1日当たりどれくらい多くのナトリウムを摂取すべきか?
How Much Sodium Should You Have per Day?
By Gavin Van De Walle
Healthline Newsletter 2018.12.05
ナトリウム-しばしば単に塩と言われる-は食べたり飲んだりするほぼ全ての物に入っている。
ナトリウムは多くの食品に自然に入っており、製造工程中に他の物に加えられ、家庭やレストランで調味料として使われる。
しばしばナトリウムは高血圧と関係しており、慢性的に血圧が高ければ、血管や動脈に損傷を引き起こす。そのことは心疾患、脳卒中、心不全そして腎疾患の危険率を増加させる。したがって、幾つかの保健当局はナトリウム摂取量を制限するガイドラインを設定した。しかし、これらのガイドラインは論争されている。低塩食が全ての人々に利益をもたらさないかもしれないからである。本論文はナトリウムの重要性、過剰または過少摂取量の潜在的な危険、そして1日当たりどれくらい多くのナトリウムを摂取すべきかを説明する。
健康に必要
ナトリウムの中傷が続いているにもかかわらず、ナトリウムは良い健康に必要な栄養素である。身体の電解質の一つで、電気的に荷電したイオンを作り出すミネラルである。ほとんどの食事でナトリウムの主な給源は塩化ナトリウムの形をした塩で加えられ、その重量の40%はナトリウムで60%が塩化物である。塩は食品加工や製造で幅広く使われ、加工食品は摂取される全ナトリウムの推定75%を占める。体内のナトリウムのほとんどは血液、細胞を取り囲む体液にあり、そこで体液バランスの維持に役立っている。正常な体液バランスを維持することによって、ナトリウムは正常な神経と筋肉機能にカギとなる役割を果たしている。腎臓は尿中に排泄されるナトリウム量を調節することにより体内ナトリウムの制御をしている。発汗によってもナトリウムは失われる。食事によるナトリウム欠乏は通常の条件下-非常な低ナトリウム食でも-ではほとんど起こらない。
要約
ナトリウムは健康に重要な栄養素である。それは神経と筋肉機能に決定的な役割を果たし、身体を正常な体液バランスに維持するのに役立つ。
高血圧との関係
ナトリウムは血圧を上昇させる-特に高い血圧の人々で-ことは長く知られてきた。ナトリウムと高血圧との関係は1904年にフランスで最初に明らかにされた、とほとんどの専門家達は信じている。しかし、低塩ライス・ダイエットが血圧の高い500人で血圧を下げることを科学者のウォルター・ケンプナーが示したとき、この関係が幅広く認識されるようになったことは1940年代末のことであった。それ以来、過剰な塩摂取量と高血圧との間に強い関係を研究は確立してきた。
この話題に関する最大の研究の一つは都市と農村における前向き疫学調査またはPUREである。5大陸にわたって18ヶ国から100,000人以上の尿中ナトリウム濃度を分析して、多くの塩摂取量の人々は低い摂取量の人々と比べて有意に血圧が高いことを研究者達は明らかにした。同じ集団を使って、17.8 g/d以上を摂取している人々は7.6 – 15.2 g/d摂取量の人々よりも心疾患と早死にの高い危険率にあることを他の科学者達は示した。
しかし、必ずしもすべての人々は同じ様にナトリウムに反応しない。老人やアフリカ系アメリカ人と同じ様に高血圧、糖尿病、慢性腎臓疾患の人々はナトリウムの血圧上昇効果により感受性がある傾向である。塩に対して感受性であれば、減塩を勧める-血圧に関連した心疾患の高い危険率にあるかもしれないからだ。
要約
ナトリウムは血圧を上昇させる。この効果はある集団でより強く、塩に対してより感受性にし、血圧に関連した心疾患になり易くなる。
公式な食事勧告
何十年間も保健当局は血圧を管理するために人々に減塩を促してきた。身体を適正に機能させるためには、わずかに0.5 g/dの塩摂取量でよいと推定された。しかし、必要なエネルギーを取り、他の重要な栄養素の勧告摂取量を取るためには、これでは少な過ぎてほとんど不可能である。したがって、医学研究所(IOM)は、健康な成人に3.8 g/dの塩摂取量を勧めている。同時にIOM, USDAそして保健福祉省は、健康な成人は5.8 g/d以下の塩摂取量に制限するように勧めている。この限界値は5.8 g/d以上の塩摂取量は血圧に悪い影響を及ぼし、心疾患危険率を上昇させると言う臨床研究からのエビデンスに基づいていた。
発汗によるナトリウム損失の増加のために、これらのガイドラインは競技者や熱に晒される労働者達のような高度に活動的な人々には適用されない。他の機関は異なった勧告をしている。WHOは5.1 g/dの塩摂取量を示唆しており、アメリカ心臓協会はずっと低い3.8 g/dをアドバイスしている。今日、アメリカ人は保健当局が勧める-平均約8.6 g/d以上の塩を摂取している。しかし、これらの勧告値には議論がある。正常血圧者は減塩で利益を受けないからである。事実、健康な人々で減塩が心血管危険率を下げることを示唆するエビデンスは限られている。減塩は有害でさえあるかもしれない。
要約
保健当局は心臓保健のために3.8 – 5.8 g/dの塩摂取量を勧めた-アメリカ人が平均して摂取するよりもずっと少ない。
摂取量不足による危険性
勧告値以下に減塩することは有害であるかもしれないことを幾つかのエビデンスは示唆している。6大陸にわたる49ヶ国からの高血圧者と正常血圧者133,000人以上を比較したレビュー研究で、研究者達はどれくらい多くの塩摂取量が心疾患や早死の危険率に影響を及ぼすかを調べた。レビューが示したことは、血圧に関係なく、7.6 g/d以下の塩摂取量の人々は、10.2 – 12.7 g/dの摂取量の人々と比較して心疾患や死亡になり易かった。そのうえ、7.6 g/d以下の摂取量の人々は17.8 g/dを摂取する人々よりも悪い健康結果をもたらした。それでも、17.8 g/d以上の塩摂取量の高血圧者は、10.2 – 12.7 g/dの摂取量の人々よりも心疾患と死亡の危険率が有意に大きいことを研究者達も明らかにした。これらと他の結果は、少なすぎる塩摂取量は高い摂取量よりも人々の健康をより悪くするかもしれないことを示唆している。
要約
高血圧者と正常血圧者の両方で、少なすぎる塩摂取量は多すぎる塩摂取量よりも健康を悪くすることを示してきた。
減塩すべきか?
