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心血管の保健と疾患における塩摂取量とカリウム摂取量の役割:

エビデンスのレビュー

Role of Dietary Salt and Potassium Intake in Cardiovascular Health and Disease:

 A Review of the Evidence

By Kristal J. Aaron and Paul W. Sanders

Mayo Clin Proc. 2013;88(9):987-995

 

要約

 本レビューの目的は集団の血圧、心血管疾患、死亡率に及ぼす塩摂取量とカリウム摂取量の影響に関するエビデンスの総合を提供することであった。食事ガイドラインと食事勧告を概説し、エビデンスに関する現在の論争を考察し、勧告値がエビデンスに基づいて作成される。入手できる研究について様々なデータベースを調査するために設計された調査戦略が使われた。減塩効果のランダム化された試験または血圧に及ぼすカリウム摂取量の増加、目標器官の損傷、心血管疾患、そして死亡率が含まれた。199011日から2013131日までに発表された52件の論文を含むために明らかにした。調査言語と言葉の綴りを色々と変えて考察したので、研究を見落とすことはなく、調査言語は次の一般的な用語を用いた:(塩摂取量またはナトリウム摂取量または[同意語])(カリウム摂取量または[同意語])(血圧または高血圧または血管疾患または心疾患または慢性腎臓疾患または脳卒中または死亡率または[同意語])。これらの研究からのエビデンスは、一般集団で高塩摂取量は血圧を上昇させるだけでなく、内皮機能不全、心血管構造と機能、アルブミン尿と腎臓疾患進行、そして心血管疾患罹患率と死亡率に役割を演ずる。逆に言えば、カリウム摂取量はこれらの効果を弱め、脳卒中率と心血管疾患危険率の低下との関係を示している。肥満者や老人のような色々な集団は減塩の効果に大きな感受性を示し、最も大きな利益を得るだろう。カリウム摂取量を増加しながら中程度に減塩する食事は高血圧を予防、管理し、心血管疾患罹患率と死亡率を減らす戦略として働く。したがって、腎臓疾患、脳卒中、心血管疾患を予防するための基本的な公衆保健努力として現在のガイドラインに概説されているように、一連のエビデンスは幅広い集団の減塩を支持し、カリウム摂取量の増加を勧めている。

 

論文の要点

 

  数多くのランダム化された試験からのエビデンスは、一般集団における内皮機能不全、血管再生と制御不全、アルブミン尿と腎臓疾患進行、心血管疾患罹患率と死亡率と同様に血圧上昇における塩摂取量増加についての役割を強調している。

  カリウム摂取量増強は高塩摂取量の影響を緩和し、血圧、脳卒中率、心血管疾患率の減少との関係を示す。

  カリウム摂取量増加と共に中程度の減塩は、高血圧を予防または管理し、心血管疾患の罹患率と死亡率を減らすための幅広い戦略として働く。

  アメリカ合衆国の現在のガイドラインによって概説されるように、幅広い集団の減塩とカリウム摂取量の増加を勧めることは、高血圧発症率を低下させ、腎臓疾患、脳卒中、心血管疾患を予防するための基本的な公衆保健努力を提供している。

  現在、塩摂取量の下限とカリウム摂取量の上限を決めるにはエビデンスは不十分である。

 

以下、省略。