塩大論争:専門家達は減塩の心臓保護効果の後ろに立つ
The Great Salt Debate – Experts Stand behind
Salt Restriction’s Cardioprotective Effects
By Juliann Schaeffer
Today’s Dietitian October 2011
“お塩を回してくれませんか?”は毎日、朝食、昼食、夕食の食卓で聞く、通常の質問である。ここで少し塩を振り掛けて、食べる前に料理を丁度味良くするために余分に振り掛ける。加工食品やレストランの料理を食べることに加えて規則的に我々は塩を加える。塩摂取量のほとんどはこれから来ると専門家達は言う。しかし、我々が摂取している塩の全てが我々の長期間心血管の健康に本当に害を及ぼすのだろうか?あるいは、我々が聞いてきたことは少し誇張されているのだろうか?
最近、コクラン・データベースの総合的レビューの7月号報告書と同時に発表されているアメリカ高血圧学会誌の報告書を巡ってメディアの炎上が勃発した。それは減塩勧告についての基本に疑問を投げかけているように思える。研究者達は6,500人の参加者からなるデータを見て、減塩の心臓保護利益は現在のエビデンスに基づいて証明されなかったと彼等は結論を下した。
この議論のあるメタアナリシスが電波で放送されて間もなく、二人のイギリスの予防医学専門家がこれらの主張に素早く反論した。彼等は同じデータを再解析し、ランセットの7月30日号のコメントで結論を下した。“テイラーと同僚達による主張に反して、我々の再解析結果は全人口に減塩させる現在の公衆保健勧告を支持している。”
Today’s DietitianがインタビューしたRDsと同様に医学界の多くはイギリス研究者達の調査に同意している。
“塩は体を適正に機能させるために必要な生命維持に必要な栄養素である、”とJanet Bond Brillは書いた。少量でも必須であるが、塩を摂取し過ぎることは多くのアメリカ人に高血圧を引き起こす。不幸にしてあまりにも一般的な病気で、心疾患の主な危険因子である。
高血圧はアメリカ合衆国で特別に一般的であり、成人人口の約1/3に影響を及ぼすとBrillは言う。“高血圧は心血管疾患と腎臓疾患についての強力で明確な独立危険因子であり、疾患には冠状心疾患、脳卒中、腎不全が含まれる。過去数十年間にわたって高血圧の理解と治療に大きな進歩があったにもかかわらず、疾患は今でもアメリカ合衆国では最も一般的で主要な診断であり、主要な公衆保健の心配事である、”と彼女は付け加える。
WHOの推定によると、高血圧は世界中で年間500万人の早死を引き起こしている。そしてWHOの地域を横断して、Brillによると脳卒中の約60%、心臓発作の49%が高血圧に起因していることを研究は示している。
それは栄養士や医師が良く知っている問題である。またよく知られていることは、患者に高血圧や心疾患を治療し、予防するのに役立つポピュラーな生活様式の処方箋は減塩である。
“反駁できない科学的エビデンスは、減塩と同時にカリウム摂取量増加は血圧を下げると言う事実を支持している。多くのランダム化比較臨床試験は集合的に正常血圧者と高血圧者の両方で血圧管理について減塩の利益を示してきた、”とBrillは言う。130/85以上の血圧を人々は120/80以下の血圧の人々よりも心臓発作を経験する危険率が1.5 – 2.5倍大きいと彼女は言う。
それで何が本当の話?そのような矛盾のある報告書は混乱の元で、特に、依頼者が夜のニュースで話半分しか得られなかった時である。患者が疑問を持った時、直ぐに塩振出器を取って塩の質問にどう答えるかを知る必要がある。次の論文で、栄養専門家達は塩、高血圧、心血管疾患(CVD)危険率との関係に関する歴史的なエビデンスを評価し、あなたの顧客の難しい質問に答えるために使えるいくつかの戦略を提供する。
専門家達の応対
恐らく消費者の困惑に対して、多くの栄養士と医者は論争のあるコクラン・レビューの結果に対して次のような結論に圧倒的に賛同し、何時でも直ぐに自分達の塩勧告値を変える計画はないと言っている。
“明らかにこれらの結果は残された分野ではるかに外れており、数十年にわたって集められてきた圧倒的な量の強い科学的エビデンスを反映していない。減塩は血圧を下げ、それによって我々の国民の主要な死因である心血管疾患の危険率を下げると事実を科学的エビデンスは支持している、”とコクラン・レポートのBrillは言っている。
