論説
塩:味方か敵か?
Salt: Friend or Foe?
Lancet 2013;381 2013.05.25
食事ガイドライン多すぎる塩摂取量に対して勧告している。高い塩摂取量は血圧を上昇させ-心疾患、脳卒中、腎疾患についての危険因子となる。しかし、どれくらい多くの塩が多すぎるのか?そして非常に低い塩摂取量は有害になることはないか?
健康に及ぼす塩摂取量の効果は議論となっているが、減塩は心血管疾患の危険率を低下させるとほとんど信じられている。アメリカ人のための2010年食事ガイドラインは健康な成人には最高5.8 g/d、心疾患の危険率が高い人々(例えば、51歳以上の老人、糖尿病者、そして黒人)には3.8 g/dを勧めている。アメリカ心臓協会も年齢や人種に関係なく全ての人々が3.8 g/dを厳守することを勧告している。しかし、ほとんどの人々はそれでも多くの塩を摂取しており-平均してアメリカの成人は8.6 g/dを摂取している。
2013年5月に、医学研究所は最近のエビデンス(39研究)をレビューし、非常に低い塩摂取量は少なくとも心疾患の危険率が高い人々については、これまで考えられてきたほど有益ではないかもしれない。5.8 g/d以下の塩摂取量は血液脂質やインスリン抵抗性のような幾つかの心血管危険因子を増加させるかもしれず、もしかすると心臓問題の引き金を引くかもしれない。さらに、どの集団でも非常に低い塩摂取量(3.8 g/d以下)の有益性を示唆するエビデンスはなかった。
高い研究の異質性そして、健康結果に及ぼす減塩の効果は必ずしも総合的な食事変化とは区別できないと言う事実は正確な結論を出すことを難しくしている。その報告書はデータの隙間を埋めるためにもっと試験が必要で、特に様々なグループで3.8 – 5.8 g/dの塩摂取量の効果に関する研究が必要であると結論している。
報告書は注意深い説明を必要としている-人々は自由に塩を使えることを示唆しているのではない。高塩摂取量と心血管疾患の危険率増加との関係は存在し、平均塩摂取量を下げる必要があることに研究所は同意している。しかし、非常に低い塩摂取量についての結果は公衆衛生メッセージ(例えば、2015年に更新されたアメリカ人の食事ガイドライン)を明らかにするのに役立ち、健康結果の改善が期待される。