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議論のある塩ガイドライン:科学的解決か永遠の論争か?

Controversial Sodium Guidelines: Scientific Solution or Perpetual Debate?

By Stuart M. MacLeod and John A. Cairns

CMAJ 2015 Feb 3;187:95-96

 

 ほとんどの臨床医は減塩したときの血圧低下のエビデンスと同様に塩摂取量増加と血圧との間のポジティブな関係の疫学的なエビデンスを受け入れている。エビデンスに基づいた医療の時代に、塩摂取量についての国のガイドラインは観察的な疫学だけでなく厳密な臨床試験によっても支持されていると彼等も仮定しているらしく、減塩が心血管疾患の発症率低下と関係していることを人口に基づいた栄養研究は決定的に示している。残念ながら、決定的なランダム化比較試験はまだ行われていない。塩摂取量と心血管健康との関係は明らかであるように思えるが、重要な研究欠陥が残っており、活気のある専門家達はお粗末な研究手法、偏向したエビデンスの調査、食品産業界による不当な影響について関心を持っている。最適塩摂取量には異論が残っているようで、この不明確が人口の部分集合で過剰な摂取量を減らすための努力を鈍らせているが心配である。

 カナダやアメリカの基準を含む国際基準は5.8 g/d以下の塩摂取量に下げることを勧めており、3.8 g/dと言う低い目標値を主張している。カナダ人の平均摂取量は8.6 g/dで、男性の85%と女性の60 - 80%は5.8 g/d以上であることを考えると、そのような目標は分りにくい。さらに、利用できるガイドラインを支持するエビデンスの強さはアメリカ医学研究所からの2013年報告書で綿密な精査を受けた。報告書を用意した委員会は利用できる研究の非常に変わりやすい方法論的品質、特に塩摂取量の定量化に関して関心を示した。委員会は3つの主要な結論に達した:高い塩摂取量と心血管疾患危険率との間にポジティブな関係があり、心血管疾患危険率の代わりとなる指標として血圧に関して存在するエビデンスと一致している;直接的な健康結果に関する研究からのエビデンスは不十分で、5.8 g/d以下の塩摂取量と心血管疾患結果についての危険性または有益性のいずれかとの関係に関しては一致していない;そして健康結果に関する直接的なエビデンスは高危険率サブグループ(糖尿病者、慢性腎臓疾患者、あるいは既存の心血管疾患者)3.8 g/d以下まで塩摂取量を下げる勧告を支持しない。

 医学研究所報告書は様々な領域から強い見解を引き付けている激しい論争を活気付けてきた:基本的な生理学と薬理学、心臓学、内分泌学、高血圧と脳卒中管理。ランダム化比較試験の-と観察研究の-メタアナリシスは、減塩は高血圧者の間で収縮期血圧の実質的な低下をもたらすことを一般的に示してきた。それにもかかわらず、あまりにも厳しく比較的か限られたエビデンスに基づいて確定的なガイドラインの策定について関心が残っている。

 減塩は血漿レニン活性を大きく増加させ;アルドステロン、アドレナリンそしてノルアドレナリンの各濃度を上昇させ;そして血清コレステロールとトリグリセライドの増加を伴うことをコクラン・レビューは明らかにした。対照的にその後の総合レビューは脂質、カテコラミン濃度または腎機能に及ぼす逆効果を明らかに出来なかった。減塩食を続けている高血圧患者で一貫して観察されてきた血圧に及ぼす有益な効果達成されるとの期待を持って、塩摂取量目標で微妙なバランスを取るために説得力のある議論が進められてきた。一方では心血管の有効性を害するかもしれない潜在的な二次的に適応性のあるホルモン応答を避けてきた。他の必須栄養素に関する限り、最適範囲外の塩摂取量(以上だけでなく以下でも)は健康に有害な効果を持っているようである。

 2つの新しい研究はさらなる科学的論争を刺激させそうである。17ヶ国で100,000人以上からなる観察データの都市と農村における前向き疫学調査は7.6 – 15.2 g/dの最適塩摂取量範囲を明らかにした。この摂取量以上と以下では両方とも心血管疾患の発症率増加が起こる。参加者の約10%が7.6 g/d以下を排泄し、そしてわずかに4%だけが塩摂取量についての現在のアメリカ人のガイドラインの範囲内(5.8 または3.8 g/d)で排泄した。世界的な病気の栄養と慢性疾患の専門家グループは過剰な塩摂取量と心血管疾患との間にモデル化された関係を導くために観察研究とランダム化研究を編集し、2010年に165万人の心血管死亡は5.1 g/dと言う参考値以上の塩摂取量のためであると推定された。しかし、オパリルが述べたように、都市と農村における前向き疫学調査は介入成分を欠いており、塩摂取量を決定するための受け入れられるモデル(複数回の直接24時間尿測定)を使っていない。一方、世界的な病気の栄養と慢性疾患の専門家グループ研究は高品質データがないために多くの仮定に依存していた。

 非常に低い塩摂取量目標値(5.8 g/d以下)に焦点を置いた国のガイドラインはある人々で過剰な塩摂取量を明確に減らす努力を危険に曝せなかった。塩ガイドライン論争の厳密な立場上の考察と永続化は混乱を活気付けそうで、開業医は明らかに混乱状態に置き去られ、臨床治療を進められない。

 より建設的なアプローチはエビデンスの主要な要素に関する同意に達するために主導科学者達を勇気付ける。そのことは順に有益な社会政策の時宜を得た実行を容易にする。有効なリーダーシップは現在の知識と研究の欠陥をより明確にし、実質的に現在の北アメリカ平均値以下の人口の塩摂取量を達成することの相対的な有益性と有害性についてのエビデンスを集めるアプローチに関しても同意に達するだろう。

 過剰な塩摂取量は血圧上昇と心血管疾患の高い発症率をもたらすと言う一般的な臨床的、科学的容認を受け入れると、8.6 g/dと言う現在の国民の平均値よりも幾分低い塩摂取量に焦点を置いたガイドラインは有益であるとして明確に勧められる。その出発点から、低い範囲の塩摂取量の有益性と潜在的な有害性を明らかにするために適切な研究を計画すべきである。そのような研究を計画することは事前の疫学研究の設計の欠点によって知らせるべきである(例えば、信頼できない24時間尿収集;血圧を含めて心血管疾患についての代替指標の適切性を表せていない;そして他の栄養素摂取量の不十分な管理)。通常食による減塩と比較した大規模なランダム化比較臨床試験の結果がほとんどないが、そのような試験は論理学的、財政的に挑戦されるだろう。

 潜在的な心血管疾患患者を治療している医者については国の実行ガイドラインに従うことが望ましいが、塩摂取量および血圧と心血管疾患に対する塩摂取量の関係について現在の医学文献に書かれている幅広い範囲の信頼できる意見を医者は知っておくべきである。

 

キーポイント

  高い塩摂取量は血圧を上昇させ、多分、心血管疾患危険率を増加させることを強い観察的エビデンスは示している。

  合理的な科学的不確実性や論争は過剰な摂取量を下げようとする公衆衛生運動を危険に曝す可能性がある。

  幾つかの最近の矛盾する研究は、特に安全で効果的な低い塩摂取の限界値を明らかにする点で論争を拡大してきた。

  効果的なリーダーシップはこの議論における知識と研究欠陥をより明確にし、確実なエビデンスをさらに積み上げることを刺激するように要求されている。