17.8 g/d以上の塩摂取量である高血圧者は確かに減塩すべきである。低塩治療食の事例のように-医療理由で減塩するように医者または公認の栄養士により指示されておれば、減塩すべきかもしれない。しかし、減塩は健康な人々に大きな差をもたらさないように見える。保健当局は減塩を促進することを続けるが、7.6 g/d以下の減塩のし過ぎは健康に悪い影響を及ぼすかもしれない。7.6 g/d以下の塩摂取量の人々は摂取量10.2 – 12.8 g/dの人々よりも心血管や早死の危険率が大きいことを研究は示している。
この上昇は、現在の塩ガイドライン-3.8 – 5.8 g/dの範囲-は有益よりも有害であるかどうかに関しては、これらの水準が低過ぎるらしいことを示唆するエビデンスが増えている。すなわち、15.2 g/d以上の塩摂取量である49ヶ国からの集団のわずか22%だけに、現在健康な人々が摂取している塩摂取量が多分、安全である。
要約
17.8 g/d以上を摂取し高血圧であれば、減塩は良い考えである。しかし、健康であれば、現在の摂取量が多分安全である。
血圧を制御し、健康を改善する他の方法
保健当局が勧める低塩摂取量を達成することは難しく、健康に一番良いとは言えないかもしれない。血圧を制御し、どれだけ多くの塩摂取量であるかだけに焦点を置かないで健康を改善する実用的で効果的な方法がある。
運動
運動は血圧えお低下させることを含め、無数の健康利益と関係している。エアロビックと耐久性訓練の組合せが理想的であるが、歩くだけでも血圧を下げられる。それをジムでできなければ、少なくとも一日30分の歩行を試みる。この期間は一度に達成するには長すぎ、3回ずつ10分間に分けて行う。
果物・野菜を沢山食べる
ほとんどの人々は十分な果物や野菜を食べない。これらの食品はカリウムやマグネシウムのような重要な栄養素を含んでおり、それらは血圧を下げる。レタス、ビートの根、ホウレンソウ、キバナスズシロのような野菜も硝酸塩の良い給源で、それは一酸化窒素の生産を増加させる。一酸化窒素は血管や動脈を弛緩させ、それらを拡張し、血流を増加させ、結局、血圧を下げる。
カロリー摂取量を減らす
塩摂取量はカロリー摂取量と関係しており、カロリー摂取量が多いほど、塩摂取量が多くなる。ほとんどの人々は毎日の必要量以上にカロリーを摂取するので、単にカロリー摂取量を減らすだけで、あまり考えないで塩摂取量を減らせる一番容易な方法である。カロリー摂取量を減らすことは減量にもなり、同様に血圧を下げられるかもしれない。
飲酒量を抑える
いくつかの他の健康結果に加えて、大量飲酒量は血圧上昇と有意に関係している。男女とも1日当たり1または2杯にアルコール摂取量を制限すべきである。これらの勧告値を超えれば、減らすことを望むかもしれない。1杯のアルコール摂取量と等しいのは:
〇 通常のビール355 ml
〇 麦芽リッカー237 – 266 ml
〇 ワイン148 ml
〇 蒸留酒44 ml
要約
塩摂取量を気にするよりも血圧を下げるより友好で効果的な方法がある。これらには、運動、果物・野菜の摂取量増加、カロリーやアルコールの減少。
要点
ナトリウムは多くの重要な機能のために身体が必要とする必須栄養素である。保健当局は3.8 – 5.8 g/dの塩摂取量を勧めている。しかし、これらのガイドラインは低過ぎることを示唆するエビデンスが増えている。高血圧者は17.8 g/dの摂取量を超えてはいけないが、現在の塩摂取量が安全であるらしい。血圧を心配するなら、運動、食事の最適化、あるいは減量のような、実行できるより効果的な幾つかの他の事がある。