塩戦争を再考
Rethinking the War on Salt
欠陥のある科学に基づくガイドラインで塩は悪く中傷してきたと専門家達は言う
By Conan Milner
The Epoch Times 2017.07.28
甘味の次に塩味は多分、我々の好みの味である。それにもかかわらず数十年間、保健専門家達は塩摂取量に警戒するように我々に警告してきた。塩の摂り過ぎは高血圧を引き起こすと言われ、心疾患、腎疾患、脳卒中の一番の危険因子であると言われている。
しかし、“塩の常識:どうして専門家達は塩を全て悪く言い-そしてどれくらい多く食べることが命を救うか”の著者であるジェームス・ディニコラントニオ博士によると、我々の多くは実際に塩に飢えている。ほぼ10年間、カンサス・シティーのセイント・リュークス中央アメリカ心臓研究所の心血管研究科学者であるディニコラントニオは歴史、研究、塩に関する政策、我々の健康に及ぼす塩の影響を厳密に調べてきた。彼の新しい本は近代医学で典型的に進められてきた概念よりも非常に異なった塩の概念を描いている。ディニコラントニオは地域社会の薬剤師としての医療経験で早くから塩欠乏の危険性に気付いていた。患者は彼等の処方箋を手に入れるようになり、めまい、脱水、頻脈を訴えた。それらの全ては血圧を下げる治療であり、したがって、全ての場合に医者達は減塩するようにも言って来た。しかし、彼等の症状は低ナトリウム症の兆候を示唆していたので、ディニコラントニオは患者達の塩摂取量を調べるために彼等を医者達のもとへ帰した。“案の定、医者が塩摂取量を調べたところ、非常に低かった。この時点で、医者は治療を止めたか、投薬を半分に減らし、医者は食べ物に元のように塩を加えるよう患者に言った、”とディニコラントニオは言った。
血圧:赤いニシン?
古代世界では、塩は神聖で貴重な物であった。塩は味気ない食品を味付けし、食品保存に役立ち、医薬としても考えられた。前世紀に塩に対する態度は劇的に変わってきた。特に過去40年間に、医者、保健当局、主要な保健機関は塩を危険物、嗜癖薬物として位置付けた。公益科学センターによると、塩は“我々の食品供給で多分、一番有害な成分である。”
塩は2つの基本的なミネラルであるナトリウムと塩化物から出来ているが、批判されているのはナトリウムである。我々の身体は多くの工程でナトリウムを必要とする:体液バランス、心血管機能、神経刺激の伝達、筋肉収縮である。しかし、塩は血圧も上昇させるので、保健専門家は塩摂取量を必要最小限にするように促す。アメリカの食品医薬品局は5.8 g/d以下の塩摂取量を勧めている。
ほとんどの人々は食事でこの量の2倍を摂取している。しかし、保健専門家は減塩が命と費用を救うと主張する。アメリカ心臓協会によると、全てのアメリカ人が塩摂取量を3.8 g/dまで変化させれば、推定262億ドルの医療費節約となり、次の10年間でほぼ120万人の心血管疾患による死亡を減らせる結果となる。これらの数値は最大の場合であるが、幾分かは合わない。減塩による血圧低下は全く小さい(1 – 5ポイント)ことを多くの研究が示し、人口の一部にしか影響を及ぼさない現象である。減塩は利益よりも実際には害が大きいことを他の研究は示している。
185件のランダム化比較ナトリウム研究のコクラン・レビュー(独立した科学的解析で黄金基準と典型的に考えられている)低塩食介入は正常血圧者で平均1ポイント(高血圧者で5.5ポイント)下げる一方で腎臓ホルモン、ストレス・ホルモン、トリグリセライドをかなり上昇させる。
高塩摂取量の死亡危険率は低塩摂取量のそれより実際にずっと低いとディニコラントニオは言っている。しかし、わずかなナトリウムの血圧低下効果に専門家達は非常に焦点を置いているので、損傷が小さいと減塩が身体に負わせる損傷:脈拍増加、甲状腺機能低下、インシュリン濃度増加、インスリン抵抗性を彼等は無視する。塩欠乏は動脈硬化ホルモン-脳卒中や心臓発作を予防するように設計された薬剤治療が阻止するために使われている同じホルモンを増加させることも示されてきた。“多すぎる塩を摂取している人は非常に少ない。血中の低ナトリウムは入院患者と外来患者の両方で最も一般的な電解質異常であることを我々は知っている、”と彼は言った。低塩食は女性の妊娠機会を減らし、流産、幼児死亡、子癇前症の見込みを増加させるかもしれないことをさらなる研究は明らかにしている。“なんとかして減塩論者はそれらの害を見過ごすように隠して逃げてきた、”とディニコラントニオは言った。