彼女は「二次心臓発作を予防」で彼女の立場を支えるためにエビデンスの一つに言及している。“境界域高血圧患者グループに関してBMJの2007年4月号に発表された最近の研究は、減塩は心疾患を発症させる危険率を25%下げ、疾患による死亡の危険率を20%上げることを明らかにした。塩は血管壁に直接的に作用し、血管を硬化させ、アテローム性動脈硬化症になり易くさせることを明らかにした。”
ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシンの2010年2月号に発表された別の研究は、全ての人が塩摂取量を毎日茶さじ半分の減塩をすれば、毎年心臓発作を100,000件ほど減らし、CVDによる死亡数を年間92,000人まで低下させるであろうと結論を下した。Brillは彼女の減塩知識の中でエビデンスの別の一端について言っている。
そのような結果に照らして、Brillはアメリカ心臓協会に賛同していると言っている。その協会は全てのアメリカ人は3.8 g/d以下の塩摂取量に減塩することを目標にしている。
栄養研究科学者James J. Kenneyは、著者らが使わなければならなかったデータの限られた品質を考えると、研究の矛盾した結果に驚かないと言っている。“長期間にわたって人々の塩摂取量の正確な測定値を得ることが如何に難しいか、そして人々が本当に減塩することが如何に難しいかを考えると、減塩食がCVDと全死亡数を減らすことを見出すためのコクラン・レビューが失敗したことは驚くことではない、”と彼は説明している。
著者らの結論がCVDや全死亡数に及ぼす長期間減塩の影響に関するより良いデータの必要性を実際に反映していると彼は言う。“昨年発表(アメリカ臨床栄養学会誌3月号)された同様のレビュー論文も飽和脂肪酸摂取量とCVD疾患の関係を明らかにできなかったことを忘れないで。それにもかかわらず、比較臨床試験でLDLコレステロールと血圧のそれぞれに及ぼす飽和脂肪酸と塩の良く知られた影響がある、” と彼は言う。“これらのデータが示していることは、これらのパラメーターを正確に測定できなかった研究では関係を見出せないことである。”
Kenneyは、矛盾した科学的データは非常によくあることだと述べ、現在の勧告値を調査と再調査することが消費者の一番の関心である。“したがって、ある種の論争は科学的調査の自然な部分である、”と彼は言う。
クリーブランド・クリニックの健康指導部長でアメリカ栄養士協会(ADA)の代表者であるAmy Jamieson-Petonicは同意し、そして栄養と疾患との関係は正確な科学ではないように、研究の世界では明快な結論を期待すべきでないと言っている。“我々が真実であると知っていることは、良い栄養と健康との有意な関係に向けての傾向を公式化するには多くの研究試験を完成させる必要がある、”と彼女は言う。これは塩摂取量と高血圧に関して行われた臨床研究に異議を唱える傾向のある1研究である。塩と高血圧の役割に関して何年間も長さで見ていくことは重要である。
“ADA国家メディア代表者と同様にクリーブランド・クリニックに登録されている栄養士のように、私は患者に減塩を勧め続ける。これを支持する研究は非常に多くある、”と彼女は付け加えている。
Kenneyは、塩の販売側も最近の研究結果の一部に役割を演じていることを疑っていない。“研究がお金を稼ぐ会社の能力に関してネガティブな関係を出した時、現在のガイドラインを受け入れられないように見える研究者達の研究に財政支援したいと望む会社に期待する。食品中の塩を減らす公衆保健努力として今起きていることは世界中で増加しているのはある程度明らかである。驚くことではないが、食品産業の多くは食品に加える塩を減らす努力に抵抗している。塩は安い成分で、人々が購入したいと思う食品を上手く作るために長い間使われてきたからだ。”とKenneyは言う。
中部テネシー州立大学の教師であるGinny Bogleは最初にコクラン・レビューを聞いた時、彼女は困惑した。しかし、完全なレビューを読んだ後で、社会と出版社の誤解に寄与している著者の表現を彼女は信じている。
“‘減塩には明確な利益がない…’と言う言葉を含む易しい言葉の要旨は平均的な人々を誤解させていると私は思う。つまり易しい言葉の要旨は出版社や食品業界が取り上げてきた考えを落胆させてしまったからである、”と彼女は言う。
さらに調べていくと、コクラン・レビューは次の結果と矛盾したことを実際に言っているように思えると彼女は言う。
“我々の結果は、減塩が正常血圧者でも高血圧者でも有益であると言う確信と一致している。しかし、我々のレビューと他の総合的なレビューに含まれる試験で減塩を達成する方法は、ナトリウム排泄量と一般的に実行に著しい努力を要する血圧値に及ぼす影響で比較的穏やかであり、CVDの負荷に大きな影響を及ぼすとは期待されない。臨床と公衆保健実行についての挑戦は実行可能で経費の掛からない減塩のためにより効果的な介入を見出すことである。”
“減塩がCVDに統計的に有意な影響を及ぼさないことを引き起こす減塩法(すなわち、食事介入、行動変化介入、介入の必要性に関してクライアントはどのように教育されるか)であると研究者達が感じることを意味し、易しい言葉の声明が述べたことではないと私は解釈した。”他の理由としてこれではなく、専門家達はクライアントに最高のメッセージを配信するために熱心に研究すべきである。
テキサス大学ヒューストン公衆保健校の保健科学センターの疫学准教授のAlanna MorrisonはCVDにおける塩の役割を明らかにする研究を行い、Annual Review of Public Healthの4月号に発表した。それは減塩の心臓保護利益を彼女が支持する根拠となる。
臨床試験データは限られている(被験者の数が十分ではなく、追跡調査期間も十分でない)ことはないが、減塩は心血管に利益があると観察研究は結論を下しているとMorrisonは言う。“栄養士は観察研究とアメリカ人の食事ガイドラインからの強いエビデンスに気を留めるべきであると私は思う。”
多くのアメリカ人には現実的ではないが3.8 g/d以下の目標値はなお努力すべきであるとMorrisonは信じている。“ほとんどのアメリカ人はこれを達成できないが、少なくともよく知って正しい方向(すなわち、減塩)に向かわせる,”と彼女は言う。
クライアントに答える方法
これらの専門家達の調査は明らかである:前述したコクラン・レビューからの結論はもちろん一つの研究の結論は塩摂取量勧告値を変更するに十分な理由がない。しかし、クライアントが塩摂取量は問題ではないと主張する新しい物語を引用すれば、彼等に減塩を説明する一番良い方法は何であろうか?
● 事実に執着せよ。“塩摂取量と高血圧とを結び付けるエビデンスは圧倒的であると私は
彼等に説明する、”とKenneyは言う。消費者はあなたの立場を支持していると言う国の機関、例えば、アメリカ心臓協会、疾病予防管理センター、新しいアメリカ人の食事ガイドラインを引用できることを彼は付け加えた。それらの機関はエビデンスをレビューし、ほとんどの中年と老齢のアメリカ人は理想的には3.8 g/d以下の塩摂取量(訳者注:2013年の医学研究所の報告書により有害であるとされ、2015年版では削除された)にすべきであると結論を下した。(2010年のアメリカ人の食事ガイドラインは健常なアメリカ人についての上限として5.8 g/dを記載している。)
“これらの最近の異常な研究を視野に入れた機関からの代表者から公表されているコメントの何某かをクライアントと多分共有しなさい、”と彼は説明している。
Kenneyはメディアの誇大宣伝で健康を害しないようにもクライアントにアドバイスする。“そのような誇大宣伝に惑わされて、それに基づいて食事を変更するようなことはしないように。そのような異常な結果を出した事例研究の大多数は不完全であると証明されている、”と彼は言う。
● 研究の欠陥を公開せよ。あなたの勧告が基づいているエビデンスをクライアントに提供
する。Morrisonは言う。“本報告は限られたデータに基づいた報告で、本レビューの著者らも結論の限界を承知していることをクライアントに確信させる。減塩は健康にかなり有益であると言う観察研究からの実質的な長年のエビデンスをクライアントに提供せよ、”とMorrisonは付け加える。
● 大きな概念を考えよ。Bogleは他のRDsに“自分のために全体像を得るようにアドバ
イスする。簡略化された易しい言葉の声明で行ってはいけない。”そして保健勧告の背後にいる人々が誰かを忘れてはいけない。“研究をレビューしたあなたに従うと、あなたのクライアントはこれらの変化を行っている現実的で、平均的な人々であることを忘れないように。彼等は多くの異なった視点から統計を解析していない;したがって、血圧のわずかな低下(統計的に有意でないかもしれない)も有益であろう、”と彼女は言う。
消費者でも研究に疑問を持つようにアドバイスされるべきである、とBogleは付け加える。Jamieson-Petonicは同意し、RDsに自分達のためにデータをレビューすることをアドバイスしている。“一見すると、塩摂取量は高血圧や死亡率に関係ないように見えるかもしれない、”と彼女は言う。
● 探偵になれ。RDの役割の一部はクライアントのために科学的論争で明らかになってき
たことを分類することだ、とJamieson-Petonicは言う。“[RDになることは]探偵になることと少し似ている。栄養学は始終変化する科学であり、作り話から事実を選び出さなければならない。私は常に先ず科学を探し、後で誇大広告を探す。私は常にデータの幅を見るのが私流である、”と彼女は言う。
始終変化する研究を認識させるようにクライアントを奨励することも有用である。“このような情報を聞いた時、軽く踏みつぶす。目に見えるよりも物語の方が通常多く、彼等が気付かないかもしれないこのような物語について付加的な要因や正当性があるかもしれない、”と彼女は患者に語る。
疑いがあるときには、Jamieson-Petonicはクライアントに次のように言う、栄養の混乱を解消するために“常に、常にRDを探せ。”
より広い視野
クライアントと減塩を語るときには、専門家達はRDsに幅広い意見(塩摂取量ガイドラインに焦点を置かないで)を心に持つようにとアドバイスする。塩摂取量勧告が食事中の塩含有量を減らそうと試みるクライアントにアドバイスするとすれば、加工食品を減らすことが夕食の食卓にある塩振出器を取り除くよりももっと役に立つ、とKenneyは言う。
“[適正な減塩に]成功するには、加工食品を減らし、高い塩含有量の加工食品を避けるために表示を読みながらもっと自然な食品を食べることの両方をしなければならない。”と彼は言う。
さらに、クライアントがレストランで外食する週当たりの日数や多くの塩を含む別の悪い物を制限することは、低塩食品を選ぼうとするよりも容易である。レストランの世界では多くの塩が多くの分からない所に隠れている、とKenneyは言う。“今日、ほとんどのレストランで塩を[避けることは]1970年代の昔に返ってレストランで受動喫煙を避けようと試みるようなものである。今日のレストランで‘受動’塩問題を解決することは、今は非常に難しいが、あなたの意見は非常に制限されている”
食品表示を読むことは有用であるとBogleは言う。新鮮な果物や野菜と脂肪の少ないタンパク源と一緒に家庭でもっと食事を用意することは塩を制限することであなたのクライアントの最高の策である。彼女が人々にレストランで食べたり、包装食品を食べることを完全に止めるように要請することは現実的ではないが、“我々(RDs)はレストランで食べる食品の量を中程度にすることをクライアントに教えることができ、これらの食品の少量を食べるようにクライアントを励ます。塩含有量の低い製品を選ぶために食品表示を適正に読んで包装食品をあまり食べないようにする。”
調理が鍵
全く異なった角度から見ると、Field to Plateの設立者であるAmanda Archibaldは、塩摂取量問題の中心は調理である。事実、料理のできない消費者は減塩を成功させる技術を持っていないと彼女は言う。“より大きな絵はより多くの料理をでき、食事全体をより広く管理できる。そして料理をする非常に多くの人が非常に塩辛い食事から始められない。彼等は食事を考えることから始め、最後に塩を加える。どのように調理すればよいかを知らなければ、そして外食または包装食品を買わなければならなければ、塩摂取量の管理をできない。したがって、料理の問題だと私が言っている理由だ、”と彼女は説明する。
“私はアメリカの最前線で教えており、…私が一緒に仕事をしている人々は、我々が成功できる唯一の方法は人々に新鮮な食品を持ってきて、ドアから入って来る物を管理できるようにするための技術を彼等に与えられることを知っている、”と彼女は付け加える。“我々が包装食品または外食を避けられる唯一の方法が今述べたことである。塩は食品保存剤であるので、それらの食品には塩が入っているからだ。”
塩摂取量ガイドラインに焦点を置く代わりに、彼女はクライアントのために調理による解決に焦点を置くようにRDsに望んでいる。“あなたが調理スタッフに話して現場で解決しようとするときは、それは非常に難しい。しかし、現場で解決するようにクライアントを扱うのであれば、3.8 g/dの塩を摂取する必要があることを言うのであれば、あなたが既に良いシェフでなく、彼等の味覚に基づいて人々に示せなければ、彼等が望んでいる美味しさを作り出すためにハーブやスパイスの使い方の文化を持っていなければ、あなたは大失敗するように運命付けられている。”
基本的な調理技術を教えることに焦点を置き、カリウムの多い新鮮な野菜を食べ、クライアントは最新のガイドラインを記憶するよりも一層減塩するようにArchibaldは言う。そのことが意味のある減塩への道である。塩の毒性と高血圧に関する科学文献の綿密なレヴィにはwww.foodandhealth.com.のKenney’s CPEコースを見て下さい。