大いなる塩論争:減塩が本当に命を救うか?
The Great Salt Debate: Does Consuming Less Really Save Lives?
The Conversation 2016.03.02
何年間も公衆保健当局は塩の摂り過ぎは健康に悪いと言ってきた。他の人達はこの主張についてのエビデンスに疑問を持ってきた。塩周知週間であるので、この話題について二人の専門家に尋ねる良い機会である。
減塩についての事例
フランセスコ・カプチーオ:減塩は血圧、脳卒中、他の血管に関連した疾患を下げるので、世界中で年間125万人の若死にを避ける。これは全ての年齢の男女、人種グループ、収入で有効である。国連と世界保健機関は5大陸からの専門家パネルで全てのエビデンスを徹底的にレビューした。彼等は、中程度の減塩(5 g/d)の集団計画は可能で、効果的で、強力で、素早く公平であると結論を下した。
しかし、公衆保健行動におけるこの重要な転換は、高い集団の塩摂取量を維持することに関心を持った機関や人々からの頑強な意見なしには生じなかった。この否定戦略の鍵となる要素は誤報(偽の論争と共に)や不確実性を生み出し不活動を支持する貧弱な科学の使用を含んでいる。分極化された立場は、中程度(5 g/d)に集団の平均塩摂取量を減らすことが正当化されるかどうか、そして減塩が有害となるかどうかに関して集中している。
世界の保健機関の知識は、低塩摂取量が若死にと関係しているかもしれないことを示しているように思える幾つかの研究の偏向に挑戦している。これらの研究には欠陥がある。塩摂取量の調査に間違いがあるからだ。それらの研究は偏向を生み出す人々の塩摂取量を決定する方法を使っている。例えば、逆相関(低塩摂取量グループの高い死亡率は数多くの薬剤治療を行っている病人を含めているため)、残りの混乱因子(結果を説明する他の要因)、しばしば不十分な統計力(研究サイズが小さ過ぎる)である。これらの間違いを犯すことを避けた研究は有害性を見出せなかった。
これらの科学的不十分性にもかかわらず、幾つかの研究はそれらを無視し続けて、彼等の調査方法を修正することを拒否している。むしろ彼等は世界の保健機関による真偽の疑わしい陰謀、または公衆保健行動に賛成する小さな主張者グループの組織的な運動を主張している。しかし、彼等はこれらの考察を説明するための信頼できる動機を提供していない。反対に食品業界は調査を偏向させるための陰謀については知っていた。同時に上手くでっち上げた理論で塩から注意をそらすために悪辣な意見を持つリーダー達を起用している。
反対者も“効果のないエビデンス”の考えで“効果のあるエビデンスがない”と言う考えも混乱させる。中程度の減塩が心血管結果を減らすことを示すランダム化比較試験を懐疑論者は要求している。心血管疾患予防に推奨されるほとんどの戦略について通常の基準であると懐疑論者は主張している。しかし、彼等は間違っている。肥満を減らす、運動量を増やす、糖尿病を予防する、大気汚染を減らす、あるいはアスベストにさらされることを禁ずると言った政策を支えるために心血管疾患に関するランダム化比較試験はない。科学は常に不完全である。公衆保健政策は一番利用できるエビデンスの評価に基づいて公衆保健政策はほとんど常に実行されてきた。
結局、“ガイドライン委員会は自主的な方法論学者(事項別の方法論ではなく一般的な方法論の専門家)だけを含めるべきである”と言う示唆は興味をそそる。この原理に従うと、貧弱な科学は後に前言を取り消す欠陥のある研究を使って作り出された。公式な取り消しにもかかわらず、この欠陥のあるエビデンスは有害性の主張を支持するためにまだ引用されている。
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反対の事例
セウ・マテウス:世界中とイギリスの若死にと疾病の主因は心臓発作や脳卒中を含む心血管疾患である。高血圧は心血管疾患の危険因子であると言うエビデンスがあるので、塩摂取量と血圧とのポジティブな関係は心血管疾患と若死にを減らすために集団レベルの減塩を主張するために使われる。
減塩に関する科学文献の対立を明らかにしたトリンコートらによる最近の論文は、しばしば科学は確実な事実に基づかなくて、有意に反響しあう意見のこだまであることを示している。減塩があなたを救うと言う主張を支持するために行われた研究の弱さと欠陥を理解するためにその論文は役立つ。
1978年から2014年までに僅かに68研究だけが行われたが、ランダム化比較試験は非常に少なく、全体のわずか27%であった。それらの68研究の中で、50%は、減塩があなたを救わないと言っており、10%は結論を下していない。同じ期間に行われた14件の総合的なレビューの中で、43%が結論を出していなくて21%は減塩があなたを救うと言う事実を否定している。
それでも研究は、短期間に血圧を下げるというポジティブな結果をもたらすことを示した。これは正常血圧者についてよりも高血圧者についてより大きかった。しかし、前向きのコホート研究は心血管疾患と低塩摂取量対中程度塩摂取量についての比較的高い危険率を示している。
血友病や嚢胞性繊維症のような状態の引金を引き、当面、その状態を変えようとしても何もできない不変の遺伝特性を持って我々は生まれている。しかし、不健康な習慣と生活様式に関連した多くの疾患がある。したがって、我々が習性を変えれば、我々はより健康になり長く生きられると言われた。どの習慣がそれらに当たるか?喫煙、飲酒、食事(食べ過ぎ、砂糖の摂り過ぎ、塩の摂り過ぎ、脂肪の摂り過ぎ)と不活動。
喫煙、飲酒、平均余命における不活動との関係は十分に確立されており、-前述の一つを実行すれば、寿命を伸ばせられる-一方、肥満と平均余命との関係は特に老人ではそれほど十分には確立されていない。
しかし、食事習慣は食糧の入手し易さと手頃な価格に厳しく依存している。食糧が十分にあれば、健康的に食べることは容易である。食事を変えるための負担は低収入所帯で生活している人々では一層厳しい。
塩摂取量に関して、鍵は非常に低い塩摂取量よりもむしろ中程度の塩摂取量にあるように思える。事実、低塩摂取量は幾つかの危険因子、例えば、血中脂質、インシュリン抵抗に悪い影響を及ぼすかもしれず、したがって、潜在的に心疾患や脳卒中の危険率を増加させる。正常血圧者については、減塩は心血管疾患を減らすと言う確たるエビデンスはないが、異常な高血圧者についてはある種の有益なエビデンスがある。
観察研究では、“普通に食べている”人々によると、心疾患や死亡に関する結果はあまり塩を食べない人々についてより良いように見える。しかし、食事中の塩により関心を持っている人々はより新鮮な食品を食べ、脂肪やあまり精製されない砂糖を食べ、もっと運動をし、喫煙を少なくしていることを注目すべきである。そうすると総合的な結果は塩摂取量だけではなく、健康な生活様式によって影響を受けている。
心疾患や死亡は社会的な健康の決定因子、例えば、幼年時代の発育、教育と収入との複雑な相互作用の限界にある。一般的に、集団は健康的な食事から利益を得ているが、第一に、人々は食卓に健康的な食べ物を並べるためにお金を持たなければならない。政府と当局は集団の肩に決定するための重点を置いており、人々に“より良く健康的に食べることを知るべき”と人々に話しているが、これは問題の非常に単純化された考え方である。