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血圧を超えて:減塩と健康結果における新しいパラダイム

Beyond Blood Pressure: New Paradigms in Sodium Intake Reduction and Health Outcomes

By Janet C. King and Kristin J. Reimers

Advances in Nutrition 5:550-552, 2014

 

要約

 1980年以来、最初の国民食事ガイドラインが“多過ぎる塩摂取量を避ける”ことであった時、5.8 g/d3.8 g/dという数値ガイドラインをアメリカ人の食事ガイドライン2010に含めた。多過ぎる塩摂取量は根拠の確実な関心事となっているが、現在の目標値は最適な健康には少な過ぎないか?塩摂取量と心血管疾患罹患率や死亡率との関係を調べるために血圧と言う代理指標に及ぼす塩摂取量の影響の方向に新しい研究は進んでいる。~7.6 – 12.7 g/dより少ないか、多いかの両方の塩摂取量は悪い健康結果の危険率を増加させることを結果は示している。さらに、集団間で新しく集められた塩摂取量データは、摂取量が生理学的に設定されていることを示唆している均一性を示している。多分、一致していなくて、観察された摂取量は最低の危険率に関係した範囲内に入っている。これらの結果は集団間で低い塩摂取量を達成させるための現在の努力に大いに関連している。健康な人々にとって努力は失敗し、影響を受け易い集団に対しては有害になるかもしれないことをデータは示唆しているからである。過剰な摂取量と不十分な摂取量の両方に関係した危険性は全ての栄養素で避けられないことで、塩も例外ではない。多過ぎる摂取量、少な過ぎる摂取量を避けるために、塩摂取量はアメリカ人に一番良いアドバイスであるかもしれない。

 1980年以来、アメリカ人の食事ガイドラインによって提供された国民食事指導は減塩を目標としてきた。初期の食事勧告は定性的であったが、ごく最近、食事摂取基準は勧告塩摂取量を定量化した。特別な摂取量を定義することは指導を政策に反映させるために役立つが、定量化された摂取量勧告値の提案は、やがては学的知識が蓄積されるにつれて、勧告値の改訂を妨げる可能性が確かにあることを示唆している。塩の場合がその事例であるかもしれない。食事摂取基準が決められるまでは、成人の塩の推定最少平均必要量は1.3 g/dであり、その量は最高の適応と最低の損失状況下でナトリウム収支を維持するに必要である。この量は健康を目標とした量では決してないが、アメリカ人の塩摂取量が過剰であり、欠乏は起こりえないと言う枠組みを支持している。不十分な摂取量については何の関心もなく減塩に焦点を置くことが始まった。塩、体液電解質バランス、血圧との間の生理学的関係は、減塩が血圧を下げると言うまことしやかな機構を提供し、上昇した血圧と心血管疾患死との十分に確立された相関関係に論理的に関係させた。したがって、血圧低下は心血管疾患を減らすと考えられるので、血圧を下げる減塩が受け入れられた。現在の公衆保健目標はアメリカ人の塩摂取量を出来るだけ多く、栄養的に十分な食事で摂取する時の最低塩摂取量の3.8 g/dまで減らすことである。しかし、現在の勧告値は低すぎるか?これらの極端に低い塩摂取量は最適健康結果をもたらすことと矛盾しないか?

 本シンポジウムの目的は塩摂取量とそれに関連した健康結果とに関する増加してきたエビデンスをレビューすることで、食事摂取基準、アメリカ人の食事ガイドライン、多くの政府機関、非政府機関は努力を続けている。これらの新しいは、全人口の減塩で仮定された利益が、特に感受性があり病気の人々で潜在的な危険性より重要であることを確認するために調べられなければならない。

 キング博士は塩勧告値の全容をみる計画を始めた。その焦点は“多過ぎる塩摂取量を避ける”ための1980年のアメリカ人の食事ガイドライン手引書から51歳以上の人々とアフリカ系アメリカ人または高血圧、糖尿病、または慢性腎臓疾患である全ての人々に定量化した5.8 – 3.8 g/d2010年アメリカ人の食事ガイドラインの手引書までの評価であった。彼女はアメリカ人の食事ガイドラインの摂取量と歴史的に有名な医学研究所の勧告塩摂取量とを比較した。定量化された最初の塩摂取量勧告値は食品栄養委員会の1989年版「食事と健康:慢性疾患危険率を減らす手段」に表れた。最高摂取目標量は6.1 g/d以上の摂取量では加齢に伴って血圧が上昇することを示した1988年のインターソルト・スタディ論文からの観察データに基づいて6.1 g/dに設定された。少ない塩摂取量のグループは原始社会で暮らしている人々であった。事実、原始社会を除くと、塩摂取量と加齢に伴う血圧上昇との関係はなくなった。それにもかかわらず、最高摂取量としての6.1 g/dと言う勧告値は、2件の血圧値に関する投与量応答研究に基づいた上限として塩摂取量について国民食事指導が設定された時の2005年まで権威ある団体によって採用された。十分な摂取量は、栄養的に十分な食事を達成するに必要な最低の塩摂取量をモデルとした3.8 g/dに設定された。(モデル化された食事は本来減塩食品を含んでいることに注意すべきであるが、それらの食品の多くは減塩パンのように直ぐに手に入らないかもしれない)2005年と2010年にアメリカ人の食事ガイドラインはこれらの数値を採用した。

 多分、減塩は血圧を下げ、したがって、心血管疾患を減らすに違いないとの仮定のために、そして塩摂取量と健康結果を調べる研究を行うにつけての困難性のために、減塩と健康結果との直接的な関係は最近まで文献で広く調べられてきた。今や、死亡、心血管疾患、心不全のような結果の危険率増加に多過ぎる塩摂取量と少な過ぎる摂取量の両方に関係した批判的な多くのデータが現れ始め、これらのデータは2013年のIOM(医学研究所)報告書“国民の塩摂取量:エビデンスの評価”でレビューされた。新しいエビデンスの考察は驚くべき結果をもたらし、現在の塩摂取量勧告値は危険生の問題を引き起こすかもしれないことを示した。しかし、それらの値は本当に驚くことか?

 これらの結果は全ての栄養素の生理学に基づいて正に予測されることであることをヒーネイ博士は読者に思い出させた。すなわち、栄養摂取量と健康結果との関係は、低ければ低いほど良いことを示すX軸とY軸上をゼロで横切る直線ではない45が、その代わりはJ字型曲線で、それは摂取量の両端は危険であることを示し、これらの両極端間の摂取量では“無害”(または有益)であると言うむしろ幅広い範囲がある。その範囲内で生物は最少の補償を発揮する必要があり、それには栄養的な要求が一般的に設定されている。ヒーネイは塩摂取量についてのエビデンスに基づいた方法から説明されていない死亡を彼の講演で概説した。事実、有益性の代わりとなる指標としての血圧の使用でさえも、DASH(高血圧予防食)研究は、十分なカリウム、カルシウム、マグネシウムを摂取できる食品と食事パターンに焦点を置くことはより意味のある血圧効果を作り出し、非常に低い塩摂取量の潜在的な害を引き起こさないことを示している。研究結果に関するエビデンスの考察で塩摂取量の国民食事指導値を再考し、合意されたエビデンスに基づくプロセスを守る課題に近付くことは塩摂取量も例外ではない栄養素勧告値の完全性に批判的である。

 アルダーマン博士は健康結果に関連した塩摂取量の歴史的な経過を発表した。レニンーアンジオテンシンーアルドステロン系のようなもっともらしい生理学的機構と同様の発表された研究は減塩の利益に異議を唱えることを長く存続させてきたが、これらのデータは最近まで覆われてきた。アルダーマン博士はレニンと心筋梗塞との間の逆の関係を報告した最初の関係者であった。レニン濃度を増加させる減塩は血圧低下の単一の生理学的効果を発揮させるのではない減塩の事例であるが、その代わり多くの効果、例えば、血漿レニン活性の増加、インシュリン抵抗と交感神経活性の増加、アルドステロンやトリグリセライドの上昇を減塩がどの様に発揮させるかを示している。正味の健康効果は血圧に及ぼす結果によってだけでは予測できない。アルダーマンも心血管疾患と塩摂取量についてのJ型危険曲線を示唆した最初の1人であり、この仮説は2013年のIOM報告書によって支持された。2013IOM報告書後に、いくつかの追加的な論文がJ型危険曲線を支持した。その論文の中には25研究から274,683人の被験者からの結果を要約した2014年のグラウダルらのメタアナリシスがある。減塩の血圧効果が健康利益にまで外挿されると言う考えはもはや科学的信頼性を維持していない。

 マッカロン博士は、過去50年間に世界中の45ヶ国から集めた69,011人で観察された狭い塩摂取量範囲を示す多量のデータを提供してセッションを締めくくった。その範囲は著しく一定しており、食べ物とは関係ないように思える。平均摂取量は9.1 – 9.4 g/dで、集団の平均最低量と最高量はそれぞれ6.712.3 g/dである。3.8 g/dと言う十分な摂取量の平均摂取量または5.8 g/dと言う許容最高摂取量はこれらの美食家健康な集団の中では観察されない。イギリスにおけるように商業的に調理された食品中の塩含有量を減らすことによって生じる減塩を解釈することは平均値の1標準偏差内の実際には小さな変動であると彼は指摘している。塩摂取量は食品供給によって影響されないが、塩嗜好を通して生理学的に管理されていることをデータは支持している。この“設定点”以下に減塩する危険性は、何人かの研究者達によって報告され、IOM報告書で繰り返してきた最低の塩摂取量(現在の勧告値と同じ)で観察された疾患率と死亡率の増加と一致している。

 塩摂取量と健康結果を研究している全ての人に共通した意見は、過剰な塩摂取量は疾患率と死亡率の危険率を増加させることである。論争は低い塩摂取量に焦点を置いている。公衆保健ガイドラインは5.8 g/d以下の摂取量を進め続けているが、この量は最適な健康のためには低すぎるかもしれないことをデータは示唆している。勧告されている摂取量は塩を摂取している美食家にとって心配することではないが、塩摂取量は入院患者、療養所入居者、学校給食計画、これらのガイドラインを守らなければならない他の政府財政援助の給食計画に直接的に影響する。さらに、事実、塩摂取量が生理学的に設定されておれば、公共と商業団体により減塩に注がれている現在の財源は、少ない一人分の量を多くする、低エネルギー密度食品の効用を改善する、デザート食品を補充すると言った公衆保健に関連した重要な改革により効率よく使われている。

 本セッションは現在勧められている摂取量と関連した潜在的な危険性への認識を高めるのに役立ち、その摂取量は食べる食品に関係なく近代的な美食家の健康な集団で観察される摂取量よりも低い。新しいデータは危険率についてJ型曲線を支持しており、摂取量を~7.6 – 12.7 gの間にすることは害を少なくすることと関係しており、その範囲は世界中の健康な人々の大多数が現在普通に摂取している量である。

 健康結果と新しく集められた塩摂取量に焦点を置いた研究からの新しいデータの収集は、非常に低い摂取量の強要はほとんどの人々についてせいぜい失敗で、最悪の場合では推奨量に従っている攻撃されやすい人、または病人については有害になることが示唆される。多分、“多過ぎる塩摂取量を避ける”と言う1980年のアメリカ人の食事ガイドラインは、“多過ぎる-そして少な過ぎる塩摂取量を避ける”と言う改訂をすれば、本当に正しい。