尿中ナトリウム排泄量測定値と健康結果
Urinary Sodium Excretion Measures and Health Outcome
By David A McCarron, Joel C Geerling, Michael H Alderman
Lancet 2019;393:1294-1295 March 30, 2019
アメリカ合衆国の塩摂取量勧告値は健常人について5.8 g/d、心血管疾患の危険性のある人々については3.8 g/d以下である。2013年にアメリカ国立医学アカデミー は、そのような勧告値を支持できるエビデンスは不十分である、と結論を下した。現存するデータがこれらのガイドラインは可能で、健康利益をもたらすと言う説得力のあるエビデンスを提供しているかどうかについては疑問がある。アンドリューと同僚達による最近の報告書は長い間継続されてきた健康利益の仮定に挑戦する文献に加わる。
ナトリウム摂取量(塩)の2つの分析は世界中で著しい一貫性を示した。24時間尿中ナトリウム排泄量(UNaV)に基づいて摂取量を調査した最初の分析値(1990年と2010年)は24時間UNaVの142調査と187ヶ国で103件の食事調査で測定された。これらのデータは世界の成人人口の74%を表していた。平均塩摂取量は5.8 – 14.0 g/dの範囲で10.0 g/dであった。アジアと東ヨーロッパの平均摂取量は10.7 g/dであったが、西ヨーロッパ、北アメリカ、オーストラリアそしてニュージーランドは8.6 – 9.7 g/dの平均塩摂取量であった。50年間の平均24時間UNaVは6.6 – 12.2 g/dの範囲で9.4 g/dであり、この間に大きな変動はなかった。数十万人の個人を含むこれら2つのデータセットは実質的に同一の世界平均値と範囲を記録しており、人口統計、料理の好み、食品供給、時間には影響を受けていないように思える。
世界的に個人はどれくらい多くの塩を摂取しており、この摂取量が心血管疾患や全ての死因、そして寿命にどれくらい関係しているかに関する公表データの多次元考察を我々はした(図)。塩摂取量の世界中の範囲は死亡を含む心血管疾患発症の最低危険率と最大寿命の両方と関係している範囲と実質的に一致しており、最適摂取量が8.9 – 11.4 g/dであることを示唆している。このデータの一致は塩摂取量が最適範囲内に維持されている生理学的に制御されたプロセスと一致している。この範囲の下限または上限のどちらかを超えることは全死因死亡危険率の増加と予測寿命を短縮することと関係しているように思える。
要約すると、自由生活者の世界中の塩摂取量は社会政策またはガイドラインによって要求された摂取量の変化に鈍感なように思え、7.6 – 11.4 g/dの摂取量はこの範囲外の摂取量よりも健康的で長い寿命を予測しているようである。したがって、全人口で勧告されている塩摂取量を達成することは可能でも有益でもないように思える。