脱水症の危険
保健専門家達は塩の害を示すために簡単な物語を使う。塩を摂り過ぎれば喉が渇き多くの水を飲む。これは血中の塩分を薄めるために身体に特別な水を保持させる。その結果による血液量増加は高血圧を誘引する。しかし、この例証から見落とす重要な詳細は我々のほとんどにとっても同じで、大量の塩を摂取しても、我々の身体はこの塩/体液バランスを効果的に処理できる。しかし、身体の塩分量が少なすぎると、全ての身体は問題を起こす。生存に必要な最少量の塩を摂取することが医学的に確立されて勧められているので、多くの人々は不注意に健康を害するかもしれない、とディニコラントニオは言う。
ナトリウムは我々の細胞内外の水分移動をコントロールすることにより水和を管理するのに役立っている。脱水になれば、血液中のナトリウムは増加する。ナトリウムは細胞から水を引き出し必要としている血液に加えるように働くからである。血液中の高い濃度のナトリウムがほとんど何時も脱水のサインである理由がこれである。運動したときに多くの塩を必要とする理由も同じである。1時間の激しい運動は3.8 gのナトリウム損失を起こす-我々が一日に摂取すべきと専門家達が示唆している量である。火傷、怪我、出血から回復中の人々はもっと多くの塩を必要とするかもしれない。妊娠または授乳、感染症との戦い、炎症性内臓疾患などになっているとき、もっと塩を必要としていることを研究は示している。
食品保存
塩振り出し器からの塩摂取量はわずかに約5%であり-ほとんどは我々が食べている加工食品からである。食品製造者達は、塩が味を良くし、腐敗を防ぐので何時も塩を重宝している。冷凍技術がないまでは、塩は主要な食品保存剤であった。塩が健康に悪い病原菌から守り、健康に良い細菌を増殖させるからであった。チーズ、漬物、ザワークラウト-研究者達が言っている全ての酪農醗酵食品は微生物叢にとって有益である。
我々の祖先はもっと多くの醗酵食品を食べたので、彼等はもっと多くの塩を食べた。古代ローマでは、ほぼどの大きな都市も塩のある近くに建設されたので、平均的なローマ人は今日我々が食べている塩の約3倍を食べた。17世紀のスェーデンでは、平均塩摂取量は今日よりも10倍以上であり、全て塩鱈からであった。
今日、保健機関は政府、レストラン、食品製造者に加工食品中の塩分を下げるように圧力をかけているが、このアドバイスは予期せぬ結果をもたらすかもしれない。減塩は細菌の繁殖を実際に促し、食中毒の危険性を増加させる。そして塩は最も自然で最高に長くテストされた食品保存剤であるので、どの化学性代替物もずっと有害でありそうだ。塩は苦味を抑えるので、食品を甘く感じさせる。したがって、食品製造者は低塩食品の味を良くするために低塩食品により多くの砂糖(または風味強化薬剤)を必然的に加えなければならない。我々のナトリウム必要量を満たすために低塩食は我々にもっと多く食べさせるようにもなるかもしれない。ほとんどの人々は一般的に8 - 10 g/dの塩を要求する、とディニコラントニオは言う、したがって、低塩食品を食べることは我々の身体の必要量を満たすためにもっと多く食べるように促すかもしれない。“我々は精製された炭水化物を食べ過ぎ、砂糖を食べ過ぎており、そのことが明らかに糖尿病や肥満に向かわせる、”と彼は言った。
砂糖のフリーパス
保健当局は塩摂取量を制限するために何十年間も推し進めてきたが、砂糖に言及することは極端に遅かった。それは奇妙である。我々の健康を改善することが目標であるとすれば、砂糖にはさらに多くの問題があるからである。一つ述べると、塩を十分に摂取しなければ、健康に悩むが、砂糖を加えることを止めれば、多分、そのことは健康を改善する。体重管理をするときには、砂糖からのカロリーは特に有害である。これは大きな問題である。砂糖摂取量増加はインスリン抵抗と他の種類のカロリーよりも脂肪蓄積を一層促進するからである。
