランドからの2011FSA塩摂取量調査は、これはまだ起こっていないし、消費者達は幾つかの手段を通して加工食品中の塩含有量をかなり減らしているように思えることを示している。

 これが実現すれば、考慮すべき問題は、世界中の我々の比較的安定した塩摂取量が我々の塩味に対する貪欲さの結果か、あるいは我々に特別な塩濃度を見つけ出させるようにする生理学的な塩欲求機構の結果であるかどうかである。これは重要な問題である。減塩化学の進歩が我々の味覚を騙せて、他の生理学的機構が作用しなければ、消費者達はアメリカ人の食事ガイドラインが勧めている3 – 5 g/dの塩摂取量以下までも減塩できる。それが実現されれば、血漿レニンとアルドステロンの増加、カテコラミン、コレステロールとトリグリセライドに関連した報告されている集団全体の危険率が問題となり、人々は結果として早死にするかもしれない。

 他方、何らかの形態の塩欲求機構が作用すれば、我々の塩味覚を騙す方向に向けた化学は特に効果的ではない。我々の塩飢餓は感覚刺激に反応する喜び以上の他の何か~の結果であるからだ。これが実現すれば、加工食品中の塩低下は、単に塩摂取量の設定濃度に達し、それにより肥満が流行するようになる可能性がある。(塩欲求機構は現在家畜の仕上げ給餌に応用されており、そこでは塩含有量を調整することにより総給餌量を管理している。塩含有量を減らすことは家畜にもっと食べるように刺激し、一方、塩を増加することは反対の効果を持っている。)

 述べた前の危険とは別に、加工食品処方箋中の減塩は食事の選択に影響を及ぼす可能性がある。濃い緑色野菜やサラダと関係した栄養価の高い植物栄養素は苦く、ドレッシングによりあるいは加工された付随物の中に直接加えた塩で一般的にずっと美味しくできる。地中海地方で食べられている心臓の健康に良い食事はほとんどの西ヨーロッパや北アメリカ諸国の食事中の塩よりも著しく高い。彼等が食べている伝統的な多くの食品はまだ塩で保存されているからである。しかし、サラダや野菜が地中海食の大部分を占め、美味しくするために塩が自由に使われている。(“サラダ”と言う言葉はラテン語のsalから派生しており、塩漬け野菜を言っている。) 減塩食はサラダや野菜の摂取量を特に子供達で減らすかもしれない。多くの学校給食から塩が除かれてきたイギリスでは、生徒達は家に帰るまで野菜を避ける。UKテレグラフに書いたジャーナリストポール・イーシャムは、学校が塩振り出し器を禁じたので、彼の娘は美味しくないので野菜を食べなくなった、と訴えた。

   “子供達が食べるように約束した栄養素の全てはお皿の上に手を触れないまま全て残っている-栄養素、

健康の可能性、お金の完全な廃棄”美味しくないからである…私の娘は学校では‘美味しくない’野菜に

手をつけないが、家では食べる。家では塩を使える-彼女はお皿の上の野菜をきれいに食べる。”

 我々は塩と健康論争で交差点にいるように思える。人口全体の減塩メリットに関する数十年物長く続く袋小路は結論的な研究でのみ解決される-公衆衛生政策の実行を遅らせるのではなく、社会が騙される前に実証することである。消費者達や同様に公衆衛生当局の必要性にも一番役立つ研究は、代替手段ではなく-同意される一連の健康結果について減塩の影響に関する大規模で、長期間のランダム化比較試験である。食品産業界の現在の焦点と減塩努力に関する費用を考えると、

彼等の継続的な減塩努力の重要性を確認するだけであれば、そのような試験を財政的に支援することは利益になる。