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心不全で塩摂取量がどれくらい低ければ低過ぎるのか?

ランダム化された研究が懸念を解決するために必要

How Low Is Too Low with Salt in Herat Failure?

Randomized Studies Needed to Resolve Concern

By Bridget M. Kuehn

Circulation. 2017;136:597-598     2017.08.07

 

 低塩食は心臓の健康状態や高血圧患者の治療の大黒柱であったが、新たに出てくるエビデンスはこの方法が潜在的に有害であることを示唆している。新しく出てくる観察データは、減塩が潜在的に有害であるかもしれないことを示唆してきた。その結果、世界心臓連盟のようないくつかのグループは低い塩摂取量よりも中程度の摂取量を勧めてきた。しかし、データは複雑で、ランダム化された試験だけが決定的に答えられることを多くの疑問が相変わらずある。これは心不全患者には特に真実である。いくつかの研究が低塩食の心不全患者について死亡率の増加または貧弱な栄養状態であることを明らかにしてきた。黄金基準の臨床試験データはこの関係を証明できなかったが、いくつかの試験は進行中である。“我々が知っていることは、我々が知っていることを考えることよりもずっと少ない、”とミシガン大学心血管医学の准教授でAnn Arbor Veterans Affairs Health Systemの心不全プログラム長のスコット・ハメルは言った。

 

塩に関する情報

 低塩食を支持するエビデンスの多くは、低塩摂取量は高血圧を減らすのに役立つことを示した研究に由来している、とカナダ、オンタリオ州のマックマスタ―大学保健研究法、エビデンスの准教授アンドリュー・メンテ博士は説明した。しかし、一般的な集団研究からのより最近のデータは高血圧でない人々について減塩の有益性を見出せなかった。“少なければ少ないほど良いと我々は信じていた、”とメンテは説明した。“全くそのようには作用しない。一般的に健康で高血圧のない人々については、通常の塩摂取量は血圧には小さな効果しか及ぼさない。”

 30 -64歳の正常血圧者2,632人の血圧と塩摂取量を解析した4月号のJournal of the Federation of American Societies for Experimental Biologyに発表されたフラミンガム研究からのデータは、低血圧者はナトリウムとカリウムの両方で実際に高い摂取量で、一方、低ナトリウムとカリウム摂取量の人々は比較的高い血圧である傾向であることを明らかにした。“フラミンガム研究からのこれらの長期間データは健康な成人に塩摂取量を推奨されている5.8 g/d以下に下げることを支持していない、”と著者らは書いた。

 アメリカ心臓協会は、健康な血圧を維持するために塩摂取量を2.3 g/d以下に、理想的には1.5 g/d以下に下げることを現在、推奨している。しかし、世界心臓連盟のような他のグループは彼等の立場を少し和らげて、European Heart Journalの1月号報告によると、塩摂取量を5 g/d以上にすることを勧めている。観察研究からのデータは、非常に高い塩摂取量12.7 g/d以上と非常に低い塩摂取量は両方とも心臓発作、脳卒中、死亡の危険率増加と関係していることを明らかにしている、とメンテは述べた。西欧食についてのかなり典型的な量である7.612.7 g/dと言う中間の塩摂取量に入る人々が一番良い食べ方のようである、と彼は言った。“中間値が最適である傾向で、実際に塩摂取量についてスイート・スポットがあることを我々は明らかにした、”とメンテは言った。塩摂取量を下げ過ぎることが危険であるかもしれない一つの理由は、有害な心血管疾患を起こすホルモン生産の引金を引くレニンーアンジオテンシン系を活性化させることである、とメンテは説明した。