人口レベルの塩消費量は時間経過でも著しく安定している
Salt Consumption at a Population Level Remains Remarkably Steady Over Time
By Franz H Messerli, Louis Hofstetter, Lamprini Syrogiannouli,
Emrush Rezhai, George C M Siontis, Christian Seiler, Sripal Bangalore
European Heart Journal 2021;42: 2134 2021.06.01
この解説はF.H.Messerli et alによる記事「ナトリウム摂取量、平均余命、および全死因による死亡率」およびY. Yan and J. Muによる考察記事「塩摂取量のパラドックス:推定方法が重要」を参照している。
我々の論文に関するYanとMuの関心に感謝する。彼等が述べているように実際に塩の消費量が1990年から2010年にかけて0.1 g/d増加したとすると、20年後に500 g/dを超えることとなり(!)、生命とほとんど両立できない量になる。我々が「時間経過に伴う動的変化」を無視した例として著者らが引用した2つの研究では、塩消費量は20年間でわずか3.7%と2.9%(男性)、3.8%(女性)または平均して年間0.2%未満の変化であった。これらの変化は統計的に有意であったが、臨床的には無関係である。我々の考えでは、これらの調査結果は、YanとMuの主張とは対照的に人口レベルでの塩消費量が数年から数十年にわたって著しく安定していることを証明している。
全国の塩摂取量の推定には多くの誤りがあり、一次摂取量データが限られているか、存在しない国(サハラ以南のアフリカ、中央およびラテン・アメリカ、アンデスなど)では、それに応じて相対的な不確実性が大きくなることに疑問の余地はない。我々の感度分析は、ナトリウム摂取量が出生時の健康寿命と正の相関関係を持ち(R2=0.533, P<0.001)、全死因による死亡率と逆相関している(R2=0.497, P<0.001)はこれらの交絡因子のいくつかを軽減しようとした。しかし、我々が述べたように、「我々のデータセットでは、潜在的な交絡因子の数は無限であり、残留交絡のリスクを排除することはできない。」
したがって、塩摂取量と平均余命/全死因による死亡率との間に相関関係がなかった場合(我々の主要な仮説のように)、多くの交絡因子が統計的有意性の欠如を非難し説明できたので、我々は驚かなかった。これらの全ての不可思議さと交絡因子にもかかわらず、我々がかなり密接な相関関係を観察したという単なる事実は、単にその強さを証明している。明らかに、評価された範囲内で多くの心血管ガイドラインが主張し、放送しているように塩消費量は人口レベルでの寿命を縮めない。それどころか我々の研究では、塩摂取量は寿命の延長と全死因による死亡率の低下に関連していた。しかし、我々のデータは厳密に観察されているため、塩摂取量の個別または人口レベルでの変化が平均余命または死亡率に影響を与えると、減塩伝道者によって日常的に行われているように主張していない。