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多すぎる塩摂取量は免疫系を弱める

Too Much Salt Weakens the Immune System

By University of Bonn

MedicalXpress   March 25, 2020

 

 高塩食は血圧に悪いだけでなく、免疫系にも悪い。これはボルドー大学病院の指導の下で現在の研究の結論である。高塩食を与えられたネズミは非常な重症の細菌感染を起こすことが分った。余分に6 g/dの塩を摂取したボランティアの人も著しい免疫不全を示した。この量はファーストフード2食分の塩含有量に相当する。その結果はScience Translational Medicine誌に発表された。

 5 g/d、それ以上:これはWHOの推奨値によると、成人が摂取すべき最高の塩量である。それは茶さじ約1杯の量に相当する。しかし、実際には多くのドイツ人がこの制限値を著しく超えている:ロバート・コッホ研究所の図は、平均的な男子は10 g、女子は8 g/d以上を摂取していることを示唆している。

 これは、我々が塩入れに手を伸すことは、我々に取って良いことよりもはるかに多いことを意味している。結局、化学名の塩化ナトリウムは血圧を上昇させ、それによって心臓発作や脳卒中の危険率を増加させる。しかし、それだけでなく:「過剰な塩摂取量も免疫系の腕を著しく弱めることを我々は今初めて証明できた。」とボン大学の実験免疫学研究所のクリスチャン・カーツ博士は説明している。

 幾つかの研究が反対方向を指摘しているのでこの結果は予想外である。例えば、実験動物が高塩食を摂取すれば、幾つかの皮膚寄生虫による感染はかなり速く治った:寄生虫を攻撃し、食べ、消化する免疫細胞のマクロファージは塩の存在で特に活性である。この観察から塩化ナトリウムが一般的に免疫強化効果を持っていることを何人かの医者は結論した。

 

皮膚は塩の貯蔵庫として機能する

 「この一般化は正確でないことを我々の結果は示している。」と研究の筆頭者であるカタルチナ・ジョビンは言っている。彼はその後ビュルツブルグ大学

に転校した。これについては2つの理由がある:第一に、身体は血液中と様々な器官に大体一定の塩濃度を維持する。そうでなければ、重要な生物学的工程は損なわれる。唯一の大きな例外は皮膚である:それは身体の塩貯蔵庫として機能する。これは、塩化ナトリウムの追加的な摂取量が幾つかの皮膚病に非常にうまく機能する理由である。

 しかし、身体の他の部分は食事から摂取された追加的な塩にさらされない。その代わり、塩は腎臓でろ過され尿中に排泄される。そして、これが二番目の機構の出番である。:腎臓は、塩排泄機能を活性化させる塩化ナトリウム・センサーを持っている。しかし、望ましくない副産物として、このセンサーはまたいわゆるグルココルチコイドを体内に蓄積させる。そしてこれらは次には血液中免疫細胞の最も普通のタイプである顆粒球の機能を阻止する。

 マクロファージのように顆粒球は殺菌細胞である。しかし、殺菌細胞は共生者ではなく主に細菌を攻撃する。殺菌細胞が免疫を十分に行わなければ、感染ははるかに深刻に進行する。「我々はリステリア感染したネズミでこれを示すことができる。」とジョビン博士は説明する。「我々は前に何匹かのネズミに高塩食を食べさせた。これらの動物の脾臓と肝臓で、我々は疾患を引き起こす病原体の数を100 – 1000倍数えた。」リステリアは例えば、汚染された食品に含まれている細菌で、発熱、嘔吐、敗血症を引き起こす。尿路感染症も高塩食を与えられた実験ネズミで非常にゆっくりと治癒された。

 塩化ナトリウムはヒトの免疫系にも悪い影響を及ぼすように思える。「我々は毎日の塩摂取量に加えて6 gを与えたボランティアで調べた。」とカーツ教授は言う。「これはファーストフード2食分に含まれている大体の量である。すなわち、ハンバーバー2個とフレンチフライ2食分である。」1週間後、科学者達は被験者の血液を採取し、顆粒球を調べた。被験者が高塩食を食べ始めた後、免疫細胞は細菌に上手く対処しなかった。

 ヒトのボランティアで、過剰な塩摂取量はグルココルチコイド濃度も上昇させる結果であった。これが免疫系を阻止することは驚くことではない:一番よく知られたグルココルチコイド・コルチゾンは炎症を抑えるために伝統的に使われている。「生物全体を調査することによってのみ、塩摂取量からこの免疫不全に至る複雑な制御回路を明らかにすることができた。したがって、我々の研究は純粋に細胞培養を用いた実験の限界も示している。」とカーツは言っている。