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人の塩摂取量を見積る:それほど容易ではない!

Estimating Salt Intake in Humans: Not So Easy!

By Jens Titze

The American Journal of Clinical Nutrition 2017;105:1253-4

 

 早朝“スポット”尿試料のナトリウム排泄量分析は前日の塩摂取量を推定する有用な手段であることは長く考察されてきた。ジャーナルのこの問題における研究は、人の24時間尿中ナトリウム排泄量を正確に推定するためのスポット尿の予想値はコイントスよりも少しは良いかもしれないことを示している。ゾウらは141ヶ所の中国社会住人で24時間尿中ナトリウム排泄量を測定した。研究者達は早朝スポット尿の収集から24時間尿中ナトリウム排泄量を計算するために、川崎、INTERSALT、田中の式を使った。その後彼等は、既知の24時間尿中ナトリウム排泄量と早朝スポット尿の収集からの推定値との一致度を比較した。顕著な結果は、ほとんど全ての他のスポット尿に基づいたナトリウム排泄量の計算は実際に尿中の24時間ナトリウム排泄量測定値から3 g以下の差であったことであった。“許容できる分類”として本当の排泄量と推定された排泄量との3 gの差を明確にすると、テスト試料の60%以上は誤分類された。多分、日々の塩摂取量が高いとき、これらの計算された推定値は特に誤分類されやすい。この事象の状態は、どうしてスポット尿基づく推定値が中国の摂取量13.4 g/dまたは日本の11.7 g/dと比較して低い摂取量の西欧社会でより正確に使われてきたかもしれない理由を説明している。この現在の研究により多くの男性を含めることは結果に影響を及ぼしてきたこともあり得るが、スポット尿収集の予測値は男性で改善されないことを想像することは難しい。明らかに上述した疑問のどれも都市と農村における前向き疫学調査研究からの被験者に意味あるほど良くは使えなかった。エビデンスは人の24時間ナトリウム排泄量を推定するためにスポット尿を使うことを支持しないと著者らは結論を下している。

 次の疑問は“事項は悪くなるか?”である。本当の24時間ナトリウム排泄量を正確に検出させるためにスポット尿収集の予測値に焦点を置いて、ゾウらは本当の塩摂取量を予測するために正確に収集された24時間尿試料の正当性を疑問視していない。しかし、人のナトリウム代謝の生物学的パターンは明らかにこれまで信じられてきたほど簡単なことではない。人が全ての排尿を集めるだけでなく、彼等に2.7 g/dまたは5.2 g/dの摂取量に割り当てられた全ての食事を食べている長期間の収支研究は、塩摂取量と排泄量との間の定常状態は伝統的な意見と比較して数日内で達成されなかったことを示した。しかし、その代わり体内ナトリウム蓄積と塩摂取量とは関係のない排泄量の週と月のリズムに従う。同時にこの大きな内生的生物学的混乱変数は別のコイントス現象をもたらす。二回目の正確に集められた24時間ナトリウム排泄量試料の全ては3 gの塩摂取量差を検出出来なかった。尿中の他の電解質について差はない。初期の臨床食事介入研究からのデータに調和して、これらの結果は、多数の24時間収集試料は精度を改善するために必要で、一回のスポット尿収集はどの人でも塩摂取量を調査するために良い手段ではないことを示唆している。

 ゾウらは、“高い分析作業の負荷や完全な24時間尿収集の難しさからスポット尿試料分析のようなもっと実用的な代替法探すことを促してきた”ことを示している。この状況は、観察数の過剰な増加が必ずしも常に過剰な一次データ品質に近似しているとは限らない“ビッグデータ”研究戦略については特に当てはまるかもしれない。我々のナトリウム排泄量の話題は事例となる。スポット尿試料中の24時間尿排泄量中の3 gの差を正確に推定するために50%確率を正確に集められた一回の24時間尿試料で本当の塩摂取量を正確に推定するために50%ありそうな値と我々が結びつけると、スポット尿試料の助けで24時間塩摂取量中の3 g差を正確に推定するための確率は0.50×0.500.25または25%よりも高くならない。したがって、その結果の測定誤差は、研究被験者数に関係なく調査中の被験者の75%で塩摂取量の3 g差を間違って分類したかもしれない。ラスベガスのギャンブラーは誰でも、長期間の成功によって有終の美を飾るプロジェクトについて奇跡はないと言うだろう。どうして科学者達が異なった意見を持つのか私には見当がつかない。

 どんどん増加しているデータが塩摂取量の臨床的疫学的調査で使われる現在受け入れられている一連の手段に疑問を持つと、その後、我々はどのように進めれば良いか?人の組織中のナトリウム含有量の直接的な非侵入性の測定法のような代わりの別の方法は体内のナトリウム代謝の精密な理解に導かないかもしれない。その結果の正確な方法は塩と健康に関するより早くて簡潔な情報を追加的に提供し、結局、手ごろな誤分類をしのぐ。