数十年間、塩が非難-高血圧、腎臓疾患、心不全-されてきたのと正に同じ現象で研究は砂糖にも影響を与えてきたが、その詳細はごく最近明らかにされ始めてきた。1950年代に砂糖が冠状動脈疾患をもたらす兆候を研究者達は既に知っていたと、JAMAの2016年11月号で報告している。しかし、それに続く数十年間で、砂糖業界は疾患の原因として脂肪蓄積を助長させることで砂糖の害に関して上手く疑問を投げかけているハーバード研究計画を支援した。
塩も同じ様な流儀でたまたま悪者にされてきた、とディニコラントニオは言う。“保健機関が砂糖業界によって資金提供を受ければ、保健機関はどちらの白い結晶に帽子をかぶせようとすると思うか?”と彼は尋ねた。“塩に置かれてきた害の全ては砂糖の足下にもあり、人々はそのことを認識し始めている。”
我々の塩についての味覚はかなり一定のままであるが、砂糖についての味覚は他の嗜癖物のようにエスカレートしていく。これは過去においては問題ではなかった。甘味源(主に果物)が手に入りにくく、水、繊維、植物性栄養素と一緒に便利に包装された。今日、精製糖の大量生産で、祖先が食べていた砂糖の約30倍も食べている。全てこれらの砂糖は近代の慢性疾患流行の中心であることを示す研究が増えている。
反対の意見
減塩に関する裁断は確固たる科学であることを医学主流派は示唆しているけれども、塩摂取量と血圧上昇との相関関係は1世紀以上も前に最初に提案されたので、医者や研究者達は低塩食勧告に対してレールを引いてきた。アメリカの食事ガイドラインで減塩勧告の正当性を疑問視する2015年のワシントン・ポスト論文で、アラバマ-バーミンガム大学の医学部教授でアメリカ心臓協会前会長のスザンヌ・オパリルは、減塩忠告は“ほとんど何もないことに基づいて”いると言った。“ある人々は塩に関するこの信仰システムにしがみつきたいと本当に思っている。しかし、彼等はエビデンスを無視している、”とオパリルは言った。
ランセットの2016年7月30日版で発表された49ヶ国からの13万人以上を含む塩研究の解析は高血圧者または正常血圧者で低塩摂取量と“心血管疾患と死亡の危険率増加”との関係を明らかにした。低塩食は血圧にわずかな影響しか及ぼさないことが分ったので、減塩は誰にでも適用する一律の減塩としてではなく、“高塩分摂取量の高血圧者集団を目標にするのが一番であった”と研究著者らは結論を下した。
プレス・リリースで、オンタリオ州マックマスタ―大学の担当研究者で教授のアンドリュー・メンテは、わずかな血圧低下に加え、減塩は“何らかの利益に優るかもしれない”幾つかのホルモンも逆に上昇させると言った。“鍵となる疑問は、非常に低い塩摂取量で血圧が下がるかどうかではない。その代わり、低い塩摂取量が健康を改善するかどうかである、”とメンテは言った。
しかし、これらの反対の意見は近い将来に公式の政策を変えることになりそうにない。AHAウェブサイトによると:“減塩の背景にある科学は明らかである。確かなエビデンスは過剰な塩摂取量と高血圧を関係させてきており、高血圧は心臓発作、脳卒中、心不全の危険率を増加させる。”説得力があるように聞こえるが、減塩勧告のエビデンスはまだまだ証明されていない、とディニコラントニオは言う。“人々は同じ食事を与えられたが、勧告値を証明するために塩摂取量だけが変えている研究は一つもなかった。我々は確実性を持って言える、”と彼は言った。
健康に良い塩の選択
食卓塩はナトリウムと塩化物を提供するが、それと一緒に健康に良くない副産物もある。近代的な塩は白く輝かせるために漂白され、少量の砂糖を加え、塩振り出し器から流れ出やすいように固結防止剤も含んでいる。ケルト海塩、ヒマラヤのピンクソルト、ハワイの黒い塩、その他熟練工の塩がより自然の製品を消費者に提供するために近年、市場に出てきた。しかし、これらのより高価で未精製の塩の幾つかの物でも放射性元素、海洋汚染物、マイクロプラスチックのような不必要な付加物も含んでいるかもしれない。これらの好ましい塩の幾つかはヨードもなく、食事でも摂取できない他の必須ミネラルもない。
汚染を最少にするために、ディニコラントニオは近年の海洋からよりもむしろ古代の海水が干上がった所から収穫された塩を選ぶようにアドバイスしている。彼の一番の選択はレッドモンド・リアル・ソルトである。それはユタ州の古代湖から収穫され、市場にある多くの未精製の海塩よりもずっと安く、汚染物が少なく、ヨードやカルシウムをほどよく含んでいる。