新しい酸化ナトリウムは高度なナトリウム・イオン電池への道を開く
New Sodium Oxide Paves the Way for Advanced Sodium-Ion Batteries
By Skolkovo Institute of Science and Technology 2021.01.20
フランス、アメリカ、スイスそしてオーストラリアからのスコルテックの研究者達と彼等の協力者達は、ナトリウム・イオン電池用の陽極材料として有望な混成酸化物Na(Li1/3Mn2/3)O2を製造でき述べることができた。それはリチウム・イオン電池を1日補完または交換できる。論文はNature Materials誌に発表された。
リチウム・イオン電池は現代の消費者用装置に電力を供給しており、電気自動車輸送に革命を起こしている。しかし、リチウムは相当に希少で環境的な観点から抽出するのは難しいので、研究者や技術者達はかなり長い間、もっと持続的でコスト効果の高い代替品を探してきた。1つの選択肢はナトリウム・イオン技術で、ナトリウムはリチウムよりもずっと豊富にあるからだ。しかし、ナトリウム・イオン電池は高エネルギー密度とサイクル安定性を提供するのにまだ苦労している。したがって、ナトリウムをベースにした陽極の最適設計のための研究が世界中の実験室で行われている。
スコルテック教授とエネルギー科学技術センター長のアルテム・アバクモフそして学生のアナトリー・モロゾフはルーノーが持っている特許化合物Na(Li1/3Mn2/3)O2を研究する国際研究チームの一員であった。この化合物は高エネルギー密度を持ち、複数の充電サイクルで電圧が低下することなく、湿気の安定性もある陽極材料として有望性を示した。
「我々はSkoltechの高度なイメージング・コア装置を使って全ての透過型電子顕微鏡研究を実施した。我々は電子線回折によってNa(Li1/3Mn2/3)O2の結晶構造を調査し、原子分解能走査透過電子顕微鏡技術で直接的に視覚化した。さらに我々は透過型電子顕微鏡によって様々な充電状態でこの材料を調査した。そのことにより電気化学的サイクリング中の結晶構造の進化を追跡することができた。」とモロゾフは言う。
しかし、これらの有望な性質にもかかわらず、Na(Li1/3Mn2/3)O2は充放電中に大きな電圧ヒステリシスを示し、陽極材料のエネルギー効率の低下につながることは商業的実施で障害となる可能性がある。「大きな電圧ヒステリシスの出現は構造内のMnの移動に関連していると我々は仮定する。したがって、将来、陽イオン秩序化のモデルを開発し、この問題を克服するまでにそれを制御するための経路を見つける必要がある。」とアナトリー・モロゾフは述べている。
「チームは我々の高度なイメージング・コア装置(AICF)でTitan Themis Z電子顕微鏡を使った。それは材料の結晶格子中の単一元素を見て、その構造とそれがその材料の性質とどの様に関係しているかを研究できる。しかし、最高級の装置必要であるが、印象的な科学的結果が十分ではない:我々はスタッフの科学者と学生の技術を探しており、彼等の技術の開発に多くの投資をする。AICFの研究アドバイザーであるアバクモフ教授と一緒に、我々のチームとスコルテックの科学者達との緊密な科学的協力が可能となる。複雑な研究プロジェクトの実行あるいは独特の技術の開発が出来るようになれば、これはスコルテックに競争上の優位性を与えることになる。」とスコルテックのAICF所長であるヤロスラバ・シャクホバは言う。
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この研究に参加している他の機関にはCollège de France;のChimie du Solide-Energie;Soorbonne Université;;Renault Technocentre;Réseau sur le Stockage Electrochimique de l’Energie;Université d’Orléans;Université de Pau et des Pays de l’Adour;Lawrence Berkeley National Laboratory; Paul Scherrer Institute;シドニー大学;オーストラリア核科学技術機関のAustralian Centre for Neutron Scattering;シカゴのイリノイ大学;モンペリエ大学がある。
スコルテックはロシアにある私立国際大学である。マサチューセッツ工科大学と共同で2011年に設立されたスコルテックは画期的な分野を研究する科学、技術、ビジネスのリーダーの新しい世代を養成している。ロシアと世界が直面している重要な問題を解決することを目的とした技術革新を推進している。スコルテックは6つの優先分野に焦点を当てている:データ科学と人工知能、生命科学、高度な素材と近代的な設計法、エネルギー効率・フォトニクス・量子の各技術、そして高度な研究である。