尿中ナトリウム排泄量、血圧、心血管疾患、および死亡率:
コミュニティ・レベルの前向き疫学コホート研究
Urinary Sodium Excretion, Blood Pressure, Cardiovascular Disease, and Mortality:
A Community-level Prospective Epidemiological Cohort Study
By Andrew Mente, Martin O’Donnell, Sumathy Rangarajan, Matthew McQueen, Gilles Dagenais, Andreas Wielgosz, Scott Lear, Shelly Yse Lap, Li Wei, Rafael Diaz, Alvaro Avezum, Patricio Lopez-Jaramillo, Fernando lanas, Prem Mony, Andzej Szuba, Romaina Iqbal, Rita Yusuf, Noushin Mohammadifard, Salim Yusuf
Lancet 2018;392:496-506 August, 2018
要約
背景
心血管疾患に対する予防法として人々は2 g/d以下のナトリウムを摂取することをWHOは勧めているが、この目標値は何処の国でも達成されてこなかった。この勧告値は、ランダム化試験または観察研究から低ナトリウム摂取量が心血管疾患を減らすことと関連させたデータのない短期間の血圧試験からの個別レベルのデータに主として基づいている。我々はコミュニティ・レベルの平均ナトリウム摂取量とカリウム摂取量、心血管疾患および死亡率との関係を調査した。
方法
前向き都市農村疫学研究が21ヶ国で進行中である。ここで我々は臨床結果に関するデータを使用して18ヶ国で行われた分析を報告している。適格な参加者は一般集団からサンプリングされた心血管疾患のない35 – 70歳の成人であった。我々は摂取量の代表値として24時間ナトリウム排泄量とカリウム排泄量を推定するために早朝空腹時尿を使った。我々はナトリウムおよびカリウム摂取量と369コミュニティ(全てが参加者50人以上)の血圧と心血管疾患および255コミュニティ(全てが参加者100人以上)とのコミュニティ・レベルの関係を調査し、既知の混乱因子について調整した個人レベルのデータを使った。
結果
369コミュニティで95,767人が血圧を調査され、255コミュニティで82,544人が心血管疾患結果について調査され追跡期間中の中央値は8.1年であった。中国で103コミュニティの82(80%)コミュニティは5 g/d以上の平均ナトリウム摂取量で、一方、266コミュニティの他のコミュニティ244(84%)では、平均ナトリウム摂取量3 – 5 g/dであった。結局、平均ナトリウム摂取量の1 g増加当たり平均収縮期血圧は2.86 mmHg増加したが、ポジティブな関係は最高の四分位数コミュニティでのみ見られた。平均ナトリウム摂取量と主要な心血管疾患との関係は、最低のナトリウム摂取量四分位数における有意な逆相関によって直線性から大きなずれを示し、中間の四分位数では関係なく、最高の四分位数でポジティブであったが有意な関係ではなかった。他のコミュニティと比べて中国で脳卒中との強い関係が見られた。全ての主要な心血管疾患は全てのコミュニティでカリウム摂取量増加で低下した。
解釈
ナトリウム摂取量は、その平均摂取量が5 g/d以上のコミュニティでのみ心血管疾患と脳卒中に関係していた。これらのコミュニティや国におけるナトリウム低減戦略は適切かもしれないが、他の国では適切でないかもしれない。
本文は省略。