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自己免疫疾患に関連する塩

Salt Linked to Autoimmune Diseases

By Katherine Harmon

Nature 2013.03.06

ナノワイヤは、塩化ナトリウムが有害なT細胞の成長を引き起こす可能性があることを示している。

 

 多発性硬化症や1型糖尿病のような自己免疫疾患の発症は最近の数十年間に先進諸国で急上昇してきた。ネイチャーで今日発表され3件の研究で、研究者達は、自己免疫疾患に至る分子経路を述べ、我々の鼻の下で、そして我々の食卓の上でこれまでずっと可能性のある犯人の1つを明らかにしている:塩である。

 健康を維持するためには、人体は綿密なバランスに依存している:免疫機能が弱すぎると感染し、強すぎると免疫系は健康な組織を攻撃し始め、自己免疫として知られる状態である。自己免疫の幾つかの形態は、インターロイキン-17と呼ばれる炎症性タンパク質を産生するヘルパーT細胞の一種であるTH17細胞の過剰生産と関連している。

 しかし、身体にTH17細胞を過剰生産させるように引き起こす分子スイッチを発見することは難しい。ある程度、実験室で生得の免疫細胞を活性化させる従来の方法が細胞を傷つけ、あるいは免疫細胞の発達過程を変えるからである。そこで研究者達が細胞中の単一遺伝子を外すためにシリコン・ナノワイヤの使用についてマサチューセッツ州ケンブリッジのハーバード大学物理学者のHongkun Parkによる話しを聞いたとき、彼等は直ぐに彼に接触し、マサチューセッツ技術研究所(ケンブリッジにある)の生物学者Aviv Regev2つの研究の共著者を思い出す。細胞機能に影響を及ぼさないで免疫細胞中の遺伝子を操作するためにこれらのナノワイヤを使えることをParkは昨年示した。最初のネイチャー研究のために、TH17細胞がどのように制御されるかと言う機能モデルと結合させるためにParkの技術をRegevと彼女の同僚達は使った、と彼女は言う。彼等は“そうでなければ、暗闇の中で推測している”だけであった、と彼女は言う。

 二番目の研究で、研究者達と関連のあるチームは72時間以上免疫細胞産生を観察した。1つのタンパク質がTH17-信号:他の種類の細胞で塩濃度を制御することで知られている血清グルココルチコイド・キナーゼ1(SGK1)として発生し続けた。高塩分条件で培養されたマウス細胞は比較的高いSGK1発現を示し、通常条件で成長した細胞よりも一層TH17細胞を産生したことを研究者達は明らかにした。“漸進的に塩を増加させれば、これらのTH17細胞の産生後に世代を得る、”とマサチューセッツ州ボストンのブリンガム・アンドウィメンズ病院の免疫学者である研究共著者のVijay Kuchrooは言っている。

 三番目の研究で、マウスとヒト細胞で研究者達はKuchrooの結果を再確認した。それは“簡単な実験で-塩を加えるだけである、”とコネチカット州ニューヘブンのイェール大学の神経学者でり研究を主導しているDavid Haflerは言っている。しかし、塩は自己免疫疾患の経路を変えるか?多発性硬化症のマウス・モデルで高塩食は疾患の進行を促進させることをKuchrooHaflerの二人は明らかにした。全てこのエビデンスは“塩が免疫の環境による引き金の1つであるかもしれないと言う非常に興味深い仮説となっている、”とKuchrooは言っている。しかし、これまでのエビデンスはヒトの免疫に及ぼす塩の影響を予言できないことをKuchrooと他の研究者達は言っている。“医者として、私は非常に慎重である。患者は低塩食を食べるべきか?食べるべきです、”と彼は言っている。さらに加えて、一般的な健康の関心のために“人々は多分、既に低塩食を食べている、”と言っている。

 他の専門家達は結果に困惑されている。“結果は生体で非常に明らかな効絡プロトコールかを持っている、”とメリーランド州ベセスダの国立関節炎研究所と骨格筋と皮膚疾患内研究プログラムの科学所長であるJohn O’Sheaは言っている。しかし、Haflerと他の人々は、多くの細胞種類と自己免疫の引き金を引くことに含まれている環境因子がありそうだ、と述べている。

 結果は自己免疫状態用の薬物標的の興味ある先鞭を提供している。しかし、TH17増殖が全ての自己免疫疾患の要因であるかどうかについては不明である、とO’Sheaは述べている。乾癬を緩和するために効くかもしれない目標とした薬剤は関節リウマチを和らげないかもしれない。“我々が自己免疫を言うとき、我々は1つのことを説明しているが、それは1つではなく、雑多である、”とO’Sheaは言